きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
『SOSの猿』 伊坂幸太郎(中公文庫)
【すべてが悪だという人間も存在しなければ、すべてが善なる人間もいない】
前半の進みの悪さとは比較にならないくらい、一気に読み進んだ後半。
視点や時間軸が飛躍しながら展開されていくが故の混乱が収束されていく様はお見事。
結末までを踏まえたうえで二度読みすると、より深く楽しめるんだろうなぁ、と思いつつ、
初読で感想書いてます。
ラストの一文がとても好き。
「ふいに、別の自分が生れるかのような予感を覚えた私は、
ゆらゆらと落下する毛に向かい、変われ!とささやいた」
ここではない、どこかへ。
今の自分ではない、自分へ。
現実にもがきながら切ないほどの思いを抱いたことは、誰にでもあると思う。
それが顕著なのが「思春期」……なのかな?
「自分の存在意義とは何ぞや?」「死とは何か?」
覚えのありすぎるクエスチョン。
存在意義をみつけられずにぐるぐる考え続けて、それが苦しくて。
どうしようもなくてどうしていいかわからなくて……そんな思考にはまった時のことをはっきりと覚えています。
でも、ある日突き抜けたんだよね。
ま、いっかーって。(笑)
そんなあたしの座右の銘は「いきあたりばっちり」。
なかなか素敵な言葉だと思っています。
内容(「BOOK」データベースより)
三百億円の損害を出した株の誤発注事件を調べる男と、ひきこもりを悪魔秡いで治そうとする男。奮闘する二人の男のあいだを孫悟空が自在に飛び回り、問いを投げかける。「本当に悪いのは誰?」はてさて、答えを知るのは猿か悪魔か?そもそも答えは存在するの?面白くて考えさせられる、伊坂エンターテインメントの集大成。
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