きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「無伴奏」小池真理子(新潮文庫)
美しい言葉で綴られる、とても残酷でとても哀しい恋の話。
私の小池真理子の原点。
何にでもなれる、どこにでもいける。
そんな、可能性を無限に秘めた多感な時期を共に過ごした四人の男女。
彼らの織り成す、大人びて見せるものの、幼さの拭えない、歪で、背徳的な四角形。
けれども、手を触れて壊してしまうことが躊躇われる何かが感じられるのはどうしてだろう?
それぞれに向けられた想いは、真摯で、ずるくて、だけどあまりにも必死で。
何処かで破綻することがわかっているからこそ、泣きたくなるほどに狂おしい。
「きみは人生が好きかい?」
自らの問いかけに対する渉の答えが哀しい。
「何故大学に行くのか?」
いくつかあった理由のひとつが、自分が生きている意味を教えてもらえると思っていたから。
「行ったところで何かが何かが変わるわけでもない」
あたりまえだ。
生きている意味は教えてもらえるわけじゃなくて、自分でみつけるもの。
変えてもらうんじゃなくて自ら変わるもの。
入学したところで何も変わらないことにものすごく落胆した後、
そんなふうに思えてものすごく楽になった学生時代。
と、あまりにも馴染んだ地名や店名に揺さぶられて、青臭い時代を思い出してみました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
その果てに待つものを知らず、私はあなたを求めた―。多感な響子は偶然に出会った渉に強く惹かれるが、相手の不可解な態度に翻弄される。渉に影のように寄り添う友人の祐之介と、その恋人エマ。彼らの共有する秘密の匂いが響子を苛み、不安を孕んで漂う四角形のような関係は、遂に悲劇へと疾走しはじめる。濃密な性の気配、甘美なまでの死の予感。『恋』『欲望』へと連なる傑作ロマン。
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