きままに読書★
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カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2016.11.08 「わだつみの楊貴妃・中編 炎の蜃気楼11」桑原水菜 (コバルト文庫)
- 2016.11.05 「犬、拾うオレ、噛まれる」野原滋 (ラルーナ文庫)
- 2016.11.03 「わだつみの楊貴妃・前編 炎の蜃気楼10」桑原水菜(コバルト文庫)
- 2016.11.01 「秋の牢獄」恒川光太郎(角川ホラー文庫)
- 2016.10.31 「私が殺した少女」原尞(ハヤカワ文庫JA)
- 2016.10.28 「ガソリン生活」伊坂幸太郎(朝日文庫)
- 2016.10.24 「水滸伝19 旌旗の章」北方謙三 (集英社文庫)
- 2016.10.20 「水滸伝18 乾坤の章」北方謙三(集英社文庫)
- 2016.10.16 「イスラム飲酒紀行」高野秀行(講談社文庫)
- 2016.10.13 「水滸伝17 朱雀の章」北方謙三(集英社文庫)
「わだつみの楊貴妃・中編 炎の蜃気楼11」桑原水菜 (コバルト文庫)
いっそ手放してしまえと、叫びたくなる。
それができないことがわかっているから、彼らと一緒にもがき苦しむ。
「腹心」としての直江は引く手数多。
こんなにも有能な男が、絶対君主の前ではただの雄に成り下がる。
だけど、そうじゃない。
そう、決めつけているだけ。直江自身も、そして高耶も。
「目が見えないのか?」ではなく「オレが見えないのか?」と叫んだ高耶。
その言葉に色々な想いが凝縮されているのに。
力を封じられても尚、戦う気概を抱き続けた景虎の起死回生の一撃。
燃え盛る炎の中で告げられた直江からの訣別。
迸った叫びこそが、景虎の本心。
『最上』の在り方……この言葉には涙しかない。
「元春様。小早川隆景様から電話が入っております」
戦国武将のもしもし電話。なんだろう?この気の抜けるようなやりとり(笑)
唯一和んだ瞬間だった。
ミラージュは読んで泣く。わかってても泣く、の繰り返し。
一緒にこの物語を読んできた友人達とは
「うちら、10代20代、ホントダメな男(=直江)に振り回されたよね」と
笑いながら言い合っていますが。
いまだって振り回されてます。←自慢できない。
吉川元春が好印象なのは、この巻があるから。
萩城址はとても素敵なところでした。
内容(「BOOK」データベースより)
大破した船から投げ出された高耶、直江、風魔小太郎は、瀬戸内海の小島に漂着していた。身を呈して高耶を守った直江だったが、その目は光を失ってしまっていた。信長を討つため、毛利、一向宗と手を組もうとする小太郎に、高耶は激しく抵抗するが、直江を人質に取られ、毛利の本拠地へと連れ去られてしまう。一方、大和の謎を追っていた綾子たちは〈楊貴妃〉に会うため、秋芳洞へ向かうが。
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「犬、拾うオレ、噛まれる」野原滋 (ラルーナ文庫)
紺の抱えてきたものがとても重くて。
あまりにも淡々とした生活の在り様に胸が軋む。
だけど、そのどれもこれにも理由があって。
決して投げやりになっているわけではない様がいじらしい。
幾重にも纏った殻の中に閉じこもって、だけど、気持ちは決して内側に向いていたわけではない。
若干間違った外界への対峙の仕方でも、彼は彼なりに懸命に生きていた。
そんな時に出会ったテツロー。
出逢い方はどうであれ、彼の明るさと人の良さは、紺が視点を変える良い転機になった。
大切なものを得たが故に臆病になってしまった紺。
「死んでもいいか?」
「いいよ、死んでいい」
物騒な言葉なのに甘く切なく響く愛の言葉。面白かった!
殻ごとカレーに突き刺さるサザエの壺焼き……
見た目想像して大笑いしたけど、サザエって殻の中に閉じこもってた自己投影?
それを引っ張り出すテツロー?と私の思考が飛躍して、いや、そこまで考えてないか、
と、思い直してみました(笑)
修二の話、読んでみたいなーと、こっそりで主張しておきます(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
別れた恋人である予備校教師、貴史へのストーカー行為が止まらない紺。そんな紺のもとに宅配業者を装った怪しい男が現れる。飄々としたその男テツローは紺のストーキングを阻止するために貴史が雇った便利屋だった。鳳凰の刺青を背負った、どこか憎めない男―テツローとの三日間に及ぶゆるゆる監禁&お仕置き生活の中、今まで誰とも深く関わらず、投げやりに生きてきた紺の秘密が次第に明らかになっていき…。
「わだつみの楊貴妃・前編 炎の蜃気楼10」桑原水菜(コバルト文庫)
失いかけた≪力≫。疲弊しきった精神。
限界に達しかけている直江の想いをねじ伏せるように否定しながら、
離れることを許さない矛盾。
傷つけながら、傷ついている。
それを認めたくない景虎と、諦めてしまった直江。
笑うことすらできなくなってしまった彼らがとても哀しい。
それでも戦いつづけなければならない彼らの業が胸に刺さる。
「限界がきているんだよ」
400年抱き続けた愛憎を越えた想いは、あまりにも重い。
戦国武将に戦艦大和を違和感なく絡めてくる著者の筆力は、改めてすごいなーと。
信長のぶっ飛んだ破壊力にガツン、とやられて次巻へ。
ガッツリ入り込んで読んでしまったら自分が消耗することがわかっているので、
なるべく俯瞰して、感情を切り離して切り離して、が再読の心得。
そこまでして読むの?と、自分を嗤いつつ、読むのです(笑)
宮島、弥山、広島、呉、因島。
自分の脚で歩いた場所はリアルに脳裏に浮かんでくる。
そう言えば私、毛利の墓所・東光寺にも行ったんだわ。
吉川元春、山中鹿之助、村上水軍はこの巻で覚えたかつての私。
戦艦大和のシーンのBGMは長淵剛。
ん?どこまでも心が安らぐ要素がない。
癒し本一冊挟んでから次巻へいこう。←つまり、感情を切り離すことに失敗している(笑)
「秋の牢獄」恒川光太郎(角川ホラー文庫)
今私が知覚するすべては幻。
本物の私は夢を見ている。目覚める日を待ちながら、夢の中を生きている。
そんなふうに夢想していた少女時代を思い出しました。
ここではないどこかへ。
一度は思い描いたことがあるはず。
だけど、踏み出してしまった「どこか」は、儚くて、恐ろしくて、淋しい世界。
多分幸せは「ここ」にある。今、自分自身が在るこの世界に。
短編三篇。
様相の全く違う幻想世界を、眩暈がするような感覚を抱きながら浮遊しました。
著者の描く独特の世界観が好き。
「幻は夜に成長する」
この後に展開される狂気めいた世界を垣間見たいと、惜しみながらの読了。
11月7日に読むつもりで楽しみに温存していたけど、
その日接待で夜中まで拘束されること確定な気がするのでフライング。
私の半年越しの計画台無し!キーーッ!!←落ち着こう。
それはさておき。
「秋の牢獄」途中、泣きたくなるほど切なくなって、最後、なんとなく安堵した。
その安堵は「やっと終わり」なのか「これで次へ」なのか。
読んだ時の自分の状況で変わってきそう。
内容(「BOOK」データベースより)
十一月七日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。悪夢のような日々の中、藍は自分と同じ「リプレイヤー」の隆一に出会うが…。世界は確実に変質した。この繰り返しに終わりは来るのか。表題作他二編を収録。名作『夜市』の著者が新たに紡ぐ、圧倒的に美しく切なく恐ろしい物語。
「私が殺した少女」原尞(ハヤカワ文庫JA)
硬質な文体からは地に足の着いたカッコよさが滲んでいる。
生き様のブレない登場人物達。
探偵・刑事・ヤクザ。
どうあっても相容れない者達が、互いに認め合っている。
だが、彼らは決して馴れ合わない。
そんな関係が魅力的。
本筋から外れるけど、沢崎に橋爪が仕事を依頼する場面がとても好き。
誘拐事件を軸に展開する物語。
グイグイと引きこまれ、一気に読み進めるのだけれども。
クライマックスで自分が物語から弾かれてしまったかのような
疎外感を味わって途方に暮れる。
その理由は真相解明の手法。
とはいえ、登場人物が魅力的なことには変わりないので、
続刊も楽しみに読もうと思います。
以下ネタバレ含みます。
個人的にべらべら喋って一方的な真相解明をするのが好きじゃないので、
読後のすっきりしない感は個人的な好みによるものだと思います。
『そして夜は甦る』を読了した時の高揚感が半端なかったので、
本作に対する期待感が高すぎたのも余計な先入観。
とりあえず真っ正直に感想を綴ってみました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。私立探偵沢崎の事務所に電話をしてきた依頼人は、面会場所に目白の自宅を指定していた。沢崎はブルーバードを走らせ、依頼人の邸宅へ向かう。だが、そこで彼は、自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る…緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで独自のハードボイルド世界を確立し、日本の読書界を瞠目させた直木賞・ファルコン賞受賞作。
「ガソリン生活」伊坂幸太郎(朝日文庫)
スキルはあくまでも一般車の範疇を出ないまま。
アクセルを踏む人間がいなければ、彼らはどこにも行けないし、
彼らの傍での会話以外は伺い知ることができない。
だけど、意思を持った彼らの視点で物語はめまぐるしく進行し、
幾重にも積み重なった謎が、彼らの会話で見事に解明されていく。
車独特の言い回しがとても愉快で、
そんな彼らの発言に思わず口元が緩んでしまう。
一癖も二癖もある人物に好感が持てるのも、
ろくでもない人間をサラッと描いてしまっているのも、相変わらずの伊坂節。
ラストはなんとなく淋しさを覚えつつ……のエピローグ。
最後の最後まで楽しませてもらいました。
彷彿とするのは機関車トーマス?
いや、違う!アスラーダだ!と思いつつ。
彼らと違って人間と相互理解できないところが緑デミくんたち。
そんな緑デミくんたちがとてもとても可愛かった。
ザッパで思い出したのが、かつて、
サニーに乗っていた友達のナンバーが2332(ニッサンサニー)だったこと。
これ、希望番号が獲れるようになる前の偶然の組み合わせだったんですよ!
作中には車好き、ガンダム好きにはイロイロとたまらない描写がチラホラと。
何より地元故の土地勘があるおかげで、リアルに景色が脳裏に浮かびました。
内容(「BOOK」データベースより)
のんきな兄・良夫と聡明な弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死!パパラッチ、いじめ、恐喝など一家は更なる謎に巻き込まれ…!?車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる、仲良し家族の冒険譚!愛すべきオフビート長編ミステリー。
「水滸伝19 旌旗の章」北方謙三 (集英社文庫)
砕け散った夢。
失った多くの仲間たち。
戦って、戦って、戦って……そして訪れる、別れの時。
これは、最後の瞬間まで生ききった英雄たちの物語。
そこで眠りについた者がいる。未来を託された者もいる。
出自も立場も境遇も違った者達が、
同じ志を胸に抱き、一つ所に集い、時代を懸命に駆け抜けた物語。
多くの男達の生き様と、その生き様に相応しい死に様を鮮烈に胸に刻み、
「北方水滸伝」はここで終わりを告げる。
だが、託された旗がある。
それは、次代へ受け継がれていく物語の証。
この世に光があるのかどうか。
私も彼と一緒に見届けなければならない。
いまだに脳裏では彼らが生きている。
原野を駆け、互いを罵倒しあい、酒を酌み交わして酔っ払い、
湖の月を見上げている。
篤い友情で結ばれ、同じ志を抱き、絶対の信頼を持って戦いに臨む。
梁山泊は私にとって、いつまでも夢の拠り所。
再読だからこそ、より深く物語に寄り添えた気がする。
浪漫に満ち溢れた北方水滸伝、どっぷり浸って楽しませてもらいました!
ありがとう!←誰に?(笑)
少しでも興味を抱いている方には是非手に取ってもらいたい物語です。
内容(「BOOK」データベースより)
最終決戦の秋が訪れる。童貫はその存在の全てを懸けて総攻撃を仕掛けてきた。梁山泊は宋江自らが出陣して迎え撃つ。一方、流花寨にも趙安が進攻し、花栄が死力を尽くし防戦していた。壮絶な闘いによって同志が次々と戦死していく中、遂に童貫の首を取る好機が訪れる。史進と楊令は、童貫に向かって流星の如く駈けた。この国に光は射すのか。漢たちの志は民を救えるのか。北方水滸、永遠の最終巻。
「水滸伝18 乾坤の章」北方謙三(集英社文庫)
風はいつまでも駆け続けるもの。
そう願いたくなるけれども。
確かに貴方たちの行く処に敵はいなかった。
そう叫びたくなるけれども。
突きつけられる現実に涙が止まらなくなる。
もう、ゆっくり休んでいいんだよ、と。
立ち止まった彼にそう語りかけながらも、
公孫勝の涙に誘われるように涙腺が盛大に決壊した。
楊令はまさに梁山泊の申し子。
そこに在る姿に、違った意味で涙が込み上げた。
上官としての童貫の姿は理想的。
だから、彼の軍はこんなにも強い。
その軍との最終決戦。
人は来て、人は去る。
夢のような時を過ごせたのは私も同じだ。
号泣しながら感想打ってる自分に苦笑。
思い返すだけで泣けてくる。
「罵る相手がいなくなった。私を罵倒する者もおらん」
……うわーん。
ここまでくると、楊令伝に手をつけたくなるわけですが。
それは来年のお楽しみにとっておきます。
その前に19巻!大事に読みます。
「イスラム飲酒紀行」高野秀行(講談社文庫)
酒飲みの、酒飲みによる、酒飲みも酒飲みじゃなくても楽しめる本。
酒を禁じるイスラム圏を旅する著者が、いかに楽しく酒を飲むかに全力で挑む本。
見つかったら危険が伴うであろう行為を「現地の人たちと楽しく酒が飲みたい!」一心で
ダダをこねる子供のようにやり通す。
時に酒で腹を下して野グソをしたとしても、懲りずに酒を求める。
はっきり言って馬鹿である。
だけど、その馬鹿っぷりは尊敬に値する。
そして、そんなふうに人生楽しめたらいいなーと、ちょっと羨ましくもなる。
酒飲みは酒飲みを呼ぶ。
著者の出会った酒飲みたちは、概ね陽気で面白みのある人たちばかりだ。
個人的には「秘密警察と酒とチョウザメ」の章が好き。
そして、これを読んだら『ルバイヤート』を再読しないといけない気がしてきました。
内容(「BOOK」データベースより)
イラン、アフガニスタン、シリア、ソマリランド、パキスタン…。酒をこよなく愛する男が、酒を禁じるイスラム圏を旅したら?著者は必死で異教徒の酒、密輸酒、密造酒、そして幻の地酒を探す。そして、そこで見た意外な光景とは?イスラム圏の飲酒事情を描いた、おそらく世界で初めてのルポルタージュ。
「水滸伝17 朱雀の章」北方謙三(集英社文庫)
その男にあまりにも似つかわしい壮絶な死に様に、
読後、たまらずに溜息が零れた。
彼に限らず、戦いの中で散っていった多くの男達。
敵は強大。
圧倒的な数の差はあまりにも大きくのしかかる。
戦闘を「愉しみだ」と言う童貫の余裕が薄ら寒い。
梁山泊に集った彼らは掲げた志のために駆け続ける。
自らの命が尽きる、その瞬間まで。
だが、彼らの命は受け継がれる。
その想いを受け取った仲間たちによって。
そして、彼らの生き様を語り継ぐ者達によって。
「替天道行」の旗に包まれて梁山湖に沈む彼には穏やかな眠りを。
労いの言葉の代わりに、月明りを。
ケイロニアの王に「息子よ」と言われたグインに私、号泣しましたが。
蘆俊儀の「わが息子、燕青よ」でやっぱり泣きそうになってしまった。
血の繋がりがなくとも、心の底から想いあう絆には心が震えます。
そして下村(@ブラディドール)がいますよ!ここに下村が!と、
ふいに叫びたくなるシーンが(笑)
珍しく雄弁な彼の語った壮絶な過去。
窮地に陥ればお互い助けにいくくせに遠慮なく罵りあう相手がいてよかったね。
内容(「BOOK」データベースより)
童貫と〓美(ほうび)が、怒涛の猛攻を開始した。董平率いる双頭山が総力を挙げて迎え撃つが、次々と同志は討たれていく。更なる禁軍の進攻を止めるため、侯健は偽の講話案を進めていた。巧みに高〓(こうきゅう)を信じさせるが、そこには思わぬ落とし穴が待ち受けている。一方、致死軍と高廉の軍の決戦が間近に迫っていた。闇の中で、両者は息を潜め、刃を交える時を待っている。北方水滸、悲泣の十七巻。
