きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
カテゴリー「小説」の記事一覧
- 2014.08.09 「狐笛のかなた」上橋菜穂子(新潮文庫)
- 2014.08.06 「海は涸いていた」白川道(新潮文庫)
- 2014.08.04 「逃走」 薬丸岳(講談社文庫)
- 2014.07.25 「ミントのクチビル」崎谷はるひ(ルチル文庫)
- 2014.07.23 「午後からはワニ日和」似鳥鶏(文春文庫)
- 2014.07.22 「冬の旅」立原正秋(新潮文庫)
- 2014.07.18 「不夜城」馳星周(角川文庫)
- 2014.07.09 「虚の王」馳星周(角川文庫)
- 2014.07.05 「将棋ボーイズ」小山田桐子(幻冬舎文庫)
- 2014.07.03 「光待つ場所へ」辻村深月(講談社文庫)
「狐笛のかなた」上橋菜穂子(新潮文庫)
【どうしようもない思いってあるよね。
その思いを守るために、人から見たら、
ばかだなぁと思うようなことをしてしまうことも、あるよね。】
特別な能力を持った少女・小夜と、呪者の使い魔である霊狐・野火の物語。
権力や政治、そして恨みと妬み。
隣り合う国の大人たちの思惑に翻弄されながらも、
決して揺るがず、自らの想いを貫いた二人の生き様の、なんと潔いことか。
小夜と野火の想いはどこまでもやさしい。やさしくて強い。
その思いは、長年にわたる二国の諍いの火種を消してしまうほどの凛とした強さを秘めていた。
孤独の中に生きてきた二人が、よりそって生きる姿には思わず涙が出そうになりました。
私、逆だと思ってたんですけどね(笑)
読後にほんのり気持ちがあたたかくなる、純粋でとてもきれいな物語です。
内容(「BOOK」データベースより)
小夜は12歳。人の心が聞こえる“聞き耳”の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の“あわい”に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる…愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。野間児童文芸賞受賞作。
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「海は涸いていた」白川道(新潮文庫)
【どこなんだ? その海の向こうってのは?】
誰かを守りたいと思う気持ちの、哀しいまでの負の連鎖。
哲郎の妹、薫を守るために、彼女を脅かす存在を殺めた慎二と千佳子。
妹と友人を守るため、哲郎はすべての罪を自らが被るべく、命を賭した行動に出る。
「生きることを諦めてはいない」という言葉の裏に滲む、諦念が哀しい。
妹と友人の幸せと安寧を願うだけの哲郎を、どうか放ってあげておいてほしいという、
私の想いは聞き届けられるはずもなく、彼は警察に追い詰められていく。
息子の眠る丘で、愛した女と大切な人たちに囲まれて、眸を閉じた哲郎。
行かせてあげたかった。彼の希求したペルーへ。
内容(「BOOK」データベースより)
都内に高級クラブ等を所有する伊勢商事社長、36歳の伊勢孝昭は暴力団に会社の経営を任されていた。彼には殺人の過去があったが、事件は迷宮入りしていた。しかし、孤児院時代の親友が犯した新たな殺人が、その過去を呼びおこし、警視庁・佐古警部が捜査に当たる。そんな折、伊勢はヤクザ同士の抗争に巻き込まれて―。天才音楽家の妹と友人を同時に守るため、男は最後の賭に出た。
「逃走」 薬丸岳(講談社文庫)
【相手がどんなに手を放そうとしても、
おまえが絶対に放さなければお互いにひとりぼっちにはならない】
明確な殺意を抱いていなくとも、罪を犯してしまう人たちがいる。
この物語で罪を犯した人たちは、皆、家族のために手を汚さざるを得なかった。
それが、哀しい。
どんな事情があっても、犯した罪は償わなくてはならない。
だが、その前にどうしても母親を探し出したかった裕輔。
そのための「逃走」。
そして、彼の切なる思いは、思いもよらない真実を皆に知らしめることになる。
すべては、妹を守るため。
一生彼女に会えなくなることを覚悟した裕輔に、
自分は守られるだけの存在じゃないと叫んだ彼女の想いがしっかりと伝わっていると、信じたい。
内容(「BOOK」データベースより)
死んだはずのあの男がいた。小さかった妹とふたりで懸命に生きてきた21年間はなんだったんだ?傷害致死で指名手配されたのは妹思いで正義感が強い青年。だが罪が重くなるとわかっていても彼は逃げ続ける。なんのために?誰のために?渾身の全面大改稿、ほぼ書下ろしの秀逸ノンストップ・エンタメ!
「ミントのクチビル」崎谷はるひ(ルチル文庫)
砂糖菓子みたいにふわふわした桜哉と見た目は王子様だけど、意外と短気で喧嘩っ早い邦海。
ロクでもない男を好きになったという共通項も、
そのおかげで出会えたと思えばマイナスにはならないよね。
桜哉が徹底的に甘やかされる、糖度マックスなお話でした(笑)
いや、もう、ホント甘々。
そして邦海が正しく美形王子様。
ショートで入っていた伊勢と昭生の話良かったなー。
この大人カプ、やっぱ好きだわ。
内容(「BOOK」データベースより)
夢見がちな姫路桜哉は、初恋の人・徳井にはじめてを捧げた朝、当の徳井から心身ともに傷つけられる。そこへ颯爽と踏み込んでかばってくれたのは、その瞬間まで徳井の恋人だった小島邦海。彼は徳井に絶縁を突け付け、桜哉には優しいキスをくれた。王子様のような邦海から大切にされ、自分がいかに酷く扱われてきたかを思い知った桜哉は、まずはお試しで邦海とつきあうことになり…。
「午後からはワニ日和」似鳥鶏(文春文庫)
登場人物が個性的で魅力的。
桃君と服部君は二人セットの会話が面白い。
鴇先生のかっこよさは憧れるなー。
とはいえ。
他人様の家にピッキングして勝手に上り込むのは無謀極まりないと思う。
不法侵入だし、何より相手が悪人なら危険極まりないわけだし。
感情的には動物は盗まれるより殺される方が罪が重いと思ってしまうけど、
法律的にはそうじゃないんだね……
日常の中でこんなふうに知らないことってたくさんあるんだなーと
自分の知識不足を顧みてしまった。
飼育員さんたちの動物たちに対する愛情があふれている作品でした。
内容(「BOOK」データベースより)
「イリエワニ一頭を頂戴しました。怪盗ソロモン」凶暴なクロコダイルをどうやって?続いて今度はミニブタが盗まれた。楓ヶ丘動物園の飼育員である僕(桃本)は解決に乗り出す。獣医の鴇先生や動物園のアイドル七森さん、ミステリ好きの変人・服部君など、動物よりもさらに個性豊かなメンバーが活躍する愉快な動物園ミステリ。
「冬の旅」立原正秋(新潮文庫)
とても美しい日本語を紡ぐ作家だと思います。正統派な美しさ。
10代の頃に読んだ時は完全に主人公・行助に傾倒し、彼に対する扱いを不当だと感じ、
ひたすら憤り、彼のたどった運命にやるせなさを感じて号泣しました。
改めて読み返してみると、あまりにも凛とした精神は、
時に他者を追い詰めるものなのかもしれないと、
また違ったやるせなさを感じて胸が痛くなりました。
とはいえ、彼は間違ったことはしていない。
それなのに、何故?と、彼の運命のあまりの理不尽さにやりきれなくなるけれども、
彼は自分の生き方に決して後悔はしていない。
運命を受け入れた彼の在り方もまた、静謐にすぎるほどで、なおさら胸が痛くなる。
できれば若い方に読んでいただきたい本。
自分の内面を見つめ直す、良いきっかけになる本だと思います。
内容紹介
美しく優しい母を、義兄修一郎が凌辱しようとした現場を目撃した行助は、誤って修一郎の腿を刺して少年院に送られる……。母への愛惜の念と義兄への復讐を胸に、孤独に満ちた少年院での生活を送る行助を中心に、社会復帰を希う非行少年たちの暖かい友情と苛烈な自己格闘を描き、強い意志と真率な感情、青春の夢と激情を抱いた若い魂にとって非行とは何かを問う力作長編。
「不夜城」馳星周(角川文庫)
【おれはおまえを連れていきたい。おまえが望む場所にだ。
だけどな、そんな場所はどにもないんだよ】
愛しさを感じた女を信じることができなかった男。
助けを求めてすがった男を信じられなかった女。
唯一の拠り所は自分自身。行きつく先は、喰うか、喰われるか。
常に一手先を読み、保険をかけておかなければ明日につなぐことのできない命。
それでも信頼に値しない相手。掬われる足元。
裏切りと計算の渦巻く殺伐とした世界に身を置く者たちの末路は憐れでもあり、物悲しくもある。
彼らにとってのやすらぎとは、愛情とは、いったい何なのか。
問いかけてみたところで返ってくるものは、空しさだけだった。
内容(「BOOK」データベースより)
新宿・アンダーグラウンドを克明に描いた気鋭のデビュー作!おれは誰も信じない。女も、同胞も、親さえも…。バンコク・マニラ、香港、そして新宿―。アジアの大歓楽街に成長した歌舞伎町で、迎合と裏切りを繰り返す男と女。見えない派閥と差別のなかで、アンダーグラウンドでしか生きられない人間たちを綴った衝撃のクライム・ノベル。
「虚の王」馳星周(角川文庫)
【考えればいいんだよ。
どうすればいいのか、なにをすればいいのか。
ちゃんと考えればなんだってうまくいくんだから】
邪気のない悪意。
日常の中に紛れた狂気。
うるさいから刺す。邪魔だから殺す。
まるで不快な汗をぬぐうような気軽さで、
道徳や倫理といった概念を飛び越えてしまう少年、
栄司と出逢ったことによって運命を狂わされた人々の物語。
かつては暴力で渋谷に君臨した隆弘ですら、
栄司と出逢ったことで破滅への道を転がり落ちていってしまう。
僅か数日の出来事にしては、あまりにも濃密すぎて眩暈すら覚えそうになる。
度を越した暴力の連鎖に眉を顰めながらも、先へ先へと頁を捲る手が止まらない。
それは、登場人物を介して作者の放つエネルギーに吸い寄せられ、
引き込まれるような感覚なのかもしれない。
内容(「BOOK」データベースより)
新田隆弘は鬱屈をため込んでいた。かつては渋谷で伝説のチームと言われた“金狼”の元メンバーも、今ではヤクザの下っ端。兄貴分の命令で高校生が作った売春組織を探っていた隆弘は、中心人物の渡辺栄司に辿り着く。さして喧嘩が強そうでもない、進学校に通う色白の優男。だが、栄司は仲間を圧倒的な恐怖で支配していた。いったい何故。隆弘が栄司の全く異質な狂気に触れたとき、破滅への扉が開かれた―。
「将棋ボーイズ」小山田桐子(幻冬舎文庫)
【俺はね、負けた時に、あれをやっておけばよかった、
これをやっておけばよかったって思うのが嫌なんだよ。
負けた悔しさはあっても、
あれもこれも全部やってきた結果だからしょうがないと思いたい。】
仲間たちと共に部活(将棋)に打ち込みながら過ごす高校生たちの3年間の物語。
この多感な時に「仲間と一緒に必死にやったこと」が後の自分に与える影響ってすごく大きいと思う。
例えばそれは仲間たちとの絆であったり、その時の自分の成長度合いであったり、
その時に感じた悔しさや喜びであったりするのだろう。
将棋への取り組み方や、仲間との接し方は人それぞれ違う。
それでも、大会がある以上、上位を目指すならチームは意識を同じくして
取り組んでいかなければいけない。
温度差がある部分を摺合せ、互いに技術を磨きあい、
相手に対して無神経な物言いをしている部分はきちんと反省する。
躓きながらもそうやって過ごしてきた三年間の間の
少年たちの成長具合が伝わってきたのが微笑ましくてよかった。
内容(「BOOK」データベースより)
勉強も運動も苦手な歩は、なんとなく将棋部に入部する。そこには、亡父の願いと周りの期待に悩む天才・倉持がいた。そんな時、県大会の団体戦メンバーが呼び上げられる。落ちこぼれと本気になれないエースが、タッグを組んで奇跡を起こす!?僕らの未来を決めるのは、大人でも偏差値でもない―実在の将棋部をモデルにした絶対感動の青春小説!!
「光待つ場所へ」辻村深月(講談社文庫)
【きっと恋をしたら、そういう俗っぽいことも、
潔癖じゃいられないダメなことも、全部わかるようになるのに】
チリチリと胸に刺さる感情は、覚えのある傲慢さ。覚えのある嫉妬心。
ここではない、どこかへ。
楽に呼吸ができる世界を、本来の自分が在るべき世界を探そうとする心理は
結局は現実世界で真っ向勝負することからの逃避にすぎないんだと、
気づくことができるまで、とても苦しかった時代が、確かに存在する。
今はもう、乗り越えてしまったその時の想いを、彼女の紡ぐ物語はリアルに思い出させてくれる。
この物語で語られる彼らや彼女たちの人生は、
周囲の人たちとの係わりや、自らの体験にから得たことによって
苦悩や惑いの中から明るい光に照らされた未来へと歩きだしている。
収められた5編の短編を総称するのにふさわしいタイトルだと思いました。
内容(「BOOK」データベースより)
大学二年の春。清水あやめには自信があった。世界を見るには感性という武器がいる。自分にはそれがある。最初の課題で描いた燃えるような桜並木も自分以上に表現できる学生はいないと思っていた。彼の作品を見るまでは(「しあわせのこみち」)。文庫書下ろし一編を含む扉の開く瞬間を描いた、五編の短編集。
