きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「水滸伝9 嵐翠の章」北方謙三 (集英社文庫)
役割は受け継がれていく。
その男の生き様と共に。
一進一退の繰り返しかと思った本巻。
最後の最後で静かで苛烈なドラマが待っていた。
梁山泊の豪傑の行くところに、逸材有。
在るべき場所を見つけられないまま燻っていた彼らに、
多くの豪傑達が生かされている。
愚直に不器用に駆け続けた林冲。
彼のために動いた公孫勝。
涙した安道全。
そして、宋江の想い。
多くを語らずとも深く結びついている彼らの絆がたまらない。
魯俊儀と柴進に伸びる、青蓮寺の手。
剣を取るだけが戦いではない。
彼らもまた、命がけで戦っている。
剣での戦いを委ねる者達への命の預け方が、あまりにもお見事。
豹子頭林冲。
彼のイメージがグインと被るのは「豹子頭」の仇名からだけではない……はず。
グインの方が隙なく揺るぎもないけどね。
私は林冲の強さの中に揺らぐ迷いが好き。
だから林冲を馬鹿呼ばわりした李逵にちょっと腹をたててみました。(笑)
秦明と解珍の組み合わせは、とっても和みます。
そして王進の元へと預けられた楊令にほっとしました。
馳星周の解説には思わずニヤリとさせられること必須。
「百八人の北方謙三もどき」この言い回し、最高。
内容(「BOOK」データベースより)
死んだはずの妻、張藍が生きている。その報を受けた林冲は、勝利を目前にしながら戦を放棄し、ひとり救出へと向かう。一方、呉用は攻守の要として、梁山泊の南西に「流花寨」を建設すると決断した。しかし、新寨に楊〓(せん)率いる三万の禁軍が迫る。周囲の反対を押し切って、晁蓋自らが迎撃に向かうが、禁軍の進攻には青蓮寺の巧みな戦略がこめられていた。北方水滸、激震の第九巻。
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