きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「惑いの森」中村文則 (文春文庫)
短編はあまり好んでは読まない。
そして、最近の著者の作品とは相性が良くなかった。
そんなマイナス要素は一作目を読み始めた瞬間に霧散する。
50篇の短編で構築された一つの世界。
即ち、著者の紡ぎ出した森の中に惑うことなくスッと入り込んでいく。
森の中の木々が伝えてくれるのは、
包み込むようなやさしさと、やわらかさ。
尖った異物感。そして不快感。
一作一作を読みながら胸の内に浮かんでくる想いを抱いて
浮遊する空間は99%心地よい。
漂う世界のその心地よさに、安堵の息をつく。
また森の中へ足を踏み入れたくなる読後感。
蜘蛛の言葉がエロティック。こういうエロスは歓迎する。
緊急ボタンに体当たりするネコ、頑張った。
クマのぬいぐるみの想いが切ない。
そして「鐘」。そうだよね、と、全力で頷きたい。
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