きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
『何もかも憂鬱な夜に』 中村文則(集英社文庫)
【世界に何の意味もなかったとしても、
人間はその意味を、自分で作り出すことができる】
この世界にいることが、どれほど息苦しいことに感じたとしても。
それでも人は、この世界で命をつないでいかなければならない。
いや。
命をつないでいくことができる、と、続けるべきか。
何故なら。
世界には、すばらしいものや綺麗なものがたくさんあるから。
太古からつながれてきた命の連鎖は、「今の自分のためだけにある」ものだから。
そう思えば、自分の命が、なにか、とても価値のあるものに思えてくるような気がする。
無駄にしていい命も、無駄にしていい時間も、ない。
だから生きる。懸命に。
何かに抗いながら。
何かを模索しながら。
この作品を読んだ後だからこそ。
「共に生きましょう」という作者の言葉が、やさしく、いたわるように、胸に響いた。
内容(「BOOK」データベースより)
施設で育った刑務官の「僕」は、夫婦を刺殺した二十歳の未決囚・山井を担当している。一週間後に迫る控訴期限が切れれば死刑が確定するが、山井はまだ語らない何かを隠している―。どこか自分に似た山井と接する中で、「僕」が抱える、自殺した友人の記憶、大切な恩師とのやりとり、自分の中の混沌が描き出される。芥川賞作家が重大犯罪と死刑制度、生と死、そして希望と真摯に向き合った長編小説。
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