きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記」小野不由美 (新潮文庫)
何故討ったのか。
何を成したいのか。
まったく見えてこないその行為に、募る焦燥と苛立ち。
荒廃した国の中でも己の役割を果たしながら生きる人々がいる一方で、
苦しみに耐えるしか術のない民が痛々しい。
信じたいものと現実が同義であるとは限らない。
だけど、信じたいものが潰えるということは、希望も潰えるということ。
そんな現実とどう折り合いをつけて生きていくのか?
自分のことだけを考えていればいいわけではない立場の
李斎の問いかけが重い。
王宮でも、少しずつ事が動き始める。
泰麒が膝を突いた理由が気になる。とても気になる。
余計な情報を拾わないように、帯を外した表紙を並べて悶々とする。
そんな暇あったら続き読みなよ!って感じだけど(笑)
待ち続けたからこそ、飛ばし読まずに大事に読みたい。
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「担当編集者は嘘をつく 毎日晴天!15」菅野彰(キャラ文庫)
ひたすら大河がめんどくさい方向に迷走していた15巻。
おかげで秀の混沌も人的被害を生み出す方向へ拡散されてしまった感が否めない。
仕事とプライベートを完全に分離出来たら多分楽だったんだろうけど、
そもそもの二人の関係の再出発は編集と作家としての関係性から。
そうやって歩んできた延長上に在る今だからこそ、分離は難しいんだろうなぁ。
だから言葉が必要なんだよ、大河。
秀の混沌は、何も望まなかった秀に欲が出てきた現れ。
まわりにとっては迷惑でも秀自身にとっては良い変化。
だから大河も惑う。
堂々巡りだな。
久賀の存在がいい意味でのカンフル剤。
個人的にはまどろっこしいのが嫌いなので
めんどくさいわー!と、切って捨てたいところだけど。
恋情の他に仕事が係ってくると、なんか色々汲んでしまって出口が見えなくなってしまう。
大河はもうちょっとブレない人かと思ってたんだけどね。
思えは、恋愛方面はホント疎い朴念仁だったわ(笑)
バース(犬)が長生きしてくれることをひたすら願う。
この作品の最終巻はバースが臨終を迎えて終わるのでは!?と本気で危惧したことのある過去の私。
それより一人二人巣立っていくと考えた方が現実的。かな?
「白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記」小野不由美 (新潮文庫)
王の不在から6年。
荒れ果てた国でその日の命を明日に繋ぐために生きる人々がいる。
困窮に喘ぎながらも、絶望に呑み込まれなかった人々がいる。
点と点が少しずつ繋がりあっていくのは、
泰麒が行動を起こしたからこそ。
たとえ麒麟としての力を失くしたとしても。
彼でなくては成し得ないことがある。
泰麒が紡いだ虚言。
これは、彼が胎果だからこそ口にすることができた嘘。
彼の国人々は思いつきもしないだろう。
方々で口ずさまれる歌は潜伏の証。
……だと思いたい。
かつて何が起こったのか。
少しずつ語られながら進行する物語。
だけど、いまだ真相は闇の中。
彼の人は何処へ。
読み辛い漢字多くなってない!? と、
既刊再読直後なのに思ってしまった私(笑)。
気のせい?
途中でマッカーシーの『ザ・ロード』を想起させられてしまった。
だけど、これはディストピアではないはず。
そう信じて、次巻へ。
「さあ、今から担当替えです 毎日晴天!14」菅野彰 (キャラ文庫)
会社という組織に属して働く大河には理解でき、諾としたことも
家の中で大河と原稿とだけ向き合ってきた秀には理解も納得もできない担当替え。
帯刀家で暮らす6人の中で一番世界が閉ざされているのが秀だと、
改めて突きつけられる。
自分の担当から大河が外れたことが納得できない愁。
何で?どうして?
言われた仕事をこなせば大河が戻ってくると思える心理がとても不憫。
仕事を離れたってつながっている。
そのことが呑み込めない秀がやっぱり哀しい。
大河は言葉が足りなさすぎとも思うけど、
秀のすべてを受け止める彼の懐はひろくてあたたかい。
秀はこの先、一人で歩けるようになるのかな?
「思考の一人遊び」わかるわー。
昔はよくそうやってふわふわしてたけど、
最近そうやって思考の波間を漂うことってなくなったなぁ。
インプットの期間と思って吸収し続けてるけど、
アウトプットっていつするの?と最近思ってみた。(笑)
「ジェファーソンの密約(下)」 (シグマフォースシリーズ6)ロリンズ(竹書房)
限られた時間の中で精一杯の知恵を振り絞り、文字通り身体を張って
未曽有の危機に瀕した国家を救った彼ら。
だけど、後味がとてつもなく悪い。
他者の命を散々に奪っておきながら、幸福の中で時間を止めた彼の身勝手。
任務を忠実にこなしたが故に、愛する家族が命を狙われる理不尽。
職を辞することを選んだ男。
失意の底にいる男。
だが、彼らは再び立ちあがるだろう。
対峙しなければならない敵がいる限り。
その敵が!
ラストの一行で思わず声が出る衝撃。
このシリーズ、面白さが失速しないなぁ、と思っていたけど、
ここにきてブーストで加速した感あり。
再読な訳だけど、明確に覚えているのがラストの一文だけっていう自分に驚き。
それだけラストが衝撃的だったと言えば、聞こえがいいのかな?
おかげで(?)楽しく読めました。
このシリーズの再読はこの巻で終了。
以降は未読の世界へ突入です。
再読の巻数より未読の巻数が多いってどういうことだろう?
よく積んだなぁ、私(笑)
『子どもたちは制服を脱いで 毎日晴天! 13』菅野彰 (キャラ文庫)
よくぞここまで書いてくれたと。
寂しさと嬉しさとを噛みしめつつ、感動と感謝しかない13巻。←20年も読み続けているともはや親目線・笑。
いつまでも彼らはそのままその場所に在るものだと、思いこみたかったけれども。
タイトル通り制服を脱いだ勇太と真弓は
大河の手を離れ、秀の手を離れ、大人へとなっていく。
当たり前に守られてきた世界から、自分の脚で立つ世界へ。
四六時中一緒だった世界から、別々の世界へ。
戸惑いと迷いを滲ませながらも、それぞれが踏み出した一歩。
そうやって人は成長していくんだなぁ、と、つくづく感じいる。
勇太がホントカッコよくって感無量。
大河と勇太が洗面所で話すシーンがとても好き。
大河は真弓を勇太に、勇太は秀を大河に。
もう預けたのだと、互いに認め合うシーン。
ちょっと息抜き……のつもりが一気読みしてしまった。
ま、再読だからいいか。←理由にならない。
初読の時は、紙本で買ったのに、限定のSS目当てで電子まで買うなんて!
と意固地になっていましたが。
迷わずポチッとしてしまった。
ええ、限定のSS目当てで(笑)
「ヒトの世界の歩きかた」イーライ・イーストン (モノクローム・ロマンス文庫)
人間に変身出来る犬(クイック)のローマンは、
クイック歴2年のジャーマンシェパードの成犬。
そんなローマンがマット(人)と出会い、恋をする。
犬から人間になって自らの身体と心の変化に困惑するローマンの心情が
リアルに書かれていて、とても可愛い。
人としてはまだ幼く稚いローマンの気持ちはまっすぐで好意を持った相手に対する想いを
隠すことも嘘をつくこともできない。
そんなローマンの柔らかな心情と、鍛え上げられた強靭でセクシーなボディとのアンバランスさも魅力。
謎めいたローマンに惹かれていくマットの心情も丁寧に描かれていて、素直に応援したくなる二人。
ラスト、幸せを噛みしめるシーンがとても良かった。
前作でメインだったランス(クイック)とティム(人)のカップルも健在。
ランスがものっすごく小姑っぽくなってたけど、
それも身内を守るための犬の防衛本能だと思えば納得。
ローマンの電話相談に渋々応じるランスの姿が愉快。
ティムの方がよっぽど柔軟だわ。
相棒を失った軍用犬・シェパードというワードで
読友さんたちから好評価だったロバート・クレイスの『容疑者』が俄然気になってきました。
そのうち読んでみよう♪
「逆説の日本史12 近世暁光編」井沢元彦(小学館文庫)
リメンバー関ヶ原。
なるほど。
この時の勝敗が後々の明治維新につながると思うと、
歴史は一本の線上に展開されていると、つくづく感じさせられる。
勝利も敗北も紙一重。
勝った人が正義。
だけど、家康以外の誰かが勝者だったら安定した治世が265年も続かなかった気がする家康の偉業。
それも、信長と秀吉の築いた基礎があってのことだと、改めて思う。
過去を知るからこそ未来に備えられる。
このシリーズを読んでくれば、途中で気になる天皇家と徳川家との係わり方。
そこは漏れなくしっかり述べられていました。
万世一系。
続いた比類なさを令和に噛みしめる。
実際に関ヶ原を巡って、竹矢来・馬防柵が復元されている笹尾山にも行っているので
情景が色々浮かんでなんだか感慨深い。
とは言え、当時の私は東軍と西軍の違いもよくわかっていなかったので、
機会があったら再訪したい。
■行った場所:名古屋城・関ヶ原・笹尾山・石田三成陣跡
■行きたい場所:岐阜城・伏見城・東叡山寛永寺
■読みたい本:『真田太平記』池波正太郎・『天皇という「世界の奇跡」を持つ日本』ケント・ギルバート
「花屋の店番 毎日晴天! 12」菅野彰 (キャラ文庫)
3編収録。
それぞれ悩みを抱えた人たちが、惑って自問して、周囲を巻き込みつつ悶々としているわけですが。
誰に対しても「話聞くで?」と言ってくれた勇太の成長に惚れ惚れ。
ホントイイ男になったわ。
一方の龍のグダグダさに呆気。
明信と一度距離を置くことによって、漸く共に歩く未来に目を向け始めることができた二人。
必要な逃避だったかな?と思える成り行きで良かった。
真弓は自分の進路問題から存在意義を見失って不安定に。
そんな時期はだれにでもあるよね。
浮上できたのは、愛情いっぱいに接してくれる人たちのおかげ。
そんな真弓の後を追い、それぞれの話を聞いた秀の告白に胸があたたかくなった。
挟まっていた特典のペーパーがとても楽しかった。
私、こうやって本に挟んでないと、ペーパーがあることを忘れちゃうのよね。
文庫とサイズの合わないペーパーはクリアファイルにしまってあるんだけど、
何を持っているのかが全く把握できていない残念さ。
今度一覧表作ろうかなぁ。
皆さん、どうやって管理してるんだろう?
「夢のころ、夢の町で。 毎日晴天!11」菅野彰 (キャラ文庫)
与えることも与えられることも知らなかった秀と勇太。
泥沼のような日常から秀が勇太を引っ張り出し、
穏やかな日々が続くと思いたかったけれども。
二人ともが幼く、欠けているものが大きかった。
時々語られていた彼らの過去をここではっきりと突きつけられ、
胸が軋みまくって落涙。
距離感がわからず、失いたくない想いが先に立ち、
本音を言い合えないまま深くなってしまった溝。
逃避した勇太が手を出したモノに対する代償は
壮絶なものだったけれども。
そこから抜け出した彼の気づきがとても哀しい。
それほどまでに深かった秀の深淵。
だから、大河の存在に安堵する。
人との出逢いは奇跡。
繋がりを持ち続けるには、努力と歩み寄りが必要。
そうやって手にする幸いがある。
彼らの夢がずっと続いていきますように。