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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「乙女ゲーで狼陛下の溺愛攻略対象です」松雪奈々 (幻冬舎ルチル文庫)



なんなの、この焦れ焦れした両片想いの人たち!
と、一瞬どちらにも肩入れしてしまったけれども。
よく考えよう。
前世の記憶と「こうあるべきだ」のビジョンに捕らわれ、
現世のエリアスや自分の想いを顧みることのなかったケイ。
傍から見たらどう考えても好きあっているお互いの気持ちが完全においてけぼりで、
王様、そりゃ泣くわ……と、涙ながらのエリアスの告白が本当にお気の毒でお気の毒で
苦笑い。
魔女との落としどころをどうつけるかと思ったら、
なんだか唐突すぎて置いてけぼり。
ま、二人がハッピーだったので気にしなーい。

アドベンチャーワールドに行きたくて行きたくてウズウズしている身としては。
パンダのかわいらしさに身悶え。
コロナが落ち着いたら絶対に行きたい場所のひとつなのです。

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「甘い手、長い腕」一穂ミチ (ディアプラス文庫)



あたたかくてやさしい物語。
そして、モノづくりの苦労と醍醐味が垣間見られて、
業種がまったく違うながらも、仕事頑張ろう、という気持ちにになってしまう。
理一が父の工場を手伝うことになったのは成り行きだけれども。
父が手がけたシャツに袖を通した瞬間の描写がジワリと染みて、なぜか泣きたくなった。
父の病床で出会った真尋に対する甚だしい誤解に大笑い。
だけど。
互いの仕事との向き合い方とその人柄に触れ、
まっすぐに気持ちを育んでいった二人の想いがとてもまぶしい。
理一と真尋。
家族ぐるみでいい関係を築いていってほしい。

私、今の仕事で扱っている商品に魅力を感じているかというと
ちっとも感じていないので、
自分の好きな商品を扱えるのってホントうらやましい。

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「エージェント 巡査長 真行寺弘道」榎本憲男 (中公文庫)



あの人この人その人。
リアル政治家の誰を指しているのかはすぐわかる。
最初は苦笑いしつつ若干引き気味だったけど、
面白い切り口で突っ込んできたなぁ、と徐々に引き込まれ、
気づけばどっぷり。
政治経済を語りながら、右にも左にもよらず、
今の日本の立ち位置を示してくれていると思う。
だからこそ、ラストに近づくにつれ、戦慄。
怖~、怖~、怖~~~!
「マシな方を選んでもらうしかありません」
選んで、そして都合よく願った方向に事態が動かなかったら、
この国の未来はどうなる?
ものっすごくザラザラした気分が残る言葉だわ。


横浜!行きたい!
散策するだけでも楽しいし、工場夜景クルーズをまた体験したい。
泊まりたいホテルを検索したら、以前は見たことないお得なお値段だった!

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「野獣死すべし」ニコラス・ブレイク (ハヤカワ・ミステリ文庫)



「死んでしまえ」と思うこと。
「死んだほうがいい」と思うこと。
心の中で念じるのは自由だ。
だが、実際に殺してしまうこととなると、
人間社会で生きる限り、超えてはいけない一線がある。
彼の殺意には思わず首肯してしまいたくなる理由があるけど、
法的に告発できる手段を模索すべきだった……と思うのは、
私が自分の子どもを殺されていないからかな。
結果的に大人たちの騒動に巻き込まれてしまった子どもがいることが痛々しい。
それ以外なかっただろうなぁ、と思えるエピローグが胸に刺さる。
そして本を閉じて眺めるこの表紙が物悲しい。

それにしたってですよ。
この作品が発表されたのが1938年!
そういえば南北戦争の話してたなーという個所はあったけど、
年代の古さを全く感じさせない読み応えでした。
【ガーディアン必読114/1000冊】

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「ワルキューレ 巡査長 真行寺弘道」榎本憲男 (中公文庫)



このシリーズは警察小説という概念を捨てて読んだほうがいい。
政治→宗教→LGBTと、シリーズごとに取り扱うテーマの著者の知識の深さと噛み砕いた説明のうまさに唸る。
俺は俺であり、私は私である。
個は個としての幸せを追求する権利があり、
何が幸せかを決めるのは本人。
他人がそれを決めつけるのは傲慢。
すべての個の幸せを守る仕組が構築された社会が理想……だけど、
万人にピタリと当てはまる仕組みを築き上げることが難しいんだね。
でも考え続けることは大事。
事件解決に裏技みたいな手段が使われるのは突っ込みどころだけど、
エンタメだと思えば無問題。
そんな彼らの関係性が好き。

前作で懸念していたその後がここで伺えてちょっとほっとした。
四作目と五作目のテーマは経済(多分)→パンデミック。
どんな物語が展開するのか楽しみ。
そして作家買いして間違いなさそうな著者との出会いにウキウキ。
本は読むのも楽しみだけど、集めるのも楽しみなのです。


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「岳飛伝 2 飛流の章」北方謙三 (集英社文庫)



雌伏の時。
ただ座して待つのではない。
個々がそれぞれの立場で考えねばならない。
自分に何ができるのか。
どんな未来を築き上げたいのか。
そのために成すべきことを成し、
大きく蓄積された力をまとめ上げるのが頭領。
だが、今、その責務を負う者はいない。
そして、いつもそこに在ると思っていた大きな拠り所をなくし、
時代の変遷を否応なしに突き付けられる。
着実に育っている若い力。
今後に繋がると思える出会いが随所にあり、わくわくする。
古参と若者が同席する会議のシーンが好き。
やはり私は、個々の力が一つに掌握され、大きなうねりとなる梁山泊が見たいらしい。


少しずつ岳飛に対して好意的になってきた自分発見。
先の展開がまったくわからなくて、知りたい気持ちが逸る。
どうなるか先のあらすじをチラ見したいという思いはあるけど、
初読の時しか味わえないドキドキわくわく感をずっと抱えていきたいので、
うっかりネタバレ拾わないようにしないと。



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「ブルーロータス 巡査長 真行寺弘道」榎本憲男 (中公文庫)



最後の一行まで読んだ瞬間「え~~~!?」と声をあげたのは久々。
今でも思う。え~~!?
どう考えてもそれは正しくないと思うんだ。
だって、え~~!?
ラストの衝撃でそれまで抱えてきたことが吹っ飛ぶほど驚いたわ。
あまり馴染みのないないヒンドゥーの世界を、
飽きさせることなく嚙み砕いて説明しながら最後までよく引率してくれた。
おかげで山ほど考えさせられた。
英雄的行為でも殺人は殺人。
ならば、彼がやろうとしたことをあんな方法で正した彼も、やはり間違ってると思う。
とはいえ、続刊が気になって気になって仕方がない。


まさかの展開過ぎてまだドキドキしてるわ。
その後どうなったか、誰か教えて……。
個人的には再び黒木に会えたことがうれしい。
そして、黒木の家に真行寺が自宅を売り払ってまで住んでいるのはもはや萌でしかない。

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「すてきな命の救いかた」イーライ・イーストン (モノクローム・ロマンス文庫)



人の営みと経済はどうしたって切り離せない。
犬から人へ変化し、知識も技術も生活能力も未だ十分ではない
人々を養っていくためにはどうしたらいいのか?
町の未来を守るための根本的な問題に切り込み、
見事にその解決策を提示したラヴ。素晴らしい。
ロマンスはそんなラヴとサミーの物語。
頑なな心と未成熟な身体を持ったサミーと
ゆっくりと時間をかけて愛を育んでいったラヴ。
自分の心と身体と真摯に向き合い、明確に答えを出していったサミー。
二人の在り様がとても素敵。
そして、ランスに向けたリリーの、母親だからこその言葉が響く。
彼らの築く町に思いをはせつつ、楽しく読了。

町の活性化の在り方にまで切り込んでくれるとは思わなかったのうれしい想定外。
半端ない読み応えのシリーズ四巻。
そして個人的に大歓迎なリバがとてもうれしい。

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「星に願いをかけるには」イーライ・イーストン (モノクローム・ロマンス文庫)



新刊を読む前に再読……してよかった。
色々記憶が欠けてるww
好きシリーズなんだけどなぁ。
マッドクリークの町に持ち込まれたパンデミックの脅威。
世情が世情なだけに他人事とは思えない。
未知のウィルスを相手に
どうにかして人々を救う術を見出そうと、奮闘する彼らの姿に拳を握る。
犬たちが水場から動けなかった理由が尊い。
今回の主軸となるのはちょっと偏屈で不器用な科学者と心優しい青年との始まりの物語。
これまで孤独だったり哀しかったりした分、これからは互いを思いあって幸せを築いていける。
星が願いを聞き届けてくれたから。

このシリーズ、『月吠えシリーズ』となっていたことを
はじめて知ったわ~。いつの間に!?
次巻はこの作中に出てきたサブキャラがメインキャラだということに
途中で気づいたんだけど、再読して良かったと、しみじみ思ったわ。
読了してしばらくたっても内容をきっちり覚えてる話と覚えていない話の差ってなんだろう?

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「岳飛伝 一 三霊の章」北方謙三 (集英社文庫)



壮絶な戦いの後の敗戦。
失ったものは、とてつもなく大きかった。
今なお彼らの心に在りつづける男の存在は大きい。
底のない喪失感。
それでも。
命ある以上、前に進まなければならない。
自らにできることを懸命に探りつつ、彼らが守り、繋いできたもの。
それらが結実した時、何かが起きる。
そんな期待を抱かせる第一巻。
流れた歳月の分だけ年をとった者と
次代を担うために生まれた者との対話も、
次なる時代への足がかりとなる。
蓄積されてきた彼らの思いが噴出した時、
時代は再び熱い咆哮をあげるだろう。
この先どんな物語が待っているのか。
心が逸る。→


ただいま、私!梁山泊へ。
そして、お帰り、私!大水滸伝の世界へ。
久々の北方ワールドの空気感の居心地の良さが半端ない。
『楊令伝』を読了してから四年半。
再読しなくてもすんなり戻ってこれた彼らの世界に、
しばらくどっぷり浸れるのがただ嬉しい。

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