きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「風の万里 黎明の空 (上) 十二国記 4」小野不由美 (新潮文庫)
三人の少女たちの自己探求の物語。
自分を憐れむばかりの鈴。
他人を妬むばかりの祥瓊。
二人が自分を顧みて現実を認識し、己の考えを改めていくまでに
様々な人たちからかけられる言葉に、一緒になって抉られて、私も己を顧みて反省。
自分を可哀そうだと思ったことはないけど、
大変なのは自分だけじゃない、ということは忘れないようにしよう。
文句を言う資格があるのはやるべきことをやった者だ。
責任の重さを自覚するものの、なすべきことが定まらず、民の暮らしを知るべく市井の中に入っていく陽子。彼女の肝の座り方がとても好き。
泣きながら読了の上巻。
下巻は再読でもわくわくする。
「雁のまわりに落ちついている国がない」という言葉が
気になって仕方がない何度目かの再読。
本筋とは全く関係ないんだけど、「滅びの王」のワードもあることだし、
私が延王大好きだから気になっちゃうのね。
言ってることがまったくぶれていない珠晶も好き。
そう思えるのは『図南の翼』を読んでいるから。
世界観の作り込み方が半端ないことに改めて感嘆。
何度読んでも面白いモノは面白い。
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「月の影 影の海 (下) 十二国記 1」小野不由美 (新潮文庫)
度重なる裏切りと、悪意ある囁き。
もう、誰も信じない。
誰にも心を許さない。
と、頑なだった陽子の心が、楽俊との交流でほどけていく様があたたかくて好き。
楽俊の優しさに泣きそうになる。
決して恵まれた環境で育ったわけではないけれども、
その中に幸いと自分の生きる道を見つけていた楽俊。
彼の考え方は見習いたい。
己を顧みて反省する潔さを持ち、決して心折れることなく
「強くなりたい」と口にできる陽子はとてもカッコイイ。
慶王としての責任を背負った陽子は、
本当に何も知らない・持たない所からのゼロスタートだったのだと改めて思う。
前途多難な、だけどとてもわくわくする物語の始まり。
ふかふかの楽俊が目の前にいたら、たとえ慎みがないと言われようとも、私も抱きつきたい。
延王と延麒は好きすぎて、そこにいてくれるだけで嬉しい。
今回は慶国を追いかけて再読。
というわけで、次は『風の万里 黎明の空』。
「月の影 影の海 (上) 十二国記 1」小野不由美 (新潮文庫)
『風の海 迷宮の岸』を先に読んでいたせいもあって、
景麒の説明不足と無愛想さに失笑。
泰麒との逢瀬から何を学んだ?
とはいえ、慶という国の現状を考えれば、
景麒にも余裕がないのはわかる。
そして、彼は泰麒の次に若い麒麟。
そう考えれば、彼もまだ、成長途中なのかも。
現代社会で高校生として生きてきた陽子。
そんな彼女が突然連れてこられた世界。
ああ、ここから彼女の物語は始まったのだと。
なんだか感慨深い。
異世界でたった一人、闇と妖魔と対峙しながら生きねばならぬ彼女の孤独と恐怖、
故の荒みきった心が酷く痛々しい。
諦めないで。光は必ずあるから。
困った人に手を差し伸べるのが人なら、
その困った人を更に窮地に陥れるのも人。
騙したり裏切ったり。やだなー。
騙した人は騙される。
手を差し伸べた人には救いの手が伸べられる。
せめて、そんな因果を期待したい。
「黄昏の岸 暁の天 十二国記 8」小野不由美 (新潮文庫)
一人一人にできることは極僅かでも。
力を合わせれば成し得ることがあるのだと。
知らされる。
そして、自らの行動は自らに跳ね返ることを痛切に実感する。
信ずるに足る人間だと信じてもらうためには
自らの行動で証明する必要があるのだと。
「人は自らを救うしかない」
厳しい言葉だけど、真理。
慶も戴もギリギリのところで踏みとどまっている国。
慶はこれから成長していこうとしている国。
戴は破滅に向かっているようにしか見えない国。
そんな戴を救おうと必死で立ち上がった満身創痍の二人。
気になって仕方のなかった国の行方が、今秋漸く知れる喜び。
7年の年月は人を成長させる。
稚さのなくなった泰麒が頼もしくもあり、ちょっと淋しくもある。
何度読んでも氾王と延王の漫才みたいな掛け合いがとても楽しい。
この二人、良いコンビだわ。
そして、王として懸命に在ろうとする陽子にはエールを。
甘えたことを言わない彼女は凄いと思う。
「風の海 迷宮の岸 十二国記 2」小野不由美 (新潮文庫)
何度読んでも泰麒のいとけなさと愛らしさと懸命さに涙。
子どもが頑張っている様は胸に刺さる。
10年間異世界で暮らし、漸く戻ってくることのできた故郷。
帰還したばかりの彼に課せられた重大な使命と周囲の期待。
そのことが彼に大きな重圧をかける。
この世界のしきたりを泰麒は知らない。
子どもらしく無邪気に振る舞っていた泰麒が、だんだんと萎れていく様が辛い。
己に自信と誇りを持ち、何事にもまっすぐに立ち向かっていく驍宗の様は潔いと思うけど、
苛烈すぎる覇気が眩しすぎて痛いのは伝わってくる。
そんな驍宗をも唸らせるほどの資質を持った泰麒。
胸を張って、自信を持って。
何度読んでも悪役ぶっている延王に惚れ惚れする。
驍宗にはもう少しゆとりというか遊び心があってもいい気がする。
これから……かな。
「魔性の子 十二国記 0」小野不由美 (新潮文庫)
壮大な物語の壮大な序章。
序章の段階でここまでの世界観とプロットがしっかりと構成されていることを
再読することで実感する。
彼が忘れてしまった空白の時間。
今彼がここにいることで混乱に陥っている国の様相。
紡がれる異世界の言葉の意味。
目に浮かぶ事象に想いを馳せては、しみじみと思う。
ものすごい物語を手にしているのだと。
至福と感動が込み上げる。
居心地の悪さを感じながら漫然と過ごす世界から、
彼が本来の在るべき世界へと戻るまでの物語。
「あなたが死ねば、あの方も死にます」
そう。あの方の元へ。
そして、滞っていた時間が動き出す。
10月の新刊が待ち遠しい。
この作品に関しては、自分の抱く感想って何回読んでも変わってないんだなーと。
前回の自分のレビューを読んでみて改めて思う。
同じような事言ってる(笑)。
ので、今回の感想は敢えてそのままの部分と、あんまりにも同じすぎて書きなおした部分と。
『人間失格』はガラッと印象が変わった作品。
『星の王子様』も引用箇所がまったく同じだった。
初読の時には素通りした気づきがあるから、再読は面白い。
新刊発売の前には既刊の再読を。
これは読メで学びました。
「ストレイ・リング」水壬楓子 (ガッシュ文庫)
四十代に溺愛される三十代。
そんな二人の恋愛模様がとても良かった。
甲斐性あり。包容力あり。すべてにおいて余裕あり。で、ちょっと意地悪。
そんな四十代右城さんが半端なくカッコよくって、ときめく。
その一方で、元嫁と娘に恋愛成就の手助けを頼むお茶目な一面もイイね。
気が強くてオトコマエでちょっとシニカル。
身を引く決意はするものの、右城への想いを捨てきれない藤近。
そんな三十代藤近が右城の前でだけ甘えたり拗ねたりするところがツボ。
右城の大人の口説き文句が素敵すぎて、
自分に言われてるわけじゃないのに夢見心地な気分になれます。笑→
大人の男のラブロマンス。
どっちもしっかり自立した働き盛りの世代ってところもツボ。
水壬さんの書くオヤジに弱い。
とっても弱い。
ホント右城さん、カッコよかったよー。
「シェリ」コレット (岩波文庫)
彼らと同じ言葉で、私からも最高級の賛辞を。
レア、最高にいかす女。
凛とした潔い強さと、芯の通った女としての矜持を持ち続けた彼女。
そんな彼女が見せた最後の弱さが、だからこそ胸に迫る。
そして、彼女の示した見事な引き際。
本音を隠したままだといつまでも後を引く。
綺麗だった思い出に後生大事にしがみつく。
だから、本音を晒すことは必要だった。
現実を認識するために。
これからの一歩を踏み出すために。
そして私はレアとエドメの幸せを心から願うわ。
自らの老いを認識したレアも、きっと再び花開く。
年相応の艶と深みを帯びた花を。
タイトルのシェリどこ行った!?という感想になってしまった(笑)
結婚するならちゃんとけじめつけなよ!と言いたくなったからかな。
まぁ、彼が甘ちゃんになってしまったのは、
周囲の女たちにも責任はあると思うんだけど。
そしてこれ、続編があるんですね。
タイトルが『シェリの最後』。
内容をサラッと見た限り、
読みたいような、このまま読まずにそっとしておいた方がいいような。
積読の山が減ったら考えよう。
【ガーディアン必読 85/1000】
「晴れ男の憂鬱 雨男の悦楽」水壬楓子 (ガッシュ文庫)
10年ぶりに再会した働き盛りの男たちの恋愛模様。
正直。
泉を自分の部署につけた志水サイドの理由が子供じみているし、何やら器は小さいし、
そもそも噂の内容だけで泉を責めた時点で、この男のどこがいいの?という気持ち満々だったわけですが。
その後の志水の行動が、というか、泉に対して口にした台詞がいちいちカッコよすぎてイメージが真逆に転換。
誕生日プレゼントの件が素敵すぎ。
相手の気持ちに疑念を抱いたことに対して、
謝るのは両方だという志水の言い分にも納得。
泉はちょっと疑心暗鬼になりすぎたね。
そんな不安は全部志水が腕の中で払拭してくれると思うわ。
志水と抱き合う前の泉にガーリックの効いたパスタを作って食べさせる藤近の可愛げのある意地の悪さが好き。
スピンはそんな藤近の物語。
とても楽しみ♪
「進撃の巨人(29)」諫山創 (講談社コミックス)
終わりを願う者。
その先の未来を願う者。
誰かを守りたいと願う気持ち。
殺したいという気持ち。
ただ平穏を願う者だっているだろう。
「何のために戦うのか?」
明確に示すことができる者の方が少ない。
そして時代の流れは強い思いを持つ者に引きずられる。
だが。それは民意でも総意でもない。
息詰まる巨人同士の戦い。
暗雲しか見えない戦いの最中にあって、子どもたちの憎しみに対する連鎖の気づきと、
エレンの元に駈けつけようとする同期たちの結束が嬉しい。
冒頭で息を呑んだ彼が生きていてくれることを願いつつ。
(スカーフェイスでもカッコいいと思うの)
次巻を待つ。
例え誰が命を落としたとしても。
何らかの希望を抱けるエンドであることを願う。