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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ふがいない僕は空を見た」 窪美登(新潮文庫)



【神さまどうか、この子を守ってください】


キレイな世界でも、特別な世界でも、悲惨な世界でもなく。
そこにはあたりまえの日常が描かれている。
そんなあたりまえの日常の中で、
それぞれが痛みを堪え、誰かに嫉妬し、誰かを愛し、そして他人には言えない秘密を抱えている。
それが、誰にでも起こりうることだからこそ、彼らのやるせない想いがリアルに伝わってくる。
痛くて、切なくて、やさしい想いが流れ込んでくる。

この本は五つの物語が連なって、一つの物語を構成している。
一話目より二話目、二話目より三話目と、グイグイ引き込まれるように頁を捲った。
たとえば………
良太は卓巳に自分のしたことを告白したのか。
あんずの旦那のいやがらせ行為は終わったのか。
卓巳と七菜はどうなったのか。
答えは読者の想像に委ねたまま、物語は幕を下ろす。

子供を想う母親の気持ちが、何よりも胸に刺さった。


内容(「BOOK」データベースより)

高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが―。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R‐18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。


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「悪党」 薬丸岳(角川文庫)



【いつでも笑っていいんだぞ。
 いや、笑えるようにならなきゃいけないんだぞ。
 おれたちは絶対に不幸になっちゃいけないんだ。】

「業」という言葉の意味を「行為」と捉えるのなら。
まさしく、人生とは「業」だと思わせられた作品。
人のあらゆる行為は「点」で帰結することはなく、すべてが「線」となってつながっていく。
被害者や被害者の家族の人生も、そして、加害者や加害者の家族の人生も。
「事件」が起こった後も、脈々と続いていく。
人生に幕が引かれるその瞬間まで。
犯罪というものに巻き込まれた人々の記憶は決して薄れることはなく、
癒えることのない傷を抱えたまま、日々を過ごしていかなければならないのだ。

どうしたら赦すことができるのか。
どうしたら赦されることができるのか。
当事者ではない私は、語る言葉を持たない。

ただ、佐伯のまわりには、彼を見守り、支えてくれる人たちがいてよかったと。
そう、思った。
一人ではないと、実感できること。
自分に好意を持ってくれている人たちと、同じ時間を共有できること。
そして、そんな人たちに心を開くことができること。
それらのことが、人を強くもするし、やさしくもする。
そして、歪まずに生きる力を与えてくれる。


内容(「BOOK」データベースより)

探偵事務所で働いている佐伯修一は、老夫婦から「息子を殺し、少年院を出て社会復帰した男を追跡調査してほしい」という依頼を受ける。依頼に後ろ向きだった佐伯だが、所長の木暮の命令で調査を開始する。実は佐伯も姉を殺された犯罪被害者遺族だった。その後、「犯罪加害者の追跡調査」を幾つも手がけることに。加害者と被害者遺族に対面する中で、佐伯は姉を殺した犯人を追うことを決意し…。衝撃と感動の社会派ミステリ。


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「指揮官たちの特攻」 城山三郎(新潮文庫)



【特攻を考えた奴は、修羅だ。
 特攻を命じた奴も、修羅だ。】

特攻。
それは、戦略でも戦術でもなく、ただのやけっぱち。或は、虐殺。
立場上、拒絶することのできない人たちに、同じ人として、どうしてそんな命令を下すことができたのだろう?
人の命は、そんなに軽いものではない。
そして、そんなふうに散らしていいものでもない。
死ぬとわかっていて鋼鉄の機体に乗り込んだ彼らの想いは計り知れない。
彼らが守りたかったものは、たぶん、家族。
彼らの背中を押したのも、たぶん、家族。
そんな命令を発した人や国家ではないはずだ。

過去の歴史はすべて、私たちの存在する現在へとつながっている。
今を生きる私たちは、かつて、そのような出来事があったことを忘れてはいけないんだと思う。


内容(「BOOK」データベースより)

神風特別攻撃隊第一号に選ばれ、レイテ沖に散った関行男大尉。敗戦を知らされないまま、玉音放送後に「最後」の特攻隊員として沖縄へ飛び立った中津留達雄大尉。すでに結婚をして家庭の幸せもつかんでいた青年指揮官たちは、その時をいかにして迎えたのか。海軍兵学校の同期生であった二人の人生を対比させながら、戦争と人間を描いた哀切のドキュメントノベル。城山文学の集大成。

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「悪意の手記」 中村文則(新潮文庫)



【不意に、どこまでも行こうと思った。
 どこまでも堕ちていけば、いずれ自分を、
 何かが虫のようにひねり殺してくれるような気がした】

タイトルと内容を見て想像した「悪意」とは大分意味合いの違う悪意。
死への恐怖から逃れるために世界を憎悪し、
死への衝動を断ち切るために親友を殺す。
そして殺人という重さから逃れるために人間の屑であることを目指した
主人公の気持ちに寄り添うことなんてとてもできなくて、
でも、気づけば彼の綴る言葉から目が離せなくなってしまっていた。

達観したようにみせかけつつ、自分の犯した殺人という罪に苦悩し、
世界の醜悪に塗れることまで想い描きながらも、
結局は「私」の言うところの「悪意」に染まりきることなく、むしろ、贖いの様相を呈してこの手記は閉じられる。
人はなぜ人を殺してはいけないのか。
人はなんのために生きるのか。
読み手にはずしりと重い、問いかけが残されたまま。


内容(「BOOK」データベースより)

至に至る病に冒されたものの、奇跡的に一命を取り留めた男。生きる意味を見出せず全ての生を憎悪し、その悪意に飲み込まれ、ついに親友を殺害してしまう。だが人殺しでありながらもそれを苦悩しない人間の屑として生きることを決意する―。人はなぜ人を殺してはいけないのか。罪を犯した人間に再生は許されるのか。若き芥川賞・大江健三郎賞受賞作家が究極のテーマに向き合った問題作。


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「アクセルワールド 15」 河原礫(電撃文庫)



【いや、祈るだけでは足りない。
 持てる知恵と力の全てを振り絞り、現実にするのだ】

以下、ガッツリネタバレ含みますので、ご了承くださいませ。









次巻で一区切り!という前巻のあとがきを信じていたわけだけど……
ぬおぉぉぉ!!??という絶叫とともに15巻読了。
えっと。
区切れてません!!!!

とはいえ物語はこの巻で加速度的に進展したなぁ。

まずはニコ!
無事に救出されて良かった><
しかも、やり返すぜ宣言できちゃうくらい元気で良かった。
この借りは是非とも50倍返しで!

そしてライダー。
ああ、なんかもう、これは個人的な好みの問題だけど。
オトコマエすぎ。
彼の登場は今回限りなのかなぁ……

まぁ、記憶のコピーとかは反則技な気もしないでもないんだけど(^^;
これは後々加速世界を構築するに至った重要な要因になり得るのかしら?

戦闘シーンはすごく良かった。
仲間を信じているからこそ、自分のやるべきことに全力で臨める。
互いに全幅の信頼を置きながら戦う彼らの姿は本当に心強かった。

加速研究会の面々は、ここでコテンパンに叩いておいてほしかったあー。


明かされた謎と、新たに投げ入れられた謎。
続き、早く読みたいデス。


内容(「BOOK」データベースより)

神獣級エネミー“大天使メタトロン”を撃破したハルユキ。この世界を汚染する“ISSキット”本体の破壊まであと少し…と思った矢先、加速研究会メンバー、ブラック・バイスとアルゴン・アレイが現れ、赤の王スカーレット・レインを拉致してしまう。ニコを守ると約束したハルユキは、戒めを解かれた大天使メタトロンの加護を受け、ブラック・バイスを追跡する。いっぽう黒雪姫は、現実世界からニコの回線を切断するため、楓子、謡、あきらとともに、ミッドタウン・タワーのポータルへと向かうが…。“最強のカタルシス”で贈る、次世代青春エンタテイメント!

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「天使のナイフ」 薬丸岳(講談社文庫)



【弱々しく途切れそうな問いかけだった。
     今でも。すべてを知った今でも。】

少年犯罪。憎しみの連鎖。そこに、さらなる悪意が折重なり、新たな不幸が広がっていく。
水面に派生する波紋のように。
十重二重に連なる事件を通して作者の提示したテーマはとてつもなく重い。
たとえいくつの子供でも、犯した罪をなかったことにはできない。
理不尽な暴力という被害を受けた方がいる限り、自分のしたことの責任は自分で負わなければいけない。
故に。
「被害者の存在を無視して真の厚生はありえない」
この言葉は真理だと思う。
厚生と贖罪は切り離して考えられるものではないのだと思う。

すべての子供たちが。
悪意に塗れることなく、健やかに育ってくれることを願ってやまない。


内容(「BOOK」データベースより)

生後五ヵ月の娘の目の前で妻は殺された。だが、犯行に及んだ三人は、十三歳の少年だったため、罪に問われることはなかった。四年後、犯人の一人が殺され、檜山貴志は疑惑の人となる。「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」。裁かれなかった真実と必死に向き合う男を描いた、第51回江戸川乱歩賞受賞作。


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「リロード」 いおかいつき(ラヴァーズ文庫)



【「信じらんねぇ。ヤルか、普通」  「ヤルだろ。普通は」】

検挙率NO1刑事でありながら、スキだらけでお馬鹿な一馬が可愛くて、頬が緩むわ~。
喉元過ぎたら忘れる単純さもいいし、自分の感情に素直で熱いところもいい。
意気込んでポジションチェンジを狙いつつ、神宮にはああやってやり込められ続けるんだろうなぁ……
というか、やり込められ続けてほしい(笑)

一見クールながらも、一馬との付き合いを深めていく中で、少しずつイロイロな表情を見せていく神宮も好印象。

お互いを認め合った男同士だからこその遠慮のないやりとりが小気味よい。
仕事ありきの恋愛模様は大好物です☆

というわけで。
続編も楽しみ~~♪


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「ハルビン・カフェ」 打海文三(角川文庫)



【愛する者を殺された者には報復する権利があるはずだ。 その権利をきみは認めないのか。

 認めるもんですか。誰にも人を殺す権利なんかない。】

めまぐるしく移り変わる視点。時代。人間模様。
全体像の見えないジグソーパズルのピースを必死でかき集め、つなぎ合わせていくような感覚は圧巻。
バラバラだったピースがどんどん組み合わされていくにつれ、この物語に深くのめりこんでいく。
だが、懸命に作り上げていくパズルの全体像はどこまでも曖昧なままで、それ故に頁を捲る手が止まらない。
自分が息を詰めて物語の世界にどっぷりとはまり込んでいたことに気づくのは、
読了後に吐き出した吐息の重さで……だ。

海市という架空の都市を主軸にさまざまな思いを巡らせながら生きる人々の物語は
まさに秋の夜長にふさわしい、濃密な物語だ。

情報量が膨大な物語。
もう一回読んだら、より楽しめるに違いない。

内容(「BOOK」データベースより)

福井県西端の新興港湾都市・海市。大陸の動乱を逃れて大量の難民が押し寄せ、海市は中・韓・露のマフィアが覇を競う無法地帯と化した。相次ぐ現場警官の殉職に業を煮やした市警の一部が地下組織を作り、警官殺しに報復するテロ組織が誕生した。警官の警官による警官のための自警団。彼らは「P」と呼ばれた―。第5回大薮春彦賞を受賞した、著者渾身の最高傑作。


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「スロウハイツの神様 上・下」 辻村深月(講談社文庫)






スロウハイツの住人は、皆がどこか不完全で、未成熟で、不健全。
だからこそ、やさしい。
最終章では文中から伝わってくるあたたかさに、泣けて仕方がなかった。
天使を見つけた彼に「良かったね」と泣ける感性が自分の中にあって、よかった。

あたしはやっぱり彼女の感性が大好きです。
痛みと優しさとが混在する、なんとも言いがたい感じが好き。

「それは、青春のある一部分にだけ響く物語で、皆、自分のその時代が終わるとそこから卒業する」
作中に出てくるチヨダ・コーキという作家の作品を評した言葉だけれども。
辻村作品が胸に響くのは、その時代から抜けきることのできないまま、
或いは、その時代を何処かに引き摺ったまま大人になってしまった所以なのかもしれない……
なーんて。
青いこと言ってますねー。(笑)


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「マリアビートル」 伊坂幸太郎(角川文庫)



【ようするに、『ぜんぜん正しくないこと』を『正しい』と思わせることは簡単だって話だよ。
                     大事なのは『信じさせる側』に自分が回ることなんだ。】

物語の舞台となるのは新幹線の車内。
中盤を過ぎたあたりから、物語は一気に加速する。
奪うものは奪われる世界で生きる彼らの死は、因果応報、或は、自業自得、だ。
現役ではないとはいえ、そんな世界で何十年も生き延びてきたご夫妻は、文字通りの伝説の業者であり、
そんな猛者を相手にして、たかだか十数年生きただけの子供がうまく立ち回れるわけがない。
自身の力に驕り、多くの人の心を弄んだ報いは、必ず受けることになる。
二度目があるのなら、彼はもっとうまく立ち回れたのだろうけれども、さすがに人生は一度きり。
リセットはあり得ない。

パーシーのシールを貼った檸檬の想いと、それをちゃんと汲み取った蜜柑。
無関心なようでお互いのことを理解しようとしていた彼らが好きだわ~



内容(「BOOK」データベースより)

元殺し屋の「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた相手に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線“はやて”に乗り込む。狡猾な中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」&「檸檬」。ツキのない殺し屋「七尾」。彼らもそれぞれの思惑のもとに同じ新幹線に乗り込み―物騒な奴らが再びやって来た。『グラスホッパー』に続く、殺し屋たちの狂想曲。3年ぶりの書き下ろし長編。


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