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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「羆嵐」吉村昭(新潮文庫)



【この男は本物のクマ撃ちなのだ、と区長は思った】

荒れ地を耕し、貧困に喘ぎながらも、移り住んだ土地で生活を営んでいた村人たちを襲った悲劇。
北海道開拓の苦難を知ると共に、太刀打ちできない羆という猛威への無力感、
そして、羆撃ちを生業とする男の孤独と寂寞を突きつけられた話だった。
日本最大の獣害。
男女を選り好んで食らう羆の生態には、底の知れない恐怖しか感じられない。
2日間で6人もの人を殺めた羆を仕留めた銀四朗が、何故ここまで孤独であらねばならぬのか。
彼の為人によるところもあるのだろうが、
「きさまらはずるい」という彼の叫びはあまりにも悲しかった。
ただの烏合の衆でしかなかった警察官や、猟銃保持者たち。
集団であるが故に誰かがなんとかしてくれる、という心理が働いたであろうことは否めない。
たったひとり、羆に対峙した銀次郎。
だが、彼は最期の瞬間まで羆撃ちだった。

内容(「BOOK」データベースより)

北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現!日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音…。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。

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