きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「華胥の幽夢」小野不由美(新潮文庫)
それぞれの国の在り様、そして王の在り様が描かれた短編集。
重責から逃れることなく、言い訳を断ち切り、それが、前王を討った自らの責任であると。
苦悩し、葛藤した末に、施政者であることを決意するまでの月渓の在り様がたまらなく好き。
一方、砥尚の孤独には息が詰まりそうになった。
現実から目を背け、華胥華朶に夢を見た彼らの危うさが痛々しい。
理想を掲げる事、誰かを責める事はたやすい。
ならば、理想を具現化するためにどうすればよいのか、
或は責めた誰かに成り変わって何ができるのか。
問われて答えられることのできるものは、果たして如何ほどか。
答えられないものは同罪だということに、誰もが気づかなかった。
結局は道を誤ったけれども、砥尚は最期まで王だった。
泰麒、楽俊、延王と利広。
彼らの物語には気持ちがほっとしました。
内容(「BOOK」データベースより)
王は夢を叶えてくれるはず。だが。才国の宝重である華胥華朶を枕辺に眠れば、理想の国を夢に見せてくれるという。しかし采麟は病に伏した。麒麟が斃れることは国の終焉を意味するが、才国の命運は―「華胥」。雪深い戴国の王・驍宗が、泰麒を旅立たせ、見せた世界は―「冬栄」。そして、景王陽子が楽俊への手紙に認めた希いとは―「書簡」ほか、王の理想を描く全5編。「十二国記」完全版・Episode 7。
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