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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ピラミッド」ヘニング・マンケル(創元推理文庫)

シリーズ一作目よりも過去に時間を遡った短・中編が5編。
だけど、シリーズを読んでいるからこそ楽しめる作品だと思う。
20代から40代のヴァランダーがそこにいて、
幾つであってもめんどくさい性格の変わってなさに苦笑したり、
刑事としてまだ自信を持ちきれずにいる姿に新鮮味を感じたり。
一作目から故人であったリードベリと一緒に働く姿に感動したり、
作中で故人となった人たちの元気な姿に懐かしさを感じたり。
最後の中編「ピラミッド」ではヴァランダーの父が起こした騒動に
爆笑してしまった。(話の主軸はそこじゃない)
思った以上に読み応えのある短編集だった。

エジプト。
行ってみたいなぁ、と思いつつ。
行けてる自分が想像できない。
でもいつか行ってみたい。



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「秘恋は咎に濡れ」沙野風結子(ガッシュ文庫)

都合の良い道具としか自分を見なしていない男と、
血の通った人間として扱ってくれる男と。
客観的に見ればどちらを選ぶかなんて明確だよね。
だけど、当事者はその判断がつかなかったりもする。
その生い立ちのおかげであまりにも狭い視野しか持ち得なかった椋一。
幼い自分を庇護してくれた彰良に献身的に尽くしても、踏みにじられるだけの心と身体。
そんな彼を日の当たる世界へ引っ張り出してくれた匡鷹のやり方は
強引だったけど、ああでもしないと、多分椋一は動けなかった。
愛情は一方的に与えるものではなく、
互いに与え合い、分かち合うもの。
ラストの笠井さんの一コマ、眼福だった。


既読だけどレビューあげてなかったなー、ということで再読。
明確に覚えていたことが歯なしカエル爺さんプレイと万年筆。
間違ってないけど、どうよ?自分、と苦笑。
沙野さんの言う通り、インパクト大だったんだね。

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「絆回廊 新宿鮫Ⅺ」大沢在昌

どれだけの悲しみに打ちひしがれたとしても。
どれだけの後悔を抱えていたとしても。
それでも、時は前に進み続ける。
だから、鮫島も刑事として、歩き続けるしかないのだ。
改めて、そう思わせられる十一巻。
だけど、彼は独りではない。
藪は良きパートナー。
そして、阿坂、矢崎、鮫島。香田、永昌、鮫島。
敵味方はともかく、奇妙な三角形が形成されつつある。
公安が品物と引き換えに得ようとした情報。
相手は本当に「その情報」を持っていたのかな?
そこは疑わなくていいのかな?
ちょっとひっかかってしまった。
とはいえ、大満足の読み応え。


総ページ936ページ。
持ち続けるのがしんどい重さ。
膝の上に置いたり、机の上に置いたりしつつも、止まることなく読み続けてしまった面白さ。
だけど、彼女がいないと私が何だか寂しい。
次に彼女と会う時は事件絡み……とかにならないといいなー。

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「鮫島の貌 新宿鮫短編集」大沢在昌

長編読みの私が繰り返し捲りたくなる短編集。
本編のような緊迫感はなく、肩の力を抜いて楽しく読める。
「似た者どうし」「幼な馴染み」
鮫島と冴羽獠、そして両さんとのコラボが読めるなんて想定外だったけど、
違和感なくて流石だなーと。
オロオロする藪の珍しい姿にびっくり。
ああ、だけど故人が出てくる最初と最後の作品はちょっとホロっとした。
「区立花園公園」
桃井さん、やっぱカッコいいよ。
「霊園の男」
これは『あ』の解釈に大納得。
きっと、本当にそうだったんだよ。
仙田に矢吹がいてくれてよかった。
鮫島が鮫島らしい「再会」も好き。

さ~、いよいよ、十一巻『暗躍領域』へ!
と意気込んだものの、1000頁近くある文庫は重すぎて持ち歩き不可ww
上下巻にしてくれてもよかったのよ?←何目線。

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「メロウレイン完全版 下」一穂ミチ(ディアプラス文庫)

上巻に引き続き、彼らの日常がたくさん詰まった下巻。
一顕と整。二人で刻む日常がもはや当たり前すぎて、
二人の馴れ初めは?と尋ねられた時に
確かに説明しづらいよね、と、思ってしまった。
だけど、二人にとって必要な出会いであり、
前に進むために必要な存在だったのだとも改めて思う。
「恋をして、今もしている」
このフレーズ、現在の二人を端的に表しているようで、素敵。
同人誌とか小冊子とか。
バラバラに持っていたものが一冊にまとまってくれると
管理しやすいので総集編賛成派。
上下巻とも楽しく読了。

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「絆回廊 新宿鮫Ⅹ」大沢在昌

初読の時はこんな展開になるなんて、欠片も思っていなかったわ、
……と、愕然としすぎて声を荒げる気力すらなく、ただただ項垂れる。
今回は結末がわかっていながらの再読。
それでも拭えない計り知れない喪失感と共に、やっぱり垂れる。
なんでよー。
どこかで軌道修正できたのだろうか?
いや、そう考えること自体が無意味だ。
彼等らしくない決断などどこにもなく、
彼等らしくない行動もどもこにもなかったのだから。
新宿署の人たちの鮫島に対する評価が知れたことが、唯一の救い。
そんなふうに思ってくれていたんだね。



さー、この先は短編集→十一巻へと未読の領域に突入。
ドキドキとワクワクのダブルコンボ。
このシリーズとも付き合い長いなー。

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「狼花 新宿鮫Ⅸ」大沢在昌()

警察組織の中にあって、警察官で在ろうとすること。
これは当たり前のことで、真っ当なことだと思うんだけど。
そう在ろうとしている鮫島が組織の中で窮屈な思いをしつづけている理不尽。
そして香田。
どんな理由があったとしても、
警察官がそんなふうに法を逸脱してしまったら、どんな正義も通らない。
通らないんだよ。
鮫島、香田、仙田。
因縁浅からぬ男たちがそれぞれ迎えたターニングポイント。
鮫島はそのままであり続けることを選び、香田は真っ直ぐな故に道を過ち、仙田は疲れてしまった。
何だかやるせない

未読の11巻を読むために、久々に再読。
流石に1巻から読んでる時間はないので、ここから。
違和感なく彼らの世界に溶け込めました!



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「メロウレイン完全版 上」一穂ミチ(ディアプラス文庫)

旧版既読。
完全版を読んで改めて、
一穂さん、日常の一部分を断片的に切り取った短編を書くの、ホントうまいなーと思う。
加えて、緻密に作りこまれたそれぞれの性格や考え方がぶれずに伝わってきて、
まるで彼らがどこかであんなふうに言葉を交わしながら日々を送っているような感覚がこみ上げてくる。
そして、彼等の抱えた心の機微に引きずられて、愛おしさや寂しさに翻弄される。
大満足な読後感。
旧版のレビューで買ってから読むまで三年半積んだ!って書いてあって。
え?完全版は?と思ったら、積んだのはまだ半年だった。優秀。←多分違う。

菅野さん、榎田さん、英田さん、崎谷さん、そして一穂さん。
コンプしてるBL作家さんたちは皆様一般書も書かれていて、
BLをきっちり書ける人(表現の仕方があってるかどうかはわからないけど)は
どんなジャンルでも書けるんだなぁ、とつくづく思う。
かわいさん、沙野さんの一般書も読んでみたいなぁ、と思うのは私のわがまま。
切実な今一番の願いはBL作家さんの新規開拓!

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「黒いドレスの女」北方謙三(ハルキ文庫)

「黒いドレスの女」を軸にして、男たちが示した矜持。
彼等はそこに己自身の生き様を投影しようとした。
いや、賭けた、と言ってもいいのかな。
命を。
その先の人生を。
だけど、彼だけは「その先」を望まなかった。
そうなるだろうなぁ、とは思ったけど。
けどーー!
こういうとこ、北方イズム。
なんでよー!と、言いたくなる。
そして、まだ18歳の少女が抱えた決意。
甘えんなよ、と思う部分もあるけど、彼女なりに必死だった。
「偶然を信じるな」という沖津(@機龍警察)の名言はここでも健在。
ラスト、色々腑に落ちたよね。
一瞬のきらめき。
気付ける自分でありたい。


特に意図したわけじゃないんだけど。
読了日の私の服装は黒のワンピースでした。
気持ち、本のタイトルに被ってる。(笑)


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「ふったらどしゃぶり」一穂ミチ(ディアプラス文庫)

【再読】
セックスは相手があってこそ。
自分の思いと相手の思い。
妥協点なくすれ違ってしまえば成立しない。
その相違に悩んでも、気軽く誰かに相談することは難しい。
とある偶然から自らの悩みを打ち明け合うことになった一顕と整。
素性の分からない見ず知らずの相手としてのメールのやり取りから
互いが会社の同僚だと知ったうえでの対面でのやり取り。
言葉にすることで保てた部分と、向き合わざるを得なくなった部分があると思う。
好きな相手の傍にいることで心と身体がどんどん寂しくなっていく二人の想いがやるせない。
修羅場を潜り抜けた後に二人が手にしたもの。
それが、青空のような幸いであることを信じて読了。

特典ペーパーを読みつつ、
ウチの会社の男性諸君も
夏場に外から帰ってくる時にはデオドラントの香りを纏っていることを思い出してみました。
そろそろそういう季節だなぁ。

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