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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「HHhH~プラハ、1942年」ローラン・ビネ(海外文学セレクション)



作中で物語を進行するのは著者自身。
俯瞰しているのと同時に、渦中に在る視点。
故に、臨場感を伴って、より視覚的に事象が伝わってくる。
「歴史」ありきの物語。
語られるのは「人の」ではなく「時代の」狂気。
虐殺された人々の姿を、その数を思い描くことを、頭が拒絶する。
だけど、穴の中に折り重なる死体から目を背けてはならない。
これは、その死体の山を築いた男と、その男を暗殺した男たちの物語。
そして、彼らに係ったが為に、皆殺しの憂き目にあった人たちの物語。
ここまで詳細に調べ上げ、物語として完成させた著者に、敬意を。
圧巻でした。


「どうして自分の仲間を裏切ることができたのか?」
「百万マルクも貰えるとしたら、あなただって同じことをしたと思いますよ」
一緒にしないでよ!と、心の底から叫びたい。
懸命に暗殺者を支え続けたのは、「同じことをしない」人たちだ。
密告がなくても、もしかしたら彼らは発見されたかもしれない。
だけど、万死に値するのは裏切り者のチュルダだと思えてならない。
気になる方のために「HHhH」の意味。
「ヒムラーの頭脳はハイドリヒ(ユダヤ人大量虐殺の首謀者)と呼ばれる」



内容(「BOOK」データベースより)

ユダヤ人大量虐殺の首謀者、金髪の野獣ハイドリヒ。彼を暗殺すべく、二人の青年はプラハに潜入した。ゴンクール賞最優秀新人賞受賞作、リーヴル・ド・ポッシュ読者大賞受賞作。

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