きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ダックスフントのワープ」藤原伊織(文春文庫)
【人はギリギリのところまでいったら、
いつだって独りぽっちでなにかを決めなきゃいけないときがくるんだ】
四篇からなる短編集。
根底に漂う雰囲気は、どれもクールで知的でどこか悲劇的。
そして主人公たちは、それぞれ世の中を斜めに見るような孤独を抱えている。
どの話も読み終わったところで立ち止まり、胸の中に残ったチクリとした痛みを顧みて、
物語を反芻する。
それはひどく心地良い瞬間だ。
余韻に浸っていたいと思う読後感は、短編でも健在。
一番印象的だったのは「ダックスフントのワープ」
物語世界と現実世界が崩壊する瞬間は、心に冷水を浴びせられたような感覚を味わうことになる。
それでも、藤原伊織の描く物語だよなぁ、と、納得してしまうのだ。
内容(「BOOK」データベースより)
大学の心理学科に通う「僕」は、ひょんなことから自閉的な少女・下路マリの家庭教師を引き受けることになる。「僕」は彼女の心の病を治すため、異空間にワープしたダックスフントの物語を話し始める。彼女は徐々にそのストーリーに興味を持ち、日々の対話を経て症状は快方に向かっていったが…。表題作ほか三篇。
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