きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2018.11.20 「覚醒―孤拳伝 4」今野敏 (中公文庫)
- 2018.11.06 「群雄―孤拳伝 3」今野敏 (中公文庫)
- 2018.10.28 「漆黒―孤拳伝 2」今野敏 (中公文庫)
- 2018.10.26 「復讐―孤拳伝 1」今野敏 (中公文庫)
- 2018.10.23 「しゃぼん玉」乃南アサ(新潮文庫)
- 2018.10.17 「砂の器〈下〉」松本清張 (新潮文庫)
- 2018.10.16 「砂の器〈上〉」松本清張 (新潮文庫)
- 2018.10.11 「三国志13 ~極北の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
- 2018.10.08 「三国志12 ~霹靂の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
- 2018.10.01 「三国志11 ~鬼宿の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
「覚醒―孤拳伝 4」今野敏 (中公文庫)
全国を(主に山の中を)渡り歩き、
それぞれの道を究めた男たちと出逢い、学び、戦って人としての成長を遂げた剛。
一人の師の元でストイックに己を磨き上げる松原。
裏社会で一から出直すことを決めた宋陵元。
師に武道の在り方を解くまでになった蜂須賀。
かつて、闇試合で戦った男たちは、それぞれに成長し、己の歩む道を見出していく。
だが、誰もが道半ば。
その先の彼らを思い描く楽しみが読後にはある。
本当に必要な強さとは果たして何なのか。
終始、投げかけられていた問い。
シリーズを通して読めば、自ずと答えは見えてくる。
実は私、極真空手の体験入門をしにいったことがあります。
一週間通って、とりあえず無理!と思って正式な入門はやめました。
うん。
向いてない(笑)
友さんから譲っていただいた作品。
楽しく読了しました♪
ありがとうございます。
PR
「群雄―孤拳伝 3」今野敏 (中公文庫)
強さの持つ意味は?
何を持って強いと成す?
自分の欲する強さは?
彼が会得した強さとは?
「強さ」の受け止め方は人によって違う。
その体現の仕方も。
人殺しも辞さなかった蜂須賀が身に着けた深みと穏やかさ。
それによって手にした新たな境地は、緋田の存在があってこそ。
実戦経験のなかった松原が、守るべき人の為に振るった拳。
彼もまた、師匠の元でもっともっと強くなる。
そして、擬似的にでも母のぬくもりを知り、女の肌の優しさを知った剛が、
夕陽の美しさに心を震わせるシーンが印象的。
その感性がある限り、獣道に堕ちることはない。
剛もまた、二人と同じ道に辿りつこうとしている階。
それにしても……剛、自分の生い立ちを行く先々でよくしゃべるわ。
そして「人を殺した」と聞かされてもスルーな人たちの多い事。
まぁ、一筋縄ではいかない人たちの巣窟みたいな作品なので、いいのかな?
色ボケした組長に従う和泉の苦悩がお気の毒。
次巻で完結。個人的には緋田センセと蜂須賀のこれからと、
松原の恋の行方がとっても気になるところです。
「漆黒―孤拳伝 2」今野敏 (中公文庫)
はき違えた強さの探求。
戦えば闘うほど失われていく人間らしさ。
読み進める程に自分の気持ちまでが殺伐としていって、
荒みきったところで一度本を閉じて、癒し補給。
剛を修羅に代えたのは蜂須賀。
だが、彼は戦いでの敗北と、緋田との運命的な出逢いによって人間らしさを取り戻すこととなる。
この気づきはとても良かった。
一方、山中でひたすら自己鍛錬に明け暮れる三人の男との出逢いによって、
剛も再び人間らしさを取り戻していく。
「強いだけではない男の存在」
剛と蜂須賀が変わるきっかけになったワード。
己の在り様を考えることも己の成長の大きな糧になる。
松原と劉の師弟関係。
李と宋の主従関係。
蜂須賀を変えた緋田。
剛を導く男たち。
人と人。
係わることで良い方向へと導かれ、或は変化していく関係が興味深い。
蜂須賀も剛もまだ「獣」から「人間」へと生まれ変わったばかり。
他の男たちも含め、この先どう成長していくのかが楽しみ。
「復讐―孤拳伝 1」今野敏 (中公文庫)
香港の暗黒街で、文字通り命懸けの日々を生き抜いてきた少年、剛。
彼を生き延びさせてきたものは、独学で身に着けた中国武術の一つ「崩拳」。
これが、彼のその後の人生に、大きくな影響を及ぼしていく。
字を読めなかった剛が文字を覚え、
人を倒すためだけの拳が、師を得て違う意味合いを帯び始める……
はずだったんだけど。
ちがう。
そっちじゃないんだよ!
と、言いたくなる方向へと彼を押しやるのは、運命なのか、彼自身なのか。
涙と流しながら横浜の待ちをふらつく剛のこれからが気になりつつ。
武術に関しては優等生な松原が一皮剥ける姿が見てみたいとも思った私です。
昨日「この辺りまで行ったら、あとは何処がおススメですか?」と聞かれたので、
「横浜に是非!」と横浜激推ししてきた私ですが。
奇しくも舞台は横浜。
自分がメッチャ行きたくなりました。
読友様からの頂き本。
わくわくしながら次巻へ。
「しゃぼん玉」乃南アサ(新潮文庫)
人が人を変える。
人をダメにするのも、心根を入れ替えさせるのも、人。
腐りきった翔人を変えた、老齢の彼らと過ごす日々。
その日々がいくら穏やかに過ぎようとも、
過去はなかったことにはできない。
「行かなくていい」とは誰も言わなかった。
人生をやり直すためには、償わなければならないことを、誰もが知っている。
彼らは引きとめるのではなく、居場所があることを彼に知らしめる。
婆ちゃんの「待っちょる」
そして、シゲ爺の「行ってこい」
彼にとってはこれ以上の言葉はなかっただろう。
出逢いは、文字通り奇跡。
奇跡的に出会えた人たちとどう係るかは自分の在り様と努力。
大切にしたい。
祖母に会いたくなりました。
もう、絶対に会えないけど。
著者の作品で既読は『風紋』と『晩鐘』。
半端なく抉られるけど、とても好き。
今回の『しゃぼん玉』もとても良かった。
未読の既刊がたくさんあることが嬉しい作家さん。
「砂の器〈下〉」松本清張 (新潮文庫)
読後にタイトルを呟いてみる。
「砂の器」。
なるほどね。
現在の自分に確固たる自信があるなら、
どんな過去があっても築いてきたものは揺るがないんじゃない?
と、思うわけだけど、
当時の社会的では差別されかねない出自であり、
それを葬り去る為の偽りの土台であるのなら、
死に物狂いで秘密を守ろうとするしかないんだろうなぁ。
地道な捜査をコツコツと積み重ねる今西や吉村の在り様は
時代に関係なく見習うべき姿だと思う。
今西の妻は素敵な奥さんだった。
終始一貫して漂う昭和感。
だけど、平成が終わろうとしている今の時代に読んでも十分に面白い。
彼の視点で語られる、彼の半生というものにふと興味を覚えた。
良くも悪くもギラついたエネルギーに満ち溢れたものに違いない。
彼女たちの不幸は、
自分しか大事にできない男に惚れたが故の不幸。
なんだかいたたまれない。
そして、解説で積んである『赤と黒』の内容、割としっかり書かれちゃってますけどー!
どーー!!
一週間もしたら忘れるだろうけど、他の本のネタばらしはやめようね。
びっくるするから。
「砂の器〈上〉」松本清張 (新潮文庫)
漂う昭和感がとても心地よい。
頁を捲りながら北へ南へ。
具体的な地名に、
実際自分が旅をしてまわった土地を懐古する楽しさがあった。
旅もまた、時代による交通手段の違いから醸し出されるレトロ感が味わい深い。
……とまぁ、旅本の感想みたいになっておりますが。
ジャンルは所謂推理小説。
手掛りのほとんどない殺人事件の真相に辿りつこうと、
地道な捜査を懸命に続ける今西。
犯人その人よりも「仏のような善人」がなんで殺されたんだろう?
ということの方が、今の所気になるかな。
新進気鋭を気取る若者たちがこの事件とどう係ってくるのか。
わくわくしながら次巻へ。
会社を一歩出たら仕事のことはすべて忘れる!という生活を送っている私には、
今西のように日常のふとしたことから事件のインスピレーションを得たりすることは
絶対にできないんだろうなぁ、と、思ってみました。
「三国志13 ~極北の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
孔明の背負ったものの重さと孤独感が痛々しく押し迫る最終巻。
同じ夢を抱いた者たちは、いまは誰もいない。
果てのない孤独の中で、生き急いだ孔明。
最期の笑顔のなかに、どんな想いが込められていたのか。
劉備、関羽、張飛、そして趙雲。
懐かしい闇の中で孔明が彼らと再び再会できたことを願ってやまない。
もう十分頑張ったよ。
司馬懿もよく頑張った。
私的にはイラッとする頑張りでも、ああいう戦いができるのも才能。
戦いの中で生きた漢たちの物語。
だからこそ、最後に語られる、山中で穏やかに暮らす馬超たちの姿がとても尊い。
馬駿白が歩む未来に明るい光が降り注ぐことを。
……というわけで、登場人物たちに魅了されながら、北方三国志読了!
吉川英治の三国志は挫折。江森備の私説三国志と北方三国志はどはまりしながら読了。
私的には北方版が正史だと思い定めております(笑)
そして、北方の描く一貫した生死感がとても好き。
「三国志12 ~霹靂の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
出てくるたびに、あ、馬謖、と思いながら読んでしまったせいか。
孔明と向き合うシーンで大泣きしてしまった。
ここで泣いたのははじめてだわ。
馬謖が好きな訳でもないんだけどね。
張飛といい馬謖といい。
北方テイストが加わって、なんとも魅力的な人物になったよなぁ、と、つくづく思う。
そして最後に散っていった蜀にとっての大きな星。
歩みを止めることなど許されない、孔明の背負った孤独がやるせない。
一方の魏。
「実現できることは夢ではない」
常人には図ることのできない力を持っていたはずの、曹丕の諦念が哀しい。
どよーん、とした気分のまま、最終巻へ。
遥か未来の銀河の彼方で。
シェーンコップが「泣いて馬謖を斬る」と言った時にはびっくりしたわ。
凄い!古来からの書物がここまで!って。←ちょっと間違った感動の仕方(笑)
そして友だちが「この間上司の机にあったメモに「泣いて馬謖を斬る」って書いてあってさ。
誰のこと?って考えちゃったよ」と言っていたのも忘れられない。
「三国志11 ~鬼宿の星」北方謙三 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
自軍の中にあっての孤立無援。
陸遜の凄まじいまでの粘り強さと根気には、鬼気迫るものがあった。
そして、その孤独がとても痛々しい。
だが、頼もしい理解者もいた。
だからこそ、貫けた意思。
血反吐を吐きながらも、自らの戦略を信じ、貫いたが故の勝利。
お見事でした。
一方の敗北を喫した劉備。
「やるべきではない戦をした」と彼は言うけれども。
あそこで動いた劉備だからこそ、多くの者がついてきた。
苦楽を共にしてきた兄弟を亡くし、失意に沈んだ彼が
気力を奮い立たせて伝えたかった「ある言葉」。
劉備が孔明に託したその言葉に泣きそうになってしまった。
「みんな、いなくなってしまいましたね」
孔明の言葉が寂しく刺さる。
あまりにも大きな人を(偉大な人ではない。大きな人)失ってしまった
喪失感がヒシヒシと伝わってくる。
残り二冊。それでも明日に向かって歩いていかねばならない彼らの行く末をみとどけます!
