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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「街の灯ひとつ」一穂ミチ(ルチル文庫)



【それは一途なんて呼べる代物じゃない、昏い熱だった】

ゆっくりと穏やかに流れ込んでくる感情に静かに揺さぶられ続け、
結局泣かされてしまいました。
「初鹿野のいない世界なら、何を持ってたって意味がない」
初鹿野をずっと想いつづけた片食の気持ちが一途で、深くて、いじらしくて。
そして、たまらなく愛おしい。
「責任は俺がとるんだよ」
流されるわけではなく、絆されるわけでもなく。
片食ときちんと向き合い、理解した上で受け入れた初鹿野の気持ちがやっぱり愛おしい。
穏やかで深い、片食の情愛。
だけどそこには静かな熱がある。
その熱で、初鹿野の欠けていた感情が修復されているような感じがすることが嬉しい。
とても素敵な物語でした。

山下久美子の「微笑みをもう一度」が脳内ヘビロテ。
「街の灯がともる」という歌詞部分とタイトルがリンクしたんだろうなぁ。
片食と初鹿野の物語、もう少し先まで読んでみたかったわ。


内容(「BOOK」データベースより)

気の進まない同窓会で、記憶にない同級生と会った初鹿野柑。翌朝、酔いつぶれて正体のないままその男と一線を越えたことを知って愕然とする。「ずっと好きでした」と土下座する男は、実は、二度と会いたくなかった相手―名字も容姿も様変わりして現れた―片喰鉄之助だった。あまりの事態に「気持ち悪い」と気後れしてしまう初鹿野だが…。

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