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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

『A』河出文庫(中村文則)



薄い膜一枚隔てられた世界の中で
膜の外を頑なに拒絶するかのような者たちの視点で始まる短編集。
その膜が突き破られた後は、変幻自在の世界が展開していく。
並べられた物語は理解することを望まれているわけではなく、
そして理解しようとするものでもなく。
自由に綴られた著者の言葉を追った読み手が、
そこから伝わるものを自身の感性で受け止めるだけでいい。
読後感的になんとなく気持ち悪かったのは、
私的に相容れる中村文則と相容れない中村文則が混在していたから……かな。
個人的には『妖怪の村』がベスト。
インパクトが大きかった。

これで『逃亡者』以外の中村作品読了。
その中での私の順不同のベストスリーは
『遮光』『掏摸』『あなたが消えた夜に』。

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「惑いの森」中村文則 (文春文庫)



短編はあまり好んでは読まない。
そして、最近の著者の作品とは相性が良くなかった。
そんなマイナス要素は一作目を読み始めた瞬間に霧散する。
50篇の短編で構築された一つの世界。
即ち、著者の紡ぎ出した森の中に惑うことなくスッと入り込んでいく。
森の中の木々が伝えてくれるのは、
包み込むようなやさしさと、やわらかさ。
尖った異物感。そして不快感。
一作一作を読みながら胸の内に浮かんでくる想いを抱いて
浮遊する空間は99%心地よい。
漂う世界のその心地よさに、安堵の息をつく。
また森の中へ足を踏み入れたくなる読後感。

蜘蛛の言葉がエロティック。こういうエロスは歓迎する。
緊急ボタンに体当たりするネコ、頑張った。
クマのぬいぐるみの想いが切ない。
そして「鐘」。そうだよね、と、全力で頷きたい。

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「星空の16進数」逸木裕(角川書店)



主軸は親からネグレクトを受け、幼いころ誘拐事件に巻き込まれた
コミュ障気味の17歳の少女が、周囲とコミュニケーションを図ることを覚え、
自己の確立をしていく物語。
個人的には。
謎の解明をしていく一見常識人の探偵・みどりの
「自分を殺す人間の顔を見てみたかった」という闇の部分と
刑事から探偵に転身し、見方も肝を冷やすほどの凄みを聞かせる強面浅川。
そして、柔らかであたたかみのある司だけど、
みどりの夫をやってるくらいだから、過去に何か抱えていると面白い。
そんな彼らの存在に興味新進で読了したお借り本。
特に浅川氏、素敵っ。

CMYKがなんたるかもわからないまま、
フォトショと格闘した日々を懐かしく思い出しました。
感覚だけで表紙作ってたなぁ。
#FFFFFFは白。
#000000は黒。
これだけは覚えています(笑)

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本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員Ⅱ」香月美夜「



王族であるアナスタージウスの恋愛は
想い人の諸事情も相まって色々大変そうだけど素直に応援したくなる。
がんばれ。
ってか、直接的な言葉を伝え合う習慣がないのは、まわりくどいしめんどくさい。
人任せだったり思い込みだったりしてたら本当の気持ちは伝わらないよ~。
アナスタージウスも規格外の貴族っぽくて面白い。
エーレンフェストの騎士団は課題山積。
ローゼマインの指摘によって浮き彫りになったことが今後改善され、
メキメキ強くなっていったら面白い。
やっと下町の人たちが出てきたけど、訪れる一つの転換期。
いつまでも変わらないままではいられないのよね。

前巻でちょっとダレたけど、今回はそんなことなかったので一安心☆
長い物語。
波があってあたりまえ……かな?(笑)

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「この春、とうに死んでるあなたを探して」榎田ユウリ (単行本)



たとえ、20年間会わなかったとしても。
再会した瞬間、一瞬で当時の関係性が蘇ってくる。
それが、学生時代を共にした同級生という存在。
38歳になっても子供じみたやり取りができるのは、
成長期を共にした者同士の特権。
共有する過去の思い出を語り、そして今の自分の在り様を伝え合う。
少しずつ詳らかになる互いの今。
23年前に事故死した恩師の死と向き合うことが、
今を生きる彼の再生へと結びついていく。
彼は帰るべくしてこの街に帰ってきたのだと。
そう、思える。
人は一人で生きているのではない。
支えあってここに在るのだと。


「う~な~ぎお~いし か~ば~や~きぃ~」
なんの歌か考えなくてもメロディーが浮かぶって、唱歌すごいな。
4年に一度のオリンピックイヤーに必ず集っていた小6のときの同級生たち。
今年はコロナの渦中につき、同窓会はなし。
また皆で集まって、大人げなくはしゃいで語り合える日が必ず訪れますように。

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「ドッグレース」木内一裕 (講談社文庫)



元ヤクザの探偵矢能。
カタギを主張する彼のやることなすこと立派なヤクザ寄り。
でも、彼の主義は全くぶれないところがカッコいい。
そんな彼でも養女の栞に対峙する時には
新米パパ予備軍的な態度になるギャップが良いね。
法の境目を簡単に飛び越える非情さと、
懐に入れた人間に対する情愛とが違和感なく同居している。
今回の依頼は他人の犯した殺人の罪を着せられた男の無罪を証明するための調査。
闇社会の人間のことは闇社会に。
故に、行く先々で降りかかるトラブル。
いつもの面々に加えて今作で新たに登場した男たちがまた憎めない。
また会えるかな?


「メシでもご一緒願えませんかね?」
「断る」
矢能のこの一刀両断なそっけなさが好き(笑)


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「愚者の毒」宇佐美まこと (祥伝社文庫)



極悪非道な人間を、まっとうに糾弾することのできないもどかしさ。
今日を過ごすために耐え忍ぶしかない劣悪な状況下で彼らが修羅の道を選んだのは、
守るべき者のため。
それなのに……と、やるせなさで胸が痛い。
迫るのは、大切な人の人生を呑み込まんとする害悪。
ギリギリのところでその決断をせざるを得なかった彼らに
他にやり様はなかった。
それでも、彼らは帳尻を合わせないといけなかったのだろうか?
ならば、彼もまた、その責を負わねばなるまい。
幸せになる権利は彼にこそあったのに。
与えられた愛情が伝わっていたことが嬉しくて、そして哀しい。

読了後の時間の経過とともにジワジワと痛みが増す。
ウチのちびっこたちをぎゅっと抱きしめたくなりました。
いっぱい笑ってすくすくと育ってほしいなー。

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「命の砦」五十嵐貴久(祥伝社)



「あなたは間違っています」
まさにこの一言に尽きる。
彼女だけじゃない。
犯行に加担した人間は、誰も彼もが間違っている。
その主張の仕方が。
承認欲求の吐き出し方が。
そんな彼らが生み出した炎を鎮めるために、
命を懸けなければならなかった人たちがいる理不尽。
怯まず炎に立ち向かっていった彼らの職務に対する意識の高さ。
故に彼らは人々の命を救い、自らの命を失った。
そのことに対してどう思っているのか。
犯人たちに問い正したい。
アカウントを削除したら簡単に関係の断ち切れる存在。
そんなものの言葉に乗って人生を賭ける選択ができることが恐ろしい。

新宿サブナードにお気に入りのショップがあって、
何度も何度もあの一帯に足を運んだ身としては、
新宿の地下が燃え盛る様子を想像してゾクリとしてしまったお借り本。
災害が起きた場合は救助の妨げになるような行為をしては絶対にいけない。
と、改めて肝に銘じてみました。

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「AIの魔女(上)」 (シグマフォースシリーズ13)ロリンズ(竹書房)



だからあの時、ソイツをどうにかしておけばよかったのに!
と、ジリジリとしながら読み進める。
あっちもこっちも気になることだらけで
ちょっと早く続き!と下巻に飛び込みたくなるところで上巻終了。
それだけ勢いのある物語を読ませつつ。
読者に優しい人物ヒストリーの振り返りをうるさくなく、くどくなく、
サラっと入れてくるところがうまいなー。
中世の魔女狩、最先端の技術を誇るAI。
受け継がれてきた宗教。
そしていつものシグマの面々。
そんな彼らに降りかかったとんでもない出来事。
学習していった人工知能が最後に唱えた言葉に眩暈を覚えつつ、下巻へ。


すいません。
結末知りたいんですけど~~!
わー、下巻をぱらぱらと捲りたい。
自分の楽しをみを台無しにするだけなので、捲らないけど。
作中の「バシリスク」から「D'ERLANGER」を連想し、
思わず音源引っ張り出してしまった。
ひっさしぶりに聴いたけど、かっこいいよ!
……閑話休題。
ここにきてこの展開ってひどいよ、ロリンズ。
わかりやすく例えると、ワンピでのエースがエースが!っていう衝撃に近い。
起死回生あるかな?あってほしいな。

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「皸・別れの稼業」北方健三 (集英社文庫)



別れるにしても、相手の行動を探るにしても、
いろいろめんどくさいなーと思う、人間模様。
もっと単純でよくね?
いや、でも単純に考えられないから探偵が必要になるのか?
そのめんどくさい人たちの依頼に巻き込まれ、
時に拳を繰り出され、傷を負う探偵、浅生。
だけど、その探偵もめんどくさい。
時に依頼を飛び越したことをやらかして、誰かに殴りかかっている。
おいおいおい。
だけど、それが彼のスタンス。彼の生き様。
そう納得させるだけの筆致が北方にはある。
まだ青臭さの片鱗が残る浅生。
成熟した年齢に達したとき、どんな男になっているのか。
興味あるなー。


悔しいとかつまらないとか、そんな感情を混ぜ込んで煮詰めた鍋って……鍋って……怖いよ!
鍋に込める思いは「おいしくなりますように☆」でいいよね?いいよね??
なんか強烈でした。

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