きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2016.04.10 「冬の狼 挑戦シリーズ2」北方謙三(集英社文庫)
- 2016.04.07 「老人と海」ヘミングウェイ(新潮文庫)
- 2016.04.02 「危険な夏 挑戦シリーズ1」北方謙三 (集英社文庫)
- 2016.03.31 「ポケットに名言を」寺山修司(角川文庫)
- 2016.03.30 「僕は穴の空いた服を着て。」菅野彰(河出書房新社)
- 2016.03.22 「牙」北方謙三(集英社文庫)
- 2016.03.15 「夜が傷つけた」北方謙三(集英社文庫)
- 2016.03.14 「残り全部バケーション」伊坂幸太郎(集英社文庫)
- 2016.03.10 「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」佐々涼子(早川書房)
- 2016.03.06 「望郷」北方謙三(集英社文庫)
「冬の狼 挑戦シリーズ2」北方謙三(集英社文庫)
あれから三年。
男たちはそれぞれの場所で戦っていた。
彼らが再びひとつの場所に集った時、膠着していた事態が動く。
三年の間過ごした環境は、彼ら自身を変えた。
だが、彼らの魂は変わらない。
その心に抱いた誇りも。
始めてしまったからには、最後まで闘い抜くしかない。
困難に立ち向かい、意志を貫き通そうとする彼らの傍らで、
待つだけだった高樹も動いた。
ペルーで本物の戦士となった竜一は、
日本での戦いが窮屈そうに感じる程、大きな男になって帰ってきた。
彼の立ち回り方が本当にかっこいい。
そして竜一は再び、己の身の丈に相応しい戦場へ。
「馬鹿がひとり、かえってきたわ」
諦めと愛しさとが感じられる朝子の台詞がすごく好き。
竜一の誇りの旗で、涙を一滴拭った栄の行為も好き。
そしてアサキータ。
男は命がけで戦っていた。
そして、女もまた、それぞれの持ち場で戦っているのだ。
内容(「BOOK」データベースより)
「あたしの誇りは竜よ。あたしの狼、冬に向かって走る狼」女は唇を重ねる。水野竜一が戻ってきた。2年間、ペルーでゲリラとなり、殺人術と大いなる誇りを身につけて。だが、かつて生命を賭けて共に闘った深江は行方不明だった。深江を探す竜一の前に、銃弾の暴力が立ちふさがる。仲間が死ぬ。老警部「おいぼれ犬」の姿がチラつく。巨大な、姿を見せぬ敵に、ゲリラ戦士竜一がついに牙をむいた。
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「老人と海」ヘミングウェイ(新潮文庫)
この物語では、海はどこまでも傍観者だ。
干渉することなく、他人顔でただそこに在るだけ。
果てなくつづく海の上でたった独り、
巨大な魚と命がけの死闘を繰り広げた老人、サンチャゴ。
永遠に続くかに思われた死闘を淡々と描き続ける描写に、思わず拳に力が入る。
その魚との戦いに、老人は勝利した。
だが、物語はそこでは終わらない。
迫るくる脅威は別なところにあった。
結局彼は、骨だけになった大きな魚と共に、傷だらけになって帰港する。
満身創痍の身体を横たえるサンチャゴ。
だが、彼の人生に「負け」の概念はない。
ライオンの夢を見る老人は、明日もまた、海へと足を運ぶのだろう。
寄り添う少年の存在が終始救いだった。
10代の頃は、物語に含まれる重みも深みも面白さも、多分ほとんど理解できなかった。
だが、あれから歳を重ねて読み終えた今、胸にぐっとくる想いがある。
サンチャゴの寂寞と力強さがひしひしと伝わってくる。
著者の他の作品も是非読んでみたいと、そう、思わせてくれる作品でした。
内容(「BOOK」データベースより)
キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく…。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。
「危険な夏 挑戦シリーズ1」北方謙三 (集英社文庫)
【時にゃ月。時にゃ太陽。
そういうもんだぜ。だから相棒なんだよ】
己のすべてを賭けた大いなる戦いに挑もうと集った男が四人。
殴り合いがきっかけで、その男たちの中に加わった竜一。
心を動かされるのは巨額の金ではなく、一滴の血。
その血で男の誇りと友情が買える。
戦うのは己のためでもあり、友のためでもある。
一切の無駄を削ぎ落とした文章が、過不足なく物語を語る。
風前の灯となった命。
ギリギリで繋ぎとめた明日。
戦場を掻い潜り、戦いに勝利した男たち。
だが、払った犠牲も大きかった。
男が女のために選んだ台詞がたまらなくいい。
「全部、何もかもが夢だったんだ」
彼女にとっては、それがベストだ。
男たちの戦いはこれからも続く。
権力と金力に目が濁った悪に挑んだ五人。
それぞれが貫いた漢気がとてもカッコいい。
高樹のスタンスもぶれてなくていい。
次巻がとても楽しみです。
内容(「BOOK」データベースより)
「金に尻尾を振って集まってくる連中じゃ、勤まりそうもない仕事なんだよ」バイト学生の水野竜一に深江は言った。自室の壁にペルーの地図を貼り、いつかその地にはばたきたいと夢みている竜一は、そのひとことで心を決めた。20億円もの金に目もくれない男たちが、自らの肉体と知恵を武器に巨大企業を追いつめてゆく。竜一21歳、暑くて危険な夏が始まった。
「ポケットに名言を」寺山修司(角川文庫)
誰にでも心に抱えた自分なりの名言集や、大切にしていきたい言葉があるだろう。
時として人生に大きな影響を与えうる言葉は、武器にも癒しにもなる。
故に、著者の言葉に大きく頷くのである。
曰く。
「人と人とに出会いがあるように、人と言葉とのあいだにも、ふしぎな出会いがある」
著者自身の言葉も含め、ジャンルを跨いだ多様な視点から集められたこの名言集は、
目次にあるように「言葉を友人に持った」著者ならでは。
どの言葉が印象深かったのかは人それぞれ。
語り合うのも面白いだろう。
この先も更なる出会いを求めて、私は書物の頁を捲り続ける。
かつての私も、心に留まった言葉を書き溜めていたノートがあったなぁ、と、
懐かしく思い出したりもしました。
この本の中で印象深かった言葉。
「しかしもう一度やりなおすとしたら、私は躊躇なく同じ道にとびこむだろう」
←現在の自分の肯定。
「喧嘩のいいところは仲直りができることね」←なんか素敵だな、と思った。
「ところで、この世でいちばん大きなタマは?地球である」←なんかすっごい納得した(笑)
おともだちからの素敵なプレゼント本です。ありがとうございます!
内容(「BOOK」データベースより)
世に名言、格言集の類は数多いけれど、本書ほど型破りな名言集は珍しいのではないか。歌謡曲あり、懐かしい映画のセリフあり、かと思うと、サルトル、サン=テグジュペリ、マルクス…。しかつめらしく覚えたり、読むのではなく、Tシャツでも着るようにもっと気軽に名言を自分のものにしよう!思い出にすぎない言葉が、ときには世界全部の重さと釣り合うことがあるのだから。異彩を放つ、真にユニークな書。
「僕は穴の空いた服を着て。」菅野彰(河出書房新社)
乱暴に括ってしまえば、自分に係ること以外はすべて「他人事」。
自分には関係のないことだと、無責任な言葉を並べ立てることができる。
そこに胸の疼きはない。
だけど、係わった当事者は、いつまでもその事象に囚われる。
苦しくて、哀しくて。
その場所からどこにも進むことが出来なくて。
途方に暮れたまま、懸命に今日をやり過ごす。
ああ、だけど、手を差し伸べてくれる「誰か」の存在は、こんなにも誰かを救う。
読み始めから最後まで、胸が痛くて仕方なかった。
でもこれは、暗闇に進む物語ではない。
長い長いトンネルから抜ける物語。
生きるということは、こんなにも大変で、こんなにも素晴らしい。
個人的には何度も反芻したい物語。
家族。友達。恋人。
身近な人たちが差し伸べてくれる手の、なんとあたたかいことか。
以下ネタバレすぎる台詞の抜粋です。
「どうして子どもの父親に選んでくれたの?」
「あなたが好きだから。好きな人のこどもが欲しいの」
幸也にとって、これ以上の言葉はなかったと思う。
智美ちゃん、ホント良い子だよ。
角館に行きたくなりました。行って、桜を眺めたい。
内容(「BOOK」データベースより)
幼い頃亡くなった父への思いに囚われ続ける幸也は、恋人と新しい「家族」を作ることに怯え、混乱していた。その父への暗い思いに重なるような姉の死の謎を追ううちに、幸也がたどり着いた真相は―。
「牙」北方謙三(集英社文庫)
【牙をなくしちゃなんねぇ。
いざという時にゃ、牙をむけるのが、男ってもんだ】
牙。
男が決して失くしてはいけないもの。
常に鋭く研いでおかなければいけないもの。
容赦なくいたぶられ、毀れそうな心が最後に縋った一本の糸。
祖父が遺してくれた戦う術。それが、牙。
「行きな」
それは、解放の合図。
解き放たれた獣が咆哮し、獲物に跳びかかる。
それは当たり前の日常との決別。
それでも、譲れないものがあった。
守らなければいけないものがあった。
自らの手でつけた決着。
たとえ、生まれた国を捨てることになったとしても、彼に後悔はない。
垣間見られる祖父の愛情が切ない。
向かった地で、彼と語れる木があるといい。
渇いた心の、せめてものやすらぎに。
ひどく人間臭い高樹に妙な違和感を覚えつつ、
親近感を抱くという不思議。
矢野と在沢の存在はありがたかった。
内容(「BOOK」データベースより)
ふとしたことで事件に巻き込まれた石本一幸、19歳。謎の女が残したシガレットケース。その中には巨悪の証拠を示すフィルムが!そして祖父が襲われ、死んだ。いまはのきわに残した「牙をなくしちゃなんねえ。いざという時にゃ、牙をむけるのが、男ってもんだ」の言葉を胸に、迫りくる組織の魔手、陰にひそむ大物に、一幸の復讐が始まる。
「夜が傷つけた」北方謙三(集英社文庫)
血と情と欲。
全てが幾重にも絡み合い、一つの殺人事件が起きる。
兄の死に納得ができずに真相の解明を願った依頼人は、十五歳の少年だった。
必要なのは覚悟。
最後までやり通す決意。
前作に引き続いての谷と杉田の同級生コンビは、なんだかんだ、良いコンビだ。
彼らは戦いのプロじゃない。
だけど、身体を張って真実の糸を手繰り寄せる。
彼らの中にあるのは損得ではなく、
自分が納得できるか否か、だ。
だからこそ、高樹も彼らにそっと歩み寄るのだ。
解けてしまえば単純な動機。
どうしようもないなぁ、と思う。
和夫にはこのまままっすぐに育って行ってもらいたい。
物語を締めるラストの一文に痺れました。
さすが北方!
酒と車の描写にテンションが上がります。
飲みなれない強いお酒を飲みたくなるからたちが悪い。
そして、ズボンを穿いてベルトを締めるのを杉田に手伝ってもらっている谷を想像して
心の中で爆笑しました。←満身創痍で笑える場面ではないことを付け加えておきます。
内容(「BOOK」データベースより)
依頼人は若すぎた。義姉の行方を心配する和夫は中三だった。消えたのは、洋子。弁護士の谷道雄がかつて愛した女。兄を殺された和夫は謎の大人たちに殴りつけられた。抜け殻同然だった谷が動き出す。久しぶりの全開に暴れ馬のエンジンも吠える。男の生きた痕跡は躰に刻みついた傷だ。北方ハードボイルドの快作。
「残り全部バケーション」伊坂幸太郎(集英社文庫)
【どうせいつかは死ぬけどな。生き方は大事なんだよ】
伊坂ワールド堪能しました!
一癖も二癖もありそうな登場人物のオンパレード。
このままじゃ終わらないよね、という第一章。
溝口と岡田。
この二人に魅力を感じた時点で物語に取り込まれている。
過去と現在を行き来する章を読み進めていくうちに、
章と章がつながっていく構成はお見事。
分担作業の殺人。
サラッと語られるアングラな仕組みも本当にありそうで不気味。
だけど、ジメッとしていない。
全体的な物語のイメージは溝口の性格によるところが大きいのかな?
そして最終章。
結局私も『それらしい』話に乗せられる。
カチッとはまったピース。
唸りました。
おもしろかった。
3年ぶりに伊坂作品読みました。
伊坂さんの構築された世界に足を踏み入れて、ただいまー!って言いたくなりました。
うん。
この独特の世界観、やっぱり好き。
内容(「BOOK」データベースより)
当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブをすることに―。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏稼業コンビの物語。
「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」佐々涼子(早川書房)
未曽有の災害に直面した時に、
どんな備えをすればいいのか。どう行動すればいいのか。
あの地震を経験して実感したこと、学んだことはたくさんある。
だけど、それらを実践する日は二度と来なければいい。
正直、それが私の本音です。
でも、語り継がなければいけない。
あの時、何が起きたのか。その後、人々がどんな思いをして頑張ってきたのか。
本書は瓦礫の中から奇跡の復興を果たした人たちの物語。
あの日何が起こったのかを記録した物語。
そして、こうして手にする紙がどうやって作られているのかを知ることができる物語。
三重の意味での良書だと思います。
人と人。
同じ方向を向いて力を合わせれば、こんなにも素晴らしいことができる。
そして、何事かをやり遂げようと思った時の明確な目標と期日の提示の重要性を
改めて思い知らされました。
「命があるうちに好きなことをしないと」
本当にその通りだと、しみじみ思います。
全力で生ききりたい。
内容(「BOOK」データベースより)
「8号(出版用紙を製造する巨大マシン)が止まるときは、この国の出版が倒れる時です」―2011年3月11日、宮城県石巻市の日本製紙石巻工場は津波に呑みこまれ、完全に機能停止した。製紙工場には「何があっても絶対に紙を供給し続ける」という出版社との約束がある。しかし状況は、従業員の誰もが「工場は死んだ」と口にするほど絶望的だった。にもかかわらず、工場長は半年での復興を宣言。その日から、従業員たちの闘いが始まった。食料を入手するのも容易ではなく、電気もガスも水道も復旧していない状態での作業は、困難を極めた。東京の本社営業部と石巻工場の間の意見の対立さえ生まれた。だが、従業員はみな、工場のため、石巻のため、そして、出版社と本を待つ読者のために力を尽くした。震災の絶望から、工場の復興までを徹底取材した傑作ノンフィクション。
「望郷」北方謙三(集英社文庫)
「あの焼け野原に帰りたい」
それは叶わぬ夢だけれども。
切に願った。
ふたり、共に生きたあの日々へ、と。
老犬トレー。ゴロワーズ。ロンソン。
きちんとしたスーツ。磨いた靴。そして刑事であり続けること。
日常の中に見え隠れする幸太の存在。
そして、因縁としか言いようのない邂逅。
獣の子は獣。
和也に出会った高樹は生き急いだのか、死に急いだのか。
事件解決の糸口を辿ったその手法は褒められたやり方ではない。
疑問だってある。
だけど、そう在ることしかできなかった。
獣を胸の内に飼いつづけたた高樹の人生には、
どこまでも幸太が寄り添っていた。
高樹の幸せはどこにあったのかな?と。
考えるとなんだかやるせない気持ちになってしまう。
『眠りなき夜』→『老犬シリーズ』ときたので『夜が傷つけた』で一段落に
しようと思っていたのですが。
ここまできたら『挑戦シリーズ』も読まないといけないような気がしてきました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
「因果な癖だ。臭いものには必ず首を突っ込む」高樹はつぶやく。平凡な事件だった。やくざの抗争、男が殺され、犯人は自首。だが、定年間近な『老いぼれ犬』高樹警視は、そこに不審な影を見る。大胆な捜査と周到な罠。やがて飛び込んで来る獲物を待つ…。老犬シリーズ3部作、堂々の完結。
