きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ガラスの街」ポール・オースター(新潮文庫)
意識は定まることなく常にどこかを浮遊し、
物事を俯瞰しているのか、とても狭い一点を凝視いているのかわからなくなる。
物語が進行するにつれ、虚と実の曖昧さに眩暈がする。
街そのものに存在が溶け込んでいくような不安定さ。
けれども、そこに混乱はなく、淡々と語られる物語を追い続ける。
探偵は探偵として機能せず、いつしか透明な存在へと成り変わっていく。
そして冒頭の「どこにもいないこと」という言葉が腑に落ちる。
存在の不確かさに想いを馳せ、自らがここに在ることを確認するかのように息を吐く。
立ち返った現実で噛みしめるのは、とても不思議な読後感。
【ガーディアン必読1000冊】
理解はしきれていないんだろうなぁ、と思います。
でもそれでいいんじゃない?と思える物語。
カテゴライズは多分、必要ないんだろうな。
しばらく積んでた「ムーン・パレス」と同じ著者だということに、読後に気付きました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
「そもそものはじまりは間違い電話だった」。深夜の電話をきっかけに主人公は私立探偵になり、ニューヨークの街の迷路へ入りこんでゆく。探偵小説を思わせる構成と透明感あふれる音楽的な文章、そして意表をつく鮮やかな物語展開―。この作品で一躍脚光を浴びた現代アメリカ文学の旗手の記念すべき小説第一作。オースター翻訳の第一人者・柴田元幸氏による新訳、待望の文庫化!
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「日々之好日」松本花(ディアプラスコミックス)
可愛くてかわいくて、とにかくかわいかった(笑)
発情期でモヤモヤしているところに、まさかの四人ゴッチンコでの入れ替わり。
入れ替わることによって相手の身体の事情を理解したり、
物事が客観的に見えたり、で、銀とのんの関係性に変化の兆し。
友の発情期疑惑にきちんと向き合った先生と、サラッと真実を語った銀。
友の愛くるしい笑顔は無敵だと思いました。
大人コンビ、雪と銀の入れ替りは凄味と色気がありましたね~。
風水コンビは入れ替わっても……うん。どっちでもよい気がしてきた←良くないです(笑)
またどこかで彼らに会えることを期待したいです。大好き!
身体銀×雪、中身雪×銀。ものっすごいドキドキしました!
番外編の発刊を教えてくださいましてありがとうございます。
癒されました。
「最後の晩ごはん お兄さんとホットケーキ」椹野道流(角川文庫)
【『みんな』が自分の周りにいてくれるってのが、
幸せなんだよなあ、きっと】
親子でも兄弟でもその関係は個と個で、
道を正すことはままあっても、
価値観を押し付けることは間違っている。
修復できない程に行き違ってしまった兄弟の関係。
そこに至るまでにはそれ相応の理由があって、
それなのに関係の修復をちらつかせる奈津の存在に、
終始苛立ちを感じたけれども。
病室で兄弟がホットケーキを焼くシーンでじんわりしてしまいました。
おせっかいをやく人がいなければ、彼らはこんな時間を持てなかった。
でもそれは、彼らが家族だったからこその歩み寄り。
他人だったら多分無理だった。
だからこそ、これからの時間を大事にしてほしいなーと思いました。
そして明らかになった夏神さんの過去。
彼の後悔と罪悪感は多分、一生消えないと思うけれども。
「俺のことを助けるために生き残った!」と言った海里。
「自分の命も加えてほしい」と言ったロイド。
みんな素敵だね。
今回もご馳走が大変美味しそうでした!
内容(「BOOK」データベースより)
兵庫県芦屋市、元イケメン俳優の五十嵐海里は、夜だけ営業の定食屋「ばんめし屋」で、料理人見習いとして働き始めた。店長・夏神留二の謎めいた過去が気になるが、親しき中にも礼儀あり。打ち明けてもらえる日を待っている。そんなある日、獣医だという女性客がやってきた。彼女はなんと、海里の兄の婚約者。しかし海里と兄とは派手にケンカ別れをしたきりで…。とびきり温かく、優しい絆がここにある。泣けるお料理青春小説。
「青を抱く」一穂ミチ(フルール文庫 ブルーライン)
友へ、息子へ、兄へ、恋人へ。
いろいろな「ありがとう」の詰まった優しい話。
みんな自分ではない誰かのことを考えて、一生懸命生きている。
そして、みんな秘密を抱えていて、吐き出せずに苦しんでいる。
色々な想いがジワジワと染みてきて、胸が締め付けられました。
家族が家族として支えあって、きちんと纏まっていて、安堵します。
そして、泉と宗清との必然的な出逢いと、運命的な恋。
恋愛っていいなぁ、と、素直に想える二人の関係性が好き。
細かい描写を曖昧なままにせずに、しっかり回収しているところが一穂さんだなぁ、と思いました。
居酒屋での宗清と靖野との秘密の共有。
その内容を問い詰めるのではなく、「悪い気はしない」といった泉。
この三人の関係性、好きだなーと思いました。
内容(「BOOK」データベースより)
静かな海辺の街で暮らす和佐泉は、毎朝の日課で海岸を散歩中、ひとりの男と出逢う。少し猫背の立ち姿、振り向いて自分を映した黒目がちの瞳―叶宗清は、海での事故以来、病院で2年間目覚めないままの弟の靖野によく似ていた。旅行中だという宗清の飾らない人柄を疎ましくも羨ましく、眩しく感じてだんだんと惹かれていく泉。だが泉には、同じように好意を寄せてくれる宗清には応えられないある秘密があって…。
「新宿ラッキーホール」雲田はるこ(Feelコミックス オンブルー)
どん底を知っているからこそのやさしさとしなやかさ。
懐の広さと余裕をうかがわせる彼らの過去は、決してやさしいものではないけれども。
今の彼らの笑顔が、人生は捨てたもんじゃないっていう気持ちを
物語っているのかなぁ、と思います。
「俺が生かしてやる」
絶望の淵に立っていた苦味にサクマが言った言葉。
管理される生活からの自立。
そこからの、二人三脚の人生。
思えば、お互いに人生を変えあった苦味とサクマなんだよなぁ……
垣間見れる二人の絆がぐっとくる。
いろんな感情がジワジワくる良い話でした!
そしてサクマが個人的には大変好みでした。
借本。表紙→裏表紙の流れがほんわりしていて、良い意味で力が抜けました。
組長さんも何気に良い人だった。
でも、なんと言ってもサクマが!!←まだ言う(笑)
「おまえうまそうだな」宮西達也(ポプラ社)
【ぼくもはやくおとうさんみたいになりたいなぁ】
肉食のおとなティラノサウルスと草食のアンキロサウルスのあかちゃんとの出逢いから始まる物語。
タイトル通り、「おまえうまそうだな」とぱくっと口にしようとした
無垢で無邪気なあかちゃん恐竜の言葉や態度から、ティラノサウルスに知らず、芽生える父性。
あんなふうに慕われちゃったら守ってあげたくなっちゃうよね。
実のおやこのように仲睦まじい二匹。
でも………
あかちゃんのためを思ってのティラノサウルスの決断には泣いてしまいました。
うわー、すごいいい話!
これは子どもよりも大人の方がぐっとくる話だと思います。
独特なタッチと色遣いの絵は、この世界観にとてもマッチしていました。
「おまえうまそうだな、っていってティラノサウルスが草食恐竜のあかちゃんに出会う絵本を買ったの」
「え?で、あかちゃん恐竜食べちゃうんですか?」
「ちがうよ!ティラノサウルスがあかちゃん恐竜と仲良くなるの!」←私の事前知識ここまで。
「えー?じゃあ、ティラノサウルスは何食べるんですか?お腹減るじゃないですかぁ!」
「…………」
本日の私と会社の子との会話。
とりあえず彼女の答えは文中にあったけど……目の付け所が斜め上でしたww
内容(「MARC」データベースより)
おなかをすかせた大きな恐竜が、あかちゃん恐竜を見つけてとびかかろうとすると…。お父さんにまちがえられた大きな恐竜と、あかちゃんの愛情の物語。
『はつ恋』榎田尤利(ビーボーイノベルズ)
【ここなのだと思った。
僕のいるべき場所はここなのだ。
抱きしめるべき人は彼なのだ。】
もしも時間が巻戻ったら?
例えば、同じ本を読んでも、その本を読んだ年齢によって感想が変わるように。
同じ事象を体験したとしても、人生経験が積まれる分、感じ方も変わる。
そんな心の揺れがとても丁寧に描かれていて、なんだか引き込まれました。
久我山が「恋」を自覚し、その「恋」が手に入らなくて泣くシーン、すごく好き。
人を好きになることで、性格も変わる。
曽根に恋をした久我山は、内面的にとってもかっこよくなったと思う。
お互いがお互いに対して放った言葉、「生きててくれてよかった」がズシリと響きます。
今のこの歳で読んだからこそ、よかったなぁ、と思えるストーリーかな。
素敵な物語でした。
十五年分のキスの数。
計算結果は何回になったのかしら?気になる……
内容(「BOOK」データベースより)
事故が原因で2度目の高校生活を送る久我山。大人びて冷めた瞳の久我山に、担任の曽根は親身になってくれる。うっとうしい教師だったはずの曽根を知るにつれ、その甘い声をもっと聞きたくなってしまう久我山。胸が痛むほどのこの想いに名前があるとすれば―恋。しかし曽根には恋人がいるうえ、自分はただの生徒にすぎないと知り…。それでも彼を守りたい。未来を変えるために、今、恋をする。
「死のドレスを花婿に」ピエール・ルメートル(文春文庫)
他人の生活を踏みにじり、身勝手な理由でぶち壊す妄執と狂気。
知らぬ間に悪意が生活の中にスルリと入り込んでくるその様は、まるで透明な蛇。
見えない蛇がそこらじゅうを這いずり回って全てを伺っているかのような、
得体のしれない気持ち悪さに背筋がゾワリとする。
それでも、ソフィーの強さとしたたかさには拍手喝采。
オーヴェルネ氏の機転のきいた連係プレイも素晴らしかった。
逆恨みとしか言いようのない行為を繰り返した彼の末路は因果応報。
どゆこと?とぐるぐるする1章。うわ、キモチワルイ!と悪意に戦く2章。
そして3章から4章へと展開される逆転劇。
読み始めたら、最後まで一気読みでした。
読み進めていくと、このタイトルにも激しく納得。
次は爽やかな話しが読みたい(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
ソフィーの目の前に転がる男児の無残な死体。ああ、私はついに人を殺してしまった。幸福だった彼女の破滅が始まったのは数年前。記憶にない奇行を繰り返し、彼女はおぞましい汚名を着て、底辺に転落したのだ…。ベストセラー『その女アレックス』の原点。あなたの心を凍らせる衝撃と恐怖の傑作サスペンス。
「ハツカネズミと人間」ジョン・スタインベック(新潮文庫)
【だって、おれにはおめえがついてるし、おらにはおめえがついている】
そしてジョージは夢を語る。
安全装置を外した拳銃の引き金に指をかけて。
もう、手の届かなくなってしまった夢を語る。
互いに支えあいながら生きてきたレニーを苦しみから救う為に
夢を語りながら引き金を引く。
どの場面を顧みても仕方なくて、仕方ないからこそやるせない。
「こんなところはいやだ」と言ったレニーの言葉が重くのしかかる。
ジョージの選択を理解したスリムの存在は、
果たしてジョージの傷を和らげることはできるだろうか?
大地と共に泥臭く生きる男たちの悲劇的な物語。
個人的には何度読んでも胸が軋む不朽の名作。
【ガーディアン必読1000冊】
初読の時の感想はレニーはジョージの行為を全く予測できないいまま死んでいった、
と書いてあったけど。
もしかしたらレニーはこれから起こることをわかっていたのかな?と思った今回。
余計に切ない。
再読なのに涙腺が壊れました。
内容(「BOOK」データベースより)
一軒の小さな家と農場を持ち、土地のくれるいちばんいいものを食い、ウサギを飼って暮らす―からだも知恵も対照的なジョージとレニーという二人の渡り労働者の楽園への夢。カリフォルニアの農場を転々とする男たちの友情、たくましい生命力、そして過酷な現実に裏切られて起こる悲劇を、温かいヒューマニズムの眼差しで描く。戯曲の形式を小説に取り入れたスタインベックの出世作。
