きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「愚か者死すべし」原尞 (ハヤカワ文庫 JA)
事の発端は一つの事件……というよりも、成立しなかった仕事の依頼だった。
依頼主を警察署に送り届けて、沢崎のできることは終わるはずだった。
だが、そこで起こった新たな事件が、彼を渦中に巻き込んでいく。
新シリーズになっても、沢崎の在り様は変わらない。
彼はただ、自らの信念に基づいて行動している。
誰にも日和らず、何にも眩まない彼の平静さがとても好ましい。
そして、プロットの緻密さと登場人物の魅力で
最後まで読ませる作者の作風も変わらない。
糸の絡まり具合とその解き方が絶妙。そして読後に残るやるせなさ。
とても充実した読書時間だった。
今作が現状では彼の最後の作品である事実が残念でならない。
ラストの啓子の台詞が今後の彼の著作との決別を暗示していたと思えてしまったことが寂しい。
まだ読みたい。
そんな想いが沸々と滾る。
あとがきに代えての「帰ってきた男」
これがまた、最高だった。
彼が彼の依頼人になったら?想像して大笑いしちゃいました。
シリーズを譲ってくださった読友さんに感謝。
本当にありがとうございます!
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