きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「僕は穴の空いた服を着て。」菅野彰(河出書房新社)
乱暴に括ってしまえば、自分に係ること以外はすべて「他人事」。
自分には関係のないことだと、無責任な言葉を並べ立てることができる。
そこに胸の疼きはない。
だけど、係わった当事者は、いつまでもその事象に囚われる。
苦しくて、哀しくて。
その場所からどこにも進むことが出来なくて。
途方に暮れたまま、懸命に今日をやり過ごす。
ああ、だけど、手を差し伸べてくれる「誰か」の存在は、こんなにも誰かを救う。
読み始めから最後まで、胸が痛くて仕方なかった。
でもこれは、暗闇に進む物語ではない。
長い長いトンネルから抜ける物語。
生きるということは、こんなにも大変で、こんなにも素晴らしい。
個人的には何度も反芻したい物語。
家族。友達。恋人。
身近な人たちが差し伸べてくれる手の、なんとあたたかいことか。
以下ネタバレすぎる台詞の抜粋です。
「どうして子どもの父親に選んでくれたの?」
「あなたが好きだから。好きな人のこどもが欲しいの」
幸也にとって、これ以上の言葉はなかったと思う。
智美ちゃん、ホント良い子だよ。
角館に行きたくなりました。行って、桜を眺めたい。
内容(「BOOK」データベースより)
幼い頃亡くなった父への思いに囚われ続ける幸也は、恋人と新しい「家族」を作ることに怯え、混乱していた。その父への暗い思いに重なるような姉の死の謎を追ううちに、幸也がたどり着いた真相は―。
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