きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「死の泉」皆川博子 (ハヤカワ文庫JA)
「生きる」ということが、とてもとても息苦しい世界を生きた彼ら。
それでも、精一杯運命に抗い、持てる力と知恵を振り絞って生きてきた子どもたち。
あらゆる事象を諦念と共に受け入れ、ひっそりと息をするしかなかった彼。
自らを「死人」と称する子ども。
護ろうと必死で伸ばした腕の無力さに打ちのめされる大人。
自らの思い描く歪んだ世界のなかで力を振り翳す男。
点と点が不可思議な文様を描く線で繋がれ、絡まりあっていく。
もはや、幸せを願う余地がどこにもないほど、捻じれてしまった彼らの人生。
だけど、生きようと躍動する命が眩しくて哀しい。
20歳そこそこの私の人生観に大きな一石を投じた「白バラ」。
ゾフィー・ショル。貴女にまたここで出逢うなんて、と。
本筋と関係ないところで泣いてしまった。
若くして散ったあなたたちは、永遠に私の痛みであり、宝でもある。
思いがけない邂逅に、皆川女史に感謝。
ありがとう。
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