きままに読書★
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カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2016.12.05 「最後の証人」柚木裕子(宝島社文庫)
- 2016.12.04 「黄泉への風穴 後編 炎の蜃気楼14」桑原水菜
- 2016.12.01 「傷だらけのカミーユ」ピエール・ルメートル(文春文庫)
- 2016.11.28 「償いの椅子」沢木冬吾(角川文庫)
- 2016.11.26 「女神」三島由紀夫(新潮文庫)
- 2016.11.24 「さよならを言う気はない」英田サキ(SHYノベルズ)
- 2016.11.21 「黒涙」月村了衛(浅い新聞出版)
- 2016.11.16 「黄泉への風穴・前編 炎の蜃気楼13」桑原水菜 (コバルト文庫)
- 2016.11.15 「約束の森」沢木冬吾(角川文庫)
- 2016.11.12 「わだつみの楊貴妃・後編 炎の蜃気楼12」桑原水菜(コバルト文庫)
「最後の証人」柚木裕子(宝島社文庫)
罪を公平に裁くべき警察や検察が、その罪そのものを隠蔽してしまったら。
被害を被った一般市民はどうやって戦えばいいのだろう?
そもそもの事件の発端はそこにある。
というか、そこにしかない。
リアルにこんなことあったらヤだなぁ、と思いつつ。
でもやっぱりあるのかなぁ、と思いつつ。
太刀打ちできない現実を打破するための最後の手段が、命を賭した復讐。
彼らをそこに駆り立てたのは法に立つ側の人間だ。
佐方のような弁護士に出会えたら良いのだろうけど。
弁護士だって保身に走る。
何を信じたらいいのかわからなくなるような、薄ら寒い思いを抱えながら読了。
あ、作品としては一気読みの面白さでした!これは断言しておきます。
でも怖い。
「人間の絆で一番強いものは何か、って聞かれたら同志だって答えるわ」
美津子の言葉に、気持ちはしつこく梁山泊へ。(笑)
あなたの余命はあと一年です。と、宣告されたら自分は何をするのかな?
時々考えることは大事。
逆に、あと20年後の自分のために今何ができるのかな?も大事。
内容(「BOOK」データベースより)
元検察官の佐方貞人は刑事事件専門の敏腕弁護士。犯罪の背後にある動機を重視し、罪をまっとうに裁かせることが、彼の弁護スタンスだ。そんな彼の許に舞い込んだのは、状況証拠、物的証拠とも被告人有罪を示す殺人事件の弁護だった。果たして佐方は、無実を主張する依頼人を救えるのか。感動を呼ぶ圧倒的人間ドラマとトリッキーなミステリー的興趣が、見事に融合した傑作法廷サスペンス。
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「黄泉への風穴 後編 炎の蜃気楼14」桑原水菜
開崎の中にチラつく直江の影。
その絡繰りは、男の最後の言葉で合点がいく。
精神をすり減らして疲弊しきっていた彼を思えば、
落ち着きと安定と達観が得られたような今の言動を見る限り、
距離を置いたことが彼にとっては良かったのだと思えてならない。
「この世には神も仏もおらぬ。
己を救うのは、仏ではなく己自身じゃ」
選択は間違えたと思うけど、三浦義意、良いこと言うなぁ。
織田に取り入るために里見たちが必死に成そうとしていたことが、
信長にとっては失敗したところで鼻で笑ってすむ程度だったことが物悲しい。
そして信長の現世での姿が明らかに。
派手だな~。
「敦盛」と言われると問答無用で「敦盛2011」が脳裏を巡ります。
こっちの信長も派手だけど、斯波のような威圧感はないわね。
そして次巻から舞台は熊本へ。
くまモーン!←出てこないです(笑)
「あなたのそばにいく。----待っていて」
待ちわびているのは私も一緒なのです。
内容(「BOOK」データベースより)
色部に連れられ、鎌倉に出向いた千秋は、意外な人物に出会った。それは荻城での事件以来、姿を消していた《軒猿頭》八海だった。八海は、謙信からの命令で秘密裏に行動していたことを告げる。一方、開崎に連れさられた高耶は、里見一族に拉致されていた。だが《力》を封じられ無力な高耶に「あなたのそばに行く。待っていて…」と開崎が語った言葉は、死んだはずの直江のものだった。
「傷だらけのカミーユ」ピエール・ルメートル(文春文庫)
息をつく間もない程めまぐるしく、そして重苦しく展開する三日間。
「運命は容赦しない」という言葉で始まる冒頭。
だが、あまりにも過酷な三日間を過ごしたカミーユは、こうつぶやく。
「結局のところ、自分の運命を決めているのは自分だ」
運命を恨んでも誰しもが納得するであろう状況に陥りながらも、
そう言えてしまうカミーユの強さが眩しくもあり、苦しくもあった。
嘘を嘘で塗り重ねていく展開については、
組織に属する社会人として首を傾げざるを得なかったのが正直なところ。
とは言え、三日目はそんなことがどうでもよくなるくらい一気に読ませられました。
読後の余韻はただただ切ない……
最初から掛け違えていた釦を手にしての奔走。
だけど、どこかに真実だった瞬間もある。
そう、思えるだけの絆は確かにあったと思うの。
「償いの椅子」沢木冬吾(角川文庫)
視点が次々に入れ替わっていく冒頭。
登場人物の多さも相まって、一瞬混乱しかけるも、
読み進めるうちに複雑に謎が交差する物語世界に一気に惹きこまれた。
これは男達の復讐の物語であり、家族の物語でもある。
人間はだれしもが二面性を持っている。
家族に、仕事に、敵に。向ける表情はそれぞれで、そして時々で違う。
相容れないはずの能見と南條が、梢の件で言葉を交わすシーンは何とも印象深かった。
下半身不随になりながらも、不屈の闘志を抱き続けた能見。
彼の生き様はあまりにも鮮烈だった。
自らの理想の追及のために子供を犠牲にした真希の
母親としての在り様にとても腹が立ったけれども。
先の展開が気になりすぎて
ドキドキが止まらずにぐいぐい引っ張られていく至福の読書時間でした。
「まあ、せっかくだから友達ぐらいにはなってやる。
あんたのこと、なんて呼べばいい?」
生まれてから一度も会ったことのない父親に対する男の言葉がとても粋。
沢木作品はあと一冊積んであるので、それも楽しみ。
読友さんからの感謝の贈り物なのです。
内容(「BOOK」データベースより)
五年前、脊髄に銃弾を受けて能見は足の自由を失い、そして同時に、親代わりと慕っていた秋葉をも失った。車椅子に頼る身になった能見は、復讐のため、かつての仲間達の前に姿を現した。刑事、公安、協力者たち。複雑に絡み合う組織の中で、能見たちを陥れたのは誰なのか?そしてその能見の五年間を調べる桜田もまた、公安不適格者として、いつしか陰の組織に組み込まれていた。彼らの壮絶な戦いの結末は…。
「女神」三島由紀夫(新潮文庫)
息を呑むほどの美しさと、思わず気持ちが落ち着かなくなる歪さが終始付きまとう表題作。
周伍の押し付けた価値観を借り物のように纏っていた依子と、
そこに自らの価値観も添加して己のものにした朝子。
「人形」で在り続けた依子と「女神」へと化身した朝子の違いはそこにあるのかな?
だけど、ラスト一文。
私は背筋がゾワリとしました。
そこには美しさだけではない、得体の知れない何かが身を隠しているような気がして。
表題+10篇。
めくるめく世界に誘われ、彼の描き出す濃密な雰囲気にどっぷりと浸かりました。
印象深すぎた『哲学』。え?何この人??と、余りにも独り善がりすぎる結末に唖然。
語れる程三島を読んでいるわけではないけれども、
ここに収められた中短編を読み進めるうちにふと思ったことがあったわけで。
それに対する答えは、彼の著作を読んでいけばわかるのかな?
とても印象的だった一文は以下。
「その場を立ち去ったのちも、香水の薫りのようにその女の雰囲気があとに漂う、
そういういいしれぬ雰囲気」
醸し出せるようなれたら、素敵だなーと思わずうっとりしてしまいました。(笑)
【憂国忌にて】
「さよならを言う気はない」英田サキ(SHYノベルズ)
突き抜けた凶暴っぷりを発揮するヤクザ・天海と、その理不尽を許容するしがない探偵・陣内。
知り合って12年。
互いに傷となって残る過去を共有する二人。
付かず離れずの距離感がイイ感じだったり、もどかしかったりしているうちに
見えてくる二人の本音にだんだん切なくなってきて。
かつての事件に対する向き合い方の違いが明らかになった時、
天海の傷の深さに胸が軋んだ。
天海の苛烈な生き様は余りにも潔くて悲しいけど、
逞しくて眩しくもある。
なんだかんだ陣内はそんな天海に寄り添って生きてきたんだと思う。
腹を括った告白はとても良かった
受側のオラオラ言葉攻めは小気味よかった。
個人的には陣内の腕の中で眠る天海のあどけなさがいい……んだけど。
「いつかお前がまた俺を許せなくなる日がくるまで」のモノローグが切なかった。
そういう杞憂を全部払拭して、なにもかもを陣内に委ねて甘えられる日がくるのかな?
くるといいな。
内容(「BOOK」データベースより)
三年前に警察をやめ、現在、ひとり『陣内探偵事務所』を経営するしがない探偵、陣内拓朗。彼にはもっとも苦手とする男がいる。それは新宿歌舞伎町一帯をシマに暗躍する、美形だが凶暴なヤクザ、天海泰雅だ。見てくれの繊細さとは裏腹に、東日本最大の暴力団組織、紅龍会の直系二次団体周藤組の幹部であり、『周藤の虎』と呼ばれ、恐れられている。天海が依頼してくる仕事にはろくなものがない。陣内にとっては厄病神のような存在だ。そんな天海が、今日も厄介な依頼を持ち込んできて!?せつなく、胸あたたまるヤクザと探偵のラプソディ登場。
「黒涙」月村了衛(浅い新聞出版)
前作に比べて沢渡がなんだかアホっぽくなった気がして。
あれ?こんな軽い話だった?と首を傾げ、
作戦展開中の彼らの危機感のなさに、ダイジョブ?と思いながら読んでたいたわけですが。
後半の怒涛の展開にやられました。
やるせなさいっぱいの読了で、なんかもう、気持ちの整理がつきません。
う、ホント切ない。
引き際って大事なんだよ、というのは、後になってから言えること。
裏切り者の見極めも、渦中にいる間は気付けない。
だからって「仕方ない」では済まされない命。
一人、現状を過たず把握していた沈。
けじめをつけにいった彼の無事をひたすら願う。
これは続編ありかな?なしかな?
スピンで『水獺公司』の暗躍を描いた話とか読んでみたい。
ジワジワ哀しくなってくる読後。
なんでだろう?
別な日の精神状態で読んだらちょっと違ってくるのかな?
とりあえず漫画を読んで癒されようと思います。
「黄泉への風穴・前編 炎の蜃気楼13」桑原水菜 (コバルト文庫)
あれから2年。
闇戦国の戦いに現代の国家権力が介入してきて、
物語の厚みが増した第二部スタート。
現代人の目だって節穴じゃない。
事情が分からないながらも、亡者の好きにはさせないという気持ちの現れのようで頼もしい。
大切な者を失って時間が止まったままの景虎の苦悩は続くけど、
直江が煩悶していないので、私はとっても心が穏やかです。
本能が知っている。
誰も「彼」の代わりになんてならないと。
だけど理性が拒絶する。
そんな「夢みたいな現実」を認めることを。
いい加減、現実を認識しないといけない。
まやかしの魔法はもう、解けかけているのだから。
12巻の読了後、13巻を待っていた間の精神のぐったり具合を思えば、
一気読みって素晴らしい☆
江の島は江ノ電のあまりの混雑ぶりに戦いて未訪問。
たくさんの場所が作中に出てきているので、いつか尋ねてみたい。
何故か神津島には上陸したことがあります。
「砂漠が見たい!」という一心で船に乗りました。
麓では濃霧に覆われていた天上山。
ここまできたからには!と、頑張って登った山頂からの見晴らしは思わず歓声が上がるほどの絶景でした。
あ、もちろん海でも泳ぎましたよ~。
そして横浜。
この街、私本当に大好きです。
内容(「BOOK」データベースより)
萩城の事件から、2度目の冬が訪れた。19歳になった高耶は、直江の『死』を記憶から消し去り、小太郎を直江だと思いこんだまま、怨霊調伏に奔走していた。一方、度重なる心霊事件の真相を究明するため、国家公安委員会・特務調査部が動きだし、重要参考人として高耶の調査を進めていた。不審な事件が続発する江の島に向かった高耶は、妙に懐かしさを感じさせる開崎という男に出会うが…。
「約束の森」沢木冬吾(角川文庫)
監視付の塔の中で出会った三人。
たとえそれが仕組まれた出会いだったとしても。
各々の役割を演じながら次第に芽生えていく想いは、
間違いなく彼ら自身によって育まれたものだった。
最初は牽制しあっていた三人が次第に気持ちを寄せていく様子がとてもいい。
だが、天涯孤独の身だった彼らが得た安穏は、悪意と陰謀により瓦解する。
九死に一生を得るような戦いの中で光ったマクナイトの活躍。
彼もまた、孤独の中に在って侑也に救われたのだ。
マクナイトと三人の交流もとても良かった。
読後の余韻がとてもあたたかい作品。
マクナイトのモノローグには泣かされてしまった。
所々(主にスカベンヤーについて)突っ込みを入れつつ、大筋には関係ないか、と納得。(笑)
ここでくるの!?という場面での隼人の「特別な力」の披露は
突っ込むんじゃなくて感心しました。
襲撃に備えた万全の布陣を敷いても、上には上がいる怖さ。
「ほんとはいやだなぁ」「救って死のう」「これも因果と諦めな」
誰かを守るために戦おうとした彼らの想いがグサグサ伝わってきた。
魯智深は自分腕の丸焼き黙々と食べたよねぇ、と、まだちょっぴり水滸伝脳。
侑也の渋みもカッコイイけど、個人的に丹野がお気に入りなあたり、気持ちはまだ25歳(笑)。
殊勲賞はマクナイトとおまけでタイガーに。
楽しく一気読みでした。
内容(「BOOK」データベースより)
警視庁公安部の刑事だった奥野侑也は、殺人事件で妻を亡くし退職を決めた。孤独に暮らしていた侑也に、かつての上司を通じて潜入捜査の依頼が入る。北の果てに建うモウテルの管理人を務め、見知らぬ人物と暮らしながら疑似家族を演じろという。侑也が現地に赴くと、そこにいたのは若い男女と傷ついた1匹の番犬だった。やがて闇に隠れた謎の組織の存在と警察当局の狙いが明らかになり、侑也は眠っていた牙を再び甦らせる―。
「わだつみの楊貴妃・後編 炎の蜃気楼12」桑原水菜(コバルト文庫)
それを弱さと詰ることはできないけれども。
共に歩んできた400年をなかったことにされるのはとても辛い。
彼は現実を直視しきれず、夢の中に逃避した。
現実の中に置き去りにされた私は、彼の名で呼ばれて振り返る男に、
「アナタじゃない」と、とても言いたい。
そして、亡者たちは見果てぬ夢を見る。
誰かの犠牲の上に成り立つ夢の成就なんて、絶対に認めない。
友姫と漁姫の悲痛な決意。
そして、偉大なる父、北条氏康と上杉謙信の力をかりて、
どうにかこの戦いには終止符を打つ。
逃げ込んだ夢の中から彼が目覚めることを願いながら、第二部へ。
あなただけは目を背けてはいけないと思うの。
悪夢のクリスマス。
何らかの救済があるはずと信じて買ってすぐに読み始め、
絶望のどん底に叩きつけられたあの日の記憶。
同じく読了して呆然としていた友達と泣きながら電話してた気がする(苦笑)。
おかげで、内容が色々吹っ飛んじゃってて、
あとから読みかえして、え?ここで?ええ??ってなってた。
友人たちと最後まであんなに大騒ぎしながら読みつづけた本って、
後にも先にもこのシリーズだけな気がする。
実際に弥山に登った時の感動は、ちょっと忘れられない。
内容(「BOOK」データベースより)
輝元が放った銃弾は、直江の心臓を撃ち抜いていた。駆け寄った高耶とたった一瞬、視線が結ばれ、それが直江の最期だった。「直江、早くオレを助けてくれ。早く、おまえがいる世界に帰りたい…。」その瞬間、毛利の本拠・萩城一帯を激しい地震が襲い、巨大な火炎の渦が夜空に燃え昇った。高耶の魂の絶叫が、地上に大崩壊を招こうとしていたのだ。衝撃の第一部完結編。
