きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
『仮面の告白』三島由紀夫 新潮文庫
己の性癖に葛藤と煩悶を繰り返した少年時代。
この時代の描写が秀逸。
艶めかしさと婀娜めかしさ、そしてその背徳感に身震いを覚える。
紡がれる言葉の、なんと美しいこと。
隠匿すべき衝動に震える少年は、いつしか処世術としての演技を身に着ける。
同性への衝動を周囲の人間に気取られぬためには、
仮面を被った道化になるしかなかったのかもしれない。
女を愛せるという演技をし、園子とのつながりを欲し続けたのは、
「ふつう」で在りたいという願望の表れか。
マイノリティであるが故に、孤独で在ること畏れたのかもしれない。
人は画一的である必要はない。
だが、それは、今の時代であるからこそ言える言葉なのだろう。
鬼気迫るものが薄れてきた後半で、ようやく息が付けたものの、
前半部を読みながら、比喩ではなくクラクラしました。
言葉に絡みつかれるような、そんな感覚に囚われて。
内容紹介
「私は無益で精巧な一個の逆説だ。この小説はその生理学的証明である」と作者・三島由紀夫は言っている。女性に対して不能であることを発見した青年は、幼年時代からの自分の姿を丹念に追求し、“否定に呪われたナルシシズム"を読者の前にさらけだす。三島由紀夫の文学的出発をなすばかりでなく、その後の生涯と、作家活動のすべてを予見し包含した、戦後日本文学の代表的名作。
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「小さな君の、腕に抱かれて」菅野彰(ディアプラス文庫)
軽く言える「さよなら」と身を切られるような「さよなら」がある。
好意を持っている相手との、
二度と会えないことがわかっている「さよなら」はとても切ない。
「久しぶり」と思わぬ偶然に手をあげる再会もあれば、
ひたすら探し求めて偶然を装う再会もある。
人と人。
深く関わりあえば、良くも悪くも何らかの影響を及ぼしあうのは必須。
誰かの支えがあったからこそ、笑っていられることもある。
だから、そんなに負い目に感じなくてもいいんだよ、
と、奏一には言ってあげたくなって、後半ちょっと辛かった。
だけど祐貴は、あのときより幸せな自分にきっと出会える。
たぶん、出会えている。
とんでもないことを言い出した峰崎が実は常識人だったことに安堵して、
そして、彼もまた、過去に捕らわれた人であったことを知って愛しくなりました。
個人的には峰崎が大変好みでした。
巴ちゃんとの12年後は是非!
それにしても……しんみりとした余韻がペーパー読んで台無し!と思ったのは
私だけでしょうか?(笑)
面白かったからいいんですけど。
ってか、面白すぎました。
内容(「BOOK」データベースより)
ある朝ほぼ全裸で目覚めた大学の図書館司書の奏一は、勤務先の学生が一緒にいることに愕然とする。その彼・祐貴は、思わせぶりな言葉を紡ぎ、脅すように度々部屋を訪れるが、触れてくる手はとてもやさしい。とまどう奏一は、ようやく記憶の底にあった八年前の、短い季節を思い出す。小さな手でしがみつきながら、何度も「歌をうたって」とせがんだ、幼い少年のことを…。一途な年下攻ラブ・ストーリー!!
「世界の名詩を読みかえす」(いそっぷ社)
美しいイラストと読み継がれてきた名詩の素敵なコラボ。
一気読みするものではないなぁ、と、
数日かけて作家たちの言葉を追いかけました。
ヘッセはやさしくて淋しい。
リルケは愛。
ゲーテは力強さ。例えるなら父。
ハイネは繊細。
ケストナーは皮肉屋。
ボードレールは絵画的。
ランボーは挑発的。
カフカは幻想。
ブレヒト、グラス、ホイットマンははじめましての作家さんだったため
具体的なイメージが浮かびませんでした。
ということは、私の彼らに対するイメージは、収められている数編の詩からというよりは、
今まで読んできた彼らそのもののイメージということなんですね。
ヘッセとランボーは私の中では別格。
鎌倉散策中に素敵な建物に出会いました。
「あら、カフェかしら?」
と、足を向けたその建物は「葉祥明美術館」
そこで手にしたのがこの本です。
大好きな作家さんの胸打たれる詩が素敵なイラストに彩られていて、
うっかり涙ぐんでしまいまして(^^;……自分土産にお持ち帰りした本です。
改めて読んでうっとりしました。
内容(「BOOK」データベースより)
青春のはかなさを叙情豊かにうたったヘッセ、恋愛のロマンチシズムにただよう寂しさをつづったハイネ、人間の卑小さをわらい、社会に怒りをむけたケストナー、人生の暗闇を美しい言葉で描いたボードレール、自然の雄大さを素朴な筆致で浮き彫りにしたホイットマン、…ほか、リルケ、ゲーテ、ランボー、カフカ、ブレヒト、グラスの名詩45編を収録。
「チーム」堂場瞬一(実業之日本社文庫)
一生のうちでただ一度、刹那に賭ける瞬間があってもいい。
走るときは一人。
だけど、孤独ではない。
限界を超える力を振り絞って走る彼らを支えるのは、
仲間の存在であり、声援であり、そして自分自身を信じる気持ちである。
その原動力は、チームメイトとの信頼と友情。
同じ高みを目指す以上、ある種の一体感は存在する。
勝つためには、そうでなければならない。
学連選抜。
にわかに集まった彼らが目指した「優勝」という最高点。
温度差がある中で反発しあながらもまとまっていく彼らの在り方がとても良かった。
非情に徹しきれなかった彼ら。
同じ痛みを感じて一皮剥けたエース。
ライバルであり、親友である存在。
そして、浦。
最後の山城の言葉に落涙でした。
「ここが限界だと思った瞬間から、本当のスタートが始まるんです」
そう言っていたイモトの言葉を思い出した。
堂場さんは刑事ものばかり読んでいたけど、
スポーツ小説も安定の読みやすさと面白さでした。
野球!野球も気になります!
内容(「BOOK」データベースより)
箱根駅伝出場を逃がした大学のなかから、予選で好タイムを出した選手が選ばれる混成チーム「学連選抜」。究極のチームスポーツといわれる駅伝で、いわば“敗者の寄せ集め”の選抜メンバーは、何のために襷をつなぐのか。東京~箱根間往復217.9kmの勝負の行方は―選手たちの葛藤と激走を描ききったスポーツ小説の金字塔。巻末に、中村秀昭(TBSスポーツアナウンサー)との対談を収録。
「悲しみのイレーヌ」ピエール・ルメートル(文春文庫)
混在する真実と虚構。
彼らは何処までが彼ら自身だと言えるのか。
『悲しみのイレーヌ』
ある意味、虚像のままだった彼女。
これは、犯人ありきの物語。
破壊される人間の描写に、いや、もうたくさんです。
キャパオーバーで感覚麻痺ってきました!と言いたくなった第一部。
そこから展開される怒涛のような第二部。
描かれている彼らにどこまで肩入れしていいのかは、
次作を読んでからじゃないと判断がつかないじゃん!と、唸ってしまう結末。
口直しが必要な読後感ではあったけど、
最後まで失速することなくグイグイと読ませる展開はさすがでした。
個人的には『ブラック・ダリア』読了後の本作で思いっきりタイムリー。
ルメートルは『その女、アレックス』を読んだからこそ、
他の作品も手に取ることになった作家ではあるけれども。
未読の方は『悲しみのイレーヌ』→『その女、アレックス』の順番で読まれることをおススメします。
とはいえ、完成度と面白さでは断然『アレックス』だと思うので、
『イレーヌ』のザラザラした読後感にめげずにチャレンジしてもらいたいです。
内容紹介
『その女アレックス』の刑事たちのデビュー作
連続殺人の捜査に駆り出されたヴェルーヴェン警部。事件は異様な見立て殺人だと判明する…掟破りの大逆転が待つ鬼才のデビュー作。
「閃光スクランブル」加藤シゲアキ(角川文庫)
【そこで生きられるのはよっぽどの天才か、鈍感な人間だけなんです】
「有名税」という言葉が頭を過った。
プライベートが切り売りされることは、
芸能人で在り続けるための代償のようなものなのか。
ゴシップになりそうなネタには喰いつかれても、
華々しい笑顔の裏の、血の滲むような思いが顧みられることはない。
アイドルで在り続けることはかくも大変だ。
程度の差こそあれ、日常で惑い、悩むのは、芸能人も一般人も変わらない。
人生が壊れるほどの衝撃。
自らを傷つけなければ収まらない衝動。
呑みこんだ毒や哀しみは癒えなくとも、吐き出すことはできる。
要は、その相手がいるかどうか、なのかな。
「取り戻そう。これからの日々を」
モノクロの世界から鮮やかな世界への脱却。
お互いにとってプラスに作用するような出逢いはとても素敵だと思う。
スクランブル交差点での決別のシーンがとても好き。
頑張って生きるあなたたちにエールを。
内容(「BOOK」データベースより)
人気アイドルグループのメンバー・亜希子は、世代交代の現実に思い悩み大物俳優と不倫を続けている。最愛の妻を亡くし、ゴシップカメラマンとして生計を立てる巧はそのスクープを狙っていた。2人はある事件を機に出会い、思いがけない逃避行が始まる。瞬く光の渦の中で本当の自分を見つけられるのか。渋谷スクランブル交差点で激しく交錯するパパラッチと女性アイドルの人生―愛と再生を描く疾走感あふれるエンタメ小説。
「弔愛~甘美な悪魔の囁きに~」鳩村衣杏(ガッシュ文庫)
【完璧な人間がいないように、完璧な愛などどこにもないのだ】
忍耐と諦念の中にいた憂里が、自らの力で立ち上がることを決意する。
そして、城上もまた、現状を打破するための最良の策を模索していた。
少しずつ変わろうと、いや、変えていこうとする意志が運命を揺り動かす。
願わなければ、そして、動かなければ何も変わらない。
一之瀬が引き合わせた出逢い。
彼が願った通りに収束するのが一之瀬に対する手向けだとするなら、
これ以外はないエンディングだろう。
「完璧な人間がいないように、完璧な愛などどこにもないのだ」
故に、愛とは育んでいくもの。
「与え合う」ために抱き合った二人の雰囲気がとても好き。
満足な読後感。
ハードボイルド好きにはたまらない一冊でした。
内容(「BOOK」データベースより)
愛した男が、親友を殺した―?私立探偵の城上が、託された遺言で捜し始めた亡き親友の弟。その過程で巻き込まれた、日本と極東の間にある闇の利権争い。見つけた弟は、その渦中で逃れられない檻の中にいた。抗争に終止符が打たれる時、親友の死の真相とともに城上は辿り着く。愛を壊すばかりだった自分が本当に愛しいと思う、最後の男に…。探偵、バーテンダー、極道、製薬会社社長、麻薬取締官、グルジアマフィア…闇に息する男たちの、愛を弔う哀歌。
「弔愛~群れなす天使の歌声に~」鳩村衣杏(ガッシュ文庫)
過去、というよりも、生い立ちそのものに捕らわれた男たち。
ままならない過去に雁字搦めにされたまま身動きがとれず、
どこか諦めて、それでも足掻いている。
渇くことのない傷口から迸る、哀しみと苛立ち。
諦めて、それでも求めているものは、たぶん愛情。
あからさまな憂里の挑発。
そこで抱いちゃったらダメでしょ!と思ったわけですが……
いや、だからこそのろくでなしのダメ男なんだと、
妙なところで納得しました。
(←城上、嫌いじゃないです)
「闇に息する男たちの、愛を弔う哀歌」
果たして彼らの運命の行方は?
彼らの傷はただ黙って抱きしめたくなるようなやるせなさで膿んでいる。
内容(「BOOK」データベースより)
合言葉は「『天使の群れ』をウォッカで」―私立探偵の城上は、亡き親友の遺言で生き別れた彼の弟を捜すことになった。彼が死の間際に遺した3枚の写真と「天使の群れ」という言葉を追い、辿り着いたのはバー「ユーフォリア」。バーテンダーの憂里は、男を惑わす謎めいた笑みを浮かべ、「天使の群れ」と言う名のカクテルを出した。淫蕩に甘く、酩酊を誘う憂里に城上はある衝動を覚える。―この男を、壊したい。夜の果て、男たちのサスペンシヴ・ラブ、開幕。
ままならない過去に雁字搦めにされたまま身動きがとれず、
どこか諦めて、それでも足掻いている。
渇くことのない傷口から迸る、哀しみと苛立ち。
諦めて、それでも求めているものは、たぶん愛情。
あからさまな憂里の挑発。
そこで抱いちゃったらダメでしょ!と思ったわけですが……
いや、だからこそのろくでなしのダメ男なんだと、
妙なところで納得しました。
(←城上、嫌いじゃないです)
「闇に息する男たちの、愛を弔う哀歌」
果たして彼らの運命の行方は?
彼らの傷はただ黙って抱きしめたくなるようなやるせなさで膿んでいる。
内容(「BOOK」データベースより)
合言葉は「『天使の群れ』をウォッカで」―私立探偵の城上は、亡き親友の遺言で生き別れた彼の弟を捜すことになった。彼が死の間際に遺した3枚の写真と「天使の群れ」という言葉を追い、辿り着いたのはバー「ユーフォリア」。バーテンダーの憂里は、男を惑わす謎めいた笑みを浮かべ、「天使の群れ」と言う名のカクテルを出した。淫蕩に甘く、酩酊を誘う憂里に城上はある衝動を覚える。―この男を、壊したい。夜の果て、男たちのサスペンシヴ・ラブ、開幕。
「ブラックダリア」ジェームス・エルロイ(文春文庫)
読み応え抜群の壮大な物語。
引き込まれ、魅了され、全力を使い切ったような読後の脱力感が心地良い。
発端はとある殺人事件だった。
浮き上がる点と点。
追い続ければ、それがひとつの線となり、思いもよらない事実が浮かび上がってくる。
そんな中、たくさんの人の人生が狂わされ、たくさんの命が失われた。
悪鬼のような所業を語る口で、家族への愛情を語る。
矛盾が当たり前のように同居する人間に戦慄を覚えた。
殴り合いから生まれた友情。
凄惨な事件の真相を追い続ける中で、いつしか築かれたバランスの良い正三角形。
欠点だらけの彼らの在り方が、私はとても好きだった。
そしてとても哀しかった。
彼らの積み重ねた嘘がやるせない。
私も彼らの平安を祈ろう。
エルロイは初読だったけど、かなりいい!とても好き!
まずはLA暗黒四部作を追いかけます。
読書の楽しみが増えました!
内容(「BOOK」データベースより)
1947年1月15日、ロス市内の空地で若い女性の惨殺死体が発見された。スターの座に憧れて都会に引き寄せられた女性を待つ、ひとつの回答だった。漆黒の髪にいつも黒ずくめのドレス、だれもが知っていて、だれも知らない女。いつしか事件は〈ブラック・ダリア事件〉と呼ばれるようになった―。“ロス暗黒史”4部作の、その1。
「あなたをずっとずっとあいしてる」宮西達也(ポプラ社)
草食のマイアサウラが拾ったたまごは、なんと、肉食ティラノサウルスのたまご。
自分のたまごと一緒に大事にあたためて、
うまれてきたティラノサウルスに仰天して一度は捨てにいくけれども。
鳴き声を聞いてしまったらもうだめだよね。
抱き上げたティラノサウルスを自分の子供と一緒に分け隔てなく育てます。
そして、こころやさしく成長したティラノサウルスは、
奇跡的に自分の本当の父親に出逢い……
後半、泣き顔ばっかりの彼らの姿に切なくなります。
でも、感じられるのは溢れんばかりの愛情とやさしさ。
やっぱりこのシリーズ大好きです。
しばらくちびっこたちと一緒には読めそうもない本。
何故なら私が真っ先に泣いてしまうから。
内容(「BOOK」データベースより)
こころやさしいマイアサウラのおかあさんは、あるひ、たまごをひとつひろいました。じぶんのたまごといっしょに、たいせつにそだてていると、うまれてきたのは…。大人気のティラノサウルスシリーズ第4弾。
