きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「蜘蛛の褥」沙野風結子 (ガッシュ文庫) 無題
肉体的な面でのバイオレンスとエロスは安定の読み応え。
だけど、それ以上に精神的な面でのハードさに引きずりこまれる。
同じ高校の先輩後輩だった神谷と久隅。
12年ぶりに再会した二人は検事と経済やくざに。
神谷が心に秘めた行き場のない想いを暴き、叩き壊して葬った久隅。
久隅が神谷に溺れていき、神谷もまた久隅にのめり込んでいく。
にも関わらず、甘さの欠片もない心理的な攻防は圧巻。
不眠を少しでも解消するために神谷が選んだ物が、ただいじらしい。
久隅に気付いてもらえて良かった。
堕ちるのも浮上するのも一蓮托生な二人。
書き下ろしのタイトルが絶妙。
基本的には一般書とBLは交互に読むようにしてるんだけど、
シリーズ物の場合はどうしても一気に突っ走りがち。
でも、一気読みも読書の醍醐味の一つだと思っているので無問題。
BLは門外不出!と決めているので、自宅でしか読めません。
(いついかなる挿絵がどーんと出てくるかわからないから)
タイミングよく週末。
というわけで、一般書はさておいて、心置きなく続刊へ。
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「蛇淫の血」沙野風結子 (ガッシュ文庫)
最初に芽生えた想いは恋なのか?と問われると、
素直に諾と言いづらい。
もっと濃密で、もっと切羽詰まった想いがそこにある。
角能と凪斗。
どちらにとっても運命を捻じ曲げてしまうほどの強烈な出逢い。
普通の大学生として生活してきた二十歳の凪斗が、
突然暴力団の組を継げ、と言われたところで無理がある。
その無理を可能にするための経緯が非常にエロティック。
終始漂うヒリヒリとした緊張感。淫猥な空気感。
凪斗が平穏を切り捨てた瞬間と、角能が永遠を誓った瞬間は
挿絵の効果もあって素晴らしさ倍増し。
生き辛い道を選択したとは思うけど、上りつめてほしいな。
角能の前職が良いスパイス。
前科持ちでもありきたりの極道じゃないところも良い。
運命に翻弄されてただ泣くのではなく、
抗って腹くくって欲しいモノを手に入れた凪斗の在り様はカッコイイ。
沙野さんも順調に(?)積んでいるので、シリーズ4冊手元にあります。
安心して読み進められますね~☆
「オリエント急行の殺人」クリスティ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
雪で立ち往生した列車の中で起きた殺人事件。
乗り合わせた人々との対話を通して名探偵ポワロは推理する。
この事件の真相を。
同じ車中劇でも移動する新幹線が舞台の
伊坂さんの『マリア・ビートル』が“動”ならこちらは完全に“静”。
登場人物たちがほぼ一貫して列車内に留まったまま、
ここまで面白く読ませる物語展開はさすがクリスティ。
そして、その対話の中から、それぞれの人物たちの
過去が浮かび上がり、物語はより深みを増していく。
付け合せた証言から露わになった嘘。
ポワロの推理にキャンキャン言っているおっさんズが
素人代表!的な感じで良い味出していました。
ポワロが取り出した毛先をカールするための焼きごて。
「口髭に使っているんです」
「毛先をカール」から毎朝使っているヘアアイロンを連想した私は
こてにそんな使い方があったことにびっくり。
今回、これが一番のびっくりだったかも。←事件全く関係ない(笑)
「ぼくのワンピース(下)」山田睦月/菅野彰 (ウィングス・コミックス)
泣くな、と言われても、こみあげる涙を止めることは難しい。
ってか、私無理な気がする。
だけど、真人の言葉通り綺麗に笑った等。
二人で築いてきた7年間の繋がりの深さ……なのかな。
あんなふうに人生に影響を与えあえる関係ってそう簡単に築けない。
気付けば「ぼくの」から「ふたりの」に変わっていたワンピース。
等の自己肯定はとても嬉しかった。
ただ、傍らに真人がいないことが哀しい。
別離は不可避。
痛みも哀しみもすべて抱えて生きていく。
いつかやわらかでやさしい思い出に変わる日を信じて。
ものすごく印象深い作品になりました。
菅野さんの原作と山田さんの漫画。
これしかない!という素敵なコラボでした。
絶対に無理だけど、自分のお葬式を俯瞰して見てみたい。
私も華やかなのがいいなー。
「ぼくのワンピース(上)」山田睦月/菅野彰 (ウィングス・コミックス)
華やかな告別式から始まる物語。
式に招かれた人たちは「最も派手で華やかな衣装」を身に纏い、
彼のことを語り、彼のことを思いながら、かつての自分を振り返る。
「自分とは何か?」
突きつけられる問いは簡単に答えが見出せるものなどではなく、
ひとたび迷子になってしまったら、思索の迷路を彷徨い歩くことになる。
考え続けることも、考えることを放棄することも各人の自由。
自分が最も楽に生きられる道を見出すことが出来ればそれでいい。
だけど、それが難しいんだよね。
常に泰然としていた真人が抱えていた大きな秘め事。
覚悟はできていても息を呑む。
前にも言ったけど、
2年生存率を考えざるを得ない状況になった時の私の心の安定剤は北方の『水滸伝』だった。
生きる時は生きる。死ぬ時は死ぬ。
自分にとっての生存率は0か100。
その達観の仕方がなんかすっごい落ち着いた。
「東方美人2 千年王国」かわい有美子 (幻冬舎ルチル文庫)
望んでその仕事を選択したわけではない。
にも拘らず、そして仕方がないと諦念を抱きながらも、
その任務に就き、優秀な成果をあげる。
そうせざるを得ない仕組みを作り上げたKGB。
やっぱり怖いわ。
ベルリンからイギリスを経由し、舞台はまさかのアフガンへ。
アレクセイと行動を共にするにつれ、変化を兆していくサエキの心情が
痛々しいんだけど、愛おしい。
アレクセイは一貫してぶれなかったなぁ。だからこその安心感。
ベルリンの壁の崩壊に合わせた見事な着地。
激動の時代を、そしてそこに生きる男たちを書き切った重厚な物語。
読み応えありました。
読みながら何度も頭を過ったのは『ツーリング・エクスプレス』
その中でもロシアン・エクスプレス。
そしたらラストがメッチャシンクロしていて、おぉ!となりました。
今年は桜をのんびりと鑑賞できるような状況ではなかったので、
来年は是非とも満開の桜を存分に鑑賞できますように!
見たい桜はまだまだたくさんあるのよ~~。
「東方美人」かわい有美子 (幻冬舎ルチル文庫)
東西冷戦下のソビエト。
ベルリンの壁が存在したドイツ。
各々が終焉を間近に迎えた1980年代が舞台。
ヒリヒリとした緊張を孕んで展開していく
重厚感のある物語にのめり込む。
KGBの諜報員の仕事の殺伐とした感じと孤独感がひしひしと伝わってきて薄ら寒くなる。
後出しみたいに縛り事が出てきて、気づけば故郷に帰れない。
家族にも会えない。
私、絶対無理。
組織のことを多くは知らずに任務についたアレクセイと、
諜報員として有能でありつつ孤独の淵に在ったサエキ。
この二人の距離感の縮まり方がとても良い。
お互いに出逢えたことを尊ぶ二人の行く末は?
『チャイルド44』に始まるレオ・デミドフ三部作を読んだ時の
鬱々とした気持ちを思い出したわ~。
スターリン時代のソビエトを描いた作品で、感想の中で私
「この時代のこの国で生き抜ける気がしない」と再三言ってたけど、
その思いはこっちの時代でも変わらず。
この物語はベルリンの壁崩壊で終わるのか、ソ連の解体で終わるのか。
ものっすごくわくわくしながら次巻へ。
「シグマフォース外伝 タッカー&ケイン シリーズ1 黙示録の種子 上」 (竹書房文庫)
元米軍兵士のタッカーと、元軍用犬のケイン。
互いを「相棒」と認識しあう一人と一匹の物語。
シェパードのケインの利口さとその活躍っぷりにひたすら目を瞠る。
そしてタッカーに対するケインの愛情深さに目尻が下がる。
時折混じるケイン視点の描写がリアルで、
頑張っているケインをとてもとてもモフりたい。
……と、緊迫感のないことを想いつつ。
渦中の人達は命からがらの危機を逃れつつ、
なんとか目的地へ辿りつこうと必死の大移動。
何がヤバくて追われているのかはタイトルの通り。
広げた大風呂敷を畳むのは下巻にて。
友だちのおうちの子が「カイン」という名前のシェパードなんだけど、
ものすごーーい甘えっこ(笑)
それはそれでその子の個性。
シグマフォースシリーズ外伝。
物語の構成は本編と同じだけど、本編より読みやすい気がする。
「不愉快犯」木内一裕 (講談社文庫)
どんな役割を振るのであれ、他者を介在させた時点で「完全犯罪」が成立する確率って
格段に減ると思うんだよね。
自分で完全にコントロールできない不確定要素はあってはならない。
自己完結できなかった時点で、彼の目論見が成立する確率は100%を切った。
自己陶酔した彼のマスターべーションみたいな犯罪語りが、言ってみれば「不愉快」なので、
読み切れない事態にぶち当たった彼が混乱するに至って、
そううまくいくわけがない、とほくそ笑む。
個人的にはノボルが青臭く爆発したシーンが好き。
人情味あふれる良いデカになると思うよ。
でも一番はここでも佐藤推し。
『デッドボール』と同一キャラ。
ん? 何で? パロ?? 使いまわし?? と混乱。
気付いた瞬間から二次創作っぽく感じられたのが残念かな。
そして、「吉野家で食事をして」を「よしのけで食事をして」と読み、
「え? 吉野さんってどこで出てきた!?」と混乱。
読んでる途中で戻ることってほとんどないんだけど、
さすがにちょっと戻って「よしのや」と理解。
びっくりしたー。
