きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「二進法の犬」花村萬月(光文社文庫)
【好きな奴には尽くす。嫌な奴は殺す。それだけです】
白か黒か。0か1か。
甘えと曖昧さを決して許さない人間たちの生き様の、何と苛烈で、潔いことか。
乾や倫子の放つ、闇をより際立たせる昏い輝きには、妥協も逃げもない。
だから惹かれる。強烈に。
自分の狡さや弱さを誰よりも認識していた鷲津。
目を背けがちな自己認識から逃げなかったからこそ、
玄人とは相容れないはずの鷲津が彼らに受け入れられたのだと思う。
悲劇を招いたのは、白にも黒にもなりきれなかった彼の甘さ故だ。
凄惨な血讐。
道具にされた1号が哀れでならない。
「今夜、愉しみにしています」
ストイックさを最後まで貫いた中嶋に涙だった。
絶対的な恐ろしさと、どこまでも包み込むような包容力。
狡猾な計算高さと、子供のような無邪気さ。
相容れないものを抱え込んだ男の、徹底的な二進法。
怖いけど惹かれる。
そんな彼から目が離せませんでした。
そして中嶋!中嶋!!
ものっすごいイイ男だと思います。
ひとりできゅんきゅんしてたら、みんなで中嶋を取り合っていました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
家庭教師・鷲津兵輔が、生徒として引き受けることになった女子高生の倫子。彼女の父は、武闘派乾組組長・乾十郎だった。鷲津は、乾組という組織、十郎の「白か黒か」を徹底する生き様、そして倫子の凛とした存在に、次第に自分の所在を見いだしていく。博打、抗争、性愛…激流のなか、鷲津が手にしたものは―!全てのひとが心に抱える深い闇を重厚に切なく描く傑作巨編。
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