きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2015.08.19 「ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件 下巻」宮部みゆき(新潮文庫)
- 2015.08.18 「ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件 上巻」宮部みゆき(新潮文庫)
- 2015.08.06 「嘘」北國浩二
- 2015.08.02 「人間失格」太宰治(新潮文庫)
- 2015.07.20 「最後の晩ごはん お兄さんとホットケーキ」椹野道流(角川文庫)
- 2015.07.12 「ハツカネズミと人間」ジョン・スタインベック(新潮文庫)
- 2015.07.10 「朗読者」ベルハルト・シュリンク(新潮文庫)
- 2015.07.08 「銀河英雄伝説10 落日篇」田中芳樹(創元SF文庫)
- 2015.06.30 「銀河英雄伝説9 回天篇」田中芳樹(創元SF文庫)
- 2015.06.27 「銀河英雄伝説8 乱離編」田中芳樹(創元SF文庫)
「ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件 下巻」宮部みゆき(新潮文庫)
【わかっているのは、時を巻き戻せないということだけだ】
それを「隙」と言うのなら、私たちはみんな隙だらけだ。
その「隙」に「悪意」をもってスルリと入り込まれたら、即座に太刀打ちできる術はない。
日がな一日身構えて生きているわけではなく、
ましてや、悪意に晒されるとは、思ってもいないのだから。
結果、対応は後手に回り、悪意に振り回され、新たに失われてしまった命がある。
信じたくない真実を塗り固める嘘。
誰かを陥れるための嘘。
知っていることを覆い隠す沈黙。
叫んでも届かない真実。
負の連鎖が呼び込む厄災は止まらない。
そして少女は決断する。
自らの手で、真実を見つけ出すことを。
健一をこちら側に引き留めることができてよかった。
行夫は本当によくがんばった。
そしてやっぱりメディアは便利だけど、
使い方を誤ったら本当に怖いツールだなぁ、と思いました。
内容(「BOOK」データベースより)
もう一度、事件を調べてください。柏木君を突き落としたのは―。告発状を報じたHBSの報道番組は、厄災の箱を開いた。止まぬ疑心暗鬼。連鎖する悪意。そして、同級生がまた一人、命を落とす。拡大する事件を前に、為す術なく屈していく大人達に対し、捜査一課の刑事を父に持つ藤野涼子は、真実を知るため、ある決断を下す。それは「学校内裁判」という伝説の始まりだった。
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「ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件 上巻」宮部みゆき(新潮文庫)
【彼のいいところを見つけてしまった。
その発見の喜びが、涼子の頬を緩ませていった】
親の心、子知らず。そして、子の心、親知らず。
理解しあい、信頼しあう家族がある一方で、噛み合わない家族は哀しいほどに噛み合わない。
物分かりが良くて、物事が明確に見えている子どもほど、
息をすることが大変そうな学校生活。
そんな中で起こった一人の少年の死。
他人をどれだけ傷つけても意に介さない子供たち。
その子供を諌めようともしない大人たち。
逆恨みもいいところの身勝手な理由で隣人に敵意を抱く女。
自己の在り方を模索する子供たち。
冷静に事態を収めようと尽力する大人たち。
少年の死をきかっけに、彼らの人生がどう揺れ動いていくのか。
次巻へ。
嫌な面を見せられてイラッとして、良いところを見つけて嬉しくなる。
パーフェクトな人間はいない以上、人付き合いは良いところも嫌なところも含めて
その人と一緒にいたいと思うかどうかだよなぁ、とぼんやり思ってみました。
でも家族は選べない。
子どもは親がいなければ生きていけない。
突きつけられたそれぞれの家族像に、色々考えさせられました。
内容(「BOOK」データベースより)
クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。柏木卓也、14歳。彼はなぜ死んだのか。殺人か。自殺か。謎の死への疑念が広がる中、“同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届く。さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった―。一つの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、死の真相を求める生徒達を描く、現代ミステリーの最高峰。
「嘘」北國浩二
【いまさら過去を変えることはできん。
だが、ひょっとしたら、明日は変えることができるかもしれん】
真実の世界があまりにも辛くて、耐えがたいものだから。
だから、人は嘘をつく。
逃げるために。守るために。幸せになるために。
それは、優しい嘘。本当の幸せを得るための嘘。
その嘘を責めることは、誰にもできない。
認知症と虐待。
重いテーマを軸に物語は展開する。
認知症を発症しなければ、再会は叶わなかったであろう親娘。
嘘から始めなければ親子になりえなかった女と少年。
嘘からはじまった三人での家族生活。
次第に打ち解けていく彼らの姿は確かに親子だった。
だが、歪な悪意がそんな幸せを一瞬にして粉々に打ち砕いてしまう。
それでも、彼らの絆は壊れなかった。そのことに心から安堵する。
内容(「BOOK」データベースより)
あの夏、私たちは「家族」だった―。息子を事故で亡くした絵本作家の千紗子。長年、絶縁状態にあった父・孝蔵が認知症を発症したため、田舎に戻って介護をすることに。そんな中、事故によって記憶を失った少年との出会いが、すべてを変えていく。「嘘」から始まった暮らしではあるものの、少年と千紗子、孝蔵の三人は歪ながらも幸せな時を過ごす。しかし、破局の足音が近づいてきて…。ミステリ作家が描く、感動の家族小説。
「人間失格」太宰治(新潮文庫)
自分を偽りながら生きていく世界での孤独感。
どこにも行き場がない閉塞感。
それでも、彼には行く先々で受け止めてくれる女がいて、
見捨てずにいてくれた家族がいた。
どうにかしようがあったのに、と思う。
でも、どうにもなりようがなかったのは、
結局は彼自身がどうにかなることを望まなかったからだ。
周囲に心を許さず、不運にも見舞われ、
次第に追い込まれていく葉蔵に共感しすぎて、
息が詰まりそうになった10代の頃。
自分が年を重ねたせいなのか、精神が健全になった?せいなのか。
始終客観的に読み切ってしまったことが少し淋しかった。
16歳の私の感想を引っ張り出してみた。←日記代わりに読書記録つけてたんです(笑)
綴られているのは葉蔵に対する強い共感と激しい反発。
存在意義を模索していた頃の青臭い言葉を延々と吐き出しつつ、
最後の一文は「絶対に逃げない」で結ばれていて、
当時先の見えない人生と闘っていたんであろう自分の負けん気に笑ってしまった。
内容紹介
「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。だれもが自分のことだと思わせられる、太宰治、捨て身の問題作。
「最後の晩ごはん お兄さんとホットケーキ」椹野道流(角川文庫)
【『みんな』が自分の周りにいてくれるってのが、
幸せなんだよなあ、きっと】
親子でも兄弟でもその関係は個と個で、
道を正すことはままあっても、
価値観を押し付けることは間違っている。
修復できない程に行き違ってしまった兄弟の関係。
そこに至るまでにはそれ相応の理由があって、
それなのに関係の修復をちらつかせる奈津の存在に、
終始苛立ちを感じたけれども。
病室で兄弟がホットケーキを焼くシーンでじんわりしてしまいました。
おせっかいをやく人がいなければ、彼らはこんな時間を持てなかった。
でもそれは、彼らが家族だったからこその歩み寄り。
他人だったら多分無理だった。
だからこそ、これからの時間を大事にしてほしいなーと思いました。
そして明らかになった夏神さんの過去。
彼の後悔と罪悪感は多分、一生消えないと思うけれども。
「俺のことを助けるために生き残った!」と言った海里。
「自分の命も加えてほしい」と言ったロイド。
みんな素敵だね。
今回もご馳走が大変美味しそうでした!
内容(「BOOK」データベースより)
兵庫県芦屋市、元イケメン俳優の五十嵐海里は、夜だけ営業の定食屋「ばんめし屋」で、料理人見習いとして働き始めた。店長・夏神留二の謎めいた過去が気になるが、親しき中にも礼儀あり。打ち明けてもらえる日を待っている。そんなある日、獣医だという女性客がやってきた。彼女はなんと、海里の兄の婚約者。しかし海里と兄とは派手にケンカ別れをしたきりで…。とびきり温かく、優しい絆がここにある。泣けるお料理青春小説。
「ハツカネズミと人間」ジョン・スタインベック(新潮文庫)
【だって、おれにはおめえがついてるし、おらにはおめえがついている】
そしてジョージは夢を語る。
安全装置を外した拳銃の引き金に指をかけて。
もう、手の届かなくなってしまった夢を語る。
互いに支えあいながら生きてきたレニーを苦しみから救う為に
夢を語りながら引き金を引く。
どの場面を顧みても仕方なくて、仕方ないからこそやるせない。
「こんなところはいやだ」と言ったレニーの言葉が重くのしかかる。
ジョージの選択を理解したスリムの存在は、
果たしてジョージの傷を和らげることはできるだろうか?
大地と共に泥臭く生きる男たちの悲劇的な物語。
個人的には何度読んでも胸が軋む不朽の名作。
【ガーディアン必読1000冊】
初読の時の感想はレニーはジョージの行為を全く予測できないいまま死んでいった、
と書いてあったけど。
もしかしたらレニーはこれから起こることをわかっていたのかな?と思った今回。
余計に切ない。
再読なのに涙腺が壊れました。
内容(「BOOK」データベースより)
一軒の小さな家と農場を持ち、土地のくれるいちばんいいものを食い、ウサギを飼って暮らす―からだも知恵も対照的なジョージとレニーという二人の渡り労働者の楽園への夢。カリフォルニアの農場を転々とする男たちの友情、たくましい生命力、そして過酷な現実に裏切られて起こる悲劇を、温かいヒューマニズムの眼差しで描く。戯曲の形式を小説に取り入れたスタインベックの出世作。
「朗読者」ベルハルト・シュリンク(新潮文庫)
【彼女は常に闘ってきたのだ。
何ができるかを見せるためではなく、何ができないかを隠すために】
青春時代の想い出で終わるはずだった。
彼女と再び出会うことがなければ。
思いもよらない場所でハンナと再会したことにより、
彼は過去の自分と、現在の自分の在り方と向き合うことになる。
そして、その行為は彼の未来にも少なからぬ影響を与えることとなる。
彼女は何故死を選んだのか?
読者は想像するしかないわけだけれども、「わたしへの手紙はありませんか?」
この一言にすべてが集約されていると思えてならない。
彼女は知りたかったのだと思う。彼の自分に対する想いを。
「彼女はあなたと一緒に字を学んだんですよ」
彼の声に耳を傾けながら字を学んでいった彼女のひたむきさが切なかった。
【ガーディアン必読1000冊】
初読の時「うそでしょ?」と叫んだ自分を覚えています。
これは再読することを推奨したい本。
二度目に読んだ時、随所にちりばめられたハンナの事情が読み取れて、
何とも言えない気持ちがこみ上げました。
内容(「BOOK」データベースより)
15歳のぼくは、母親といってもおかしくないほど年上の女性と恋に落ちた。「なにか朗読してよ、坊や!」―ハンナは、なぜかいつも本を朗読して聞かせて欲しいと求める。人知れず逢瀬を重ねる二人。だが、ハンナは突然失踪してしまう。彼女の隠していた秘密とは何か。二人の愛に、終わったはずの戦争が影を落していた。現代ドイツ文学の旗手による、世界中を感動させた大ベストセラー。
「銀河英雄伝説10 落日篇」田中芳樹(創元SF文庫)
【伝説が終わり、歴史がはじまる】
巨大な星が輝きを止め、一つの時代が終わりを告げる。
古い体制を打ち崩し、新しい礎を築きはじめるまでに、
どれほどの血が流れたことだろう。
戦い続け、そして生き残った彼らに、ひと時の平穏を。
何が正しくて、何が間違っているのか。
価値観は人それぞれで、見方によって正義は変わる。
二つの正義は相容れない。
故に、人類の歴史は戦いの歴史。
太古から繰り返されてきた争いは、銀河でもまた、繰り返される。
銀河の英雄たちの戦いは、あまりにも鮮烈で、あまりにも潔く、
そして、あまりにも哀しかった。
流麗な文章で綴られてきた銀河の英雄たちの物語。これにて終幕です。
何度読んでも褪せることなくおもしろい。
そして、何度読んでも気持ちが掻き乱されます。
巻を重ねるごとにそれぞれの個性が際立っていって、
愛着や親しみが増した分、哀しみも深かった。
でも、出会えてよかった。
心からそう思える物語です。
内容(「BOOK」データベースより)
腹心の部下ヒルダを皇妃に迎え、世継ぎの誕生を待つばかりとなったラインハルト。旧同盟領に潜む地球教残党のテロ、元自治領主の暗躍、度重なる病の兆候など懸念は尽きないが、数々の苦難を経て、新王朝はようやく安泰を迎えたかに見えた。一方、“魔術師ヤン”の後継者ユリアンは、共和政府自らが仕掛ける最初にして最後の戦いを決断する。銀河英雄叙事詩の正伝、堂々の完結。
「銀河英雄伝説9 回天篇」田中芳樹(創元SF文庫)
【だがせめて、おれが敬愛したごく少数の人々には、
より美しい死がおとずれんことを。】
譲れない矜持。曲げられないプライド。
ままならない状況に陥れられながらも、一切の弁明を断って叛旗を翻したロイエンタール。
金銀妖瞳を有する男の右目の呟きと、左目の反論。
刻まれる歴史は、誰もが痛みを抱えるしかなかった宇宙の悲劇。
彼が心の底から望んだものは、果たして何だったのだろう?
彼自身にも答えることができない問いかけかもしれない。
全てを受け入れたロイエンタールに悔いはないだろう。
ああ、だけど、彼の最期の願いは叶って欲しかった。
ほんの一瞬でいいから、間に合ってほしかった。
双璧は最後の瞬間まで双璧であったと思います。
ミッターマイヤーの言動が終始胸に刺さり、
ここまできたら彼の手を取ることのできないロイエンタールの想いも理解でき……
結局途中から最後まで泣きっぱなし。
初読の時は戦いを求めたラインハルトに憤りを感じたけど、
これはロイエンタール自身も納得して始めたこと。
だから責任は彼にもある。
確かに、戦いを回避する機会はあったのだから。
だけど、敢えて修羅の道を選んだロイエンタールが私は本当に大好きです。(号泣)
内容(「BOOK」データベースより)
前指導者の遺志を継ぎ、共和政府を樹立した不正規隊の面々。司令官職を引き受けたユリアンは、周囲の助力を得て、責任を全うすべく奔走する。帝国では皇帝暗殺未遂事件が発生、暗殺者の正体を知ったラインハルトは過去に犯した罪業に直面し、苦悩する。そして新領土総督ロイエンタール謀叛の噂が流れるなか、敢えて彼の地に向かうラインハルトを、次なる衝撃が待ち受けていた。
「銀河英雄伝説8 乱離編」田中芳樹(創元SF文庫)
【生きていてほしかった。たとえ連戦連敗でもいいから】
一つの時代が終わりを告げた。
凶弾に斃れた魔術師。
だが、それですべての混乱と戦いに終止符が打たれたわけではなく、
混沌を抱いたまま、時は変わらずに刻まれ続ける。
残された者達に悲哀に暮れる暇は許されず、
彼らは生きていかなければならないのだ。
ムライの引き際はあまりにもお見事でした。
一人ではヤンに成り変わることはできなくても、
力を合わせて懸命に道を探る不正規隊。
この場合「遺志を継ぐ」という言葉があまりにも妥当でないところが
何とも遣る瀬無い。
始めからヤンは戦いなど望んではいなかったのだから。
双璧の来るべき未来を示した一文が、個人的には一番耐え難いものでした。
次巻……もちろん読むけど、読みたくないわぁ。
「彼の味方に絶望を、彼の敵に失望を」
うん。
でもラインハルトの失望はちょっと身勝手だと思うの。
そして人を陥れる策略を巡らす有象無象の足元には大きな穴が開いてしまえばいい……
内容(「BOOK」データベースより)
宿敵ヤン・ウェンリーと雌雄を決するべく、帝国軍の総力をイゼルローン回廊に結集させた皇帝ラインハルト。ついに“常勝”と“不敗”、最後の決戦の火蓋が切って落とされた。激戦に次ぐ激戦の中、帝国軍、不正規隊双方の名将が相次いで斃れる。ようやく停戦の契機が訪れたその時、予想し得ぬ「事件」が勃発し、両陣営に激しい衝撃を与えた。銀河英雄叙事詩の雄編、怒涛の急展開。
