きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「檻」北方謙三(集英社文庫)
【昔、一緒に生きた。
同じものに賭け、同じ夢を見て生きた。】
気づかなければ良かったのに。
自分が檻の中にいることに。
だけど彼は、気づいてしまった。
自分の牙はまだ抜けていないことを。
そして再び出会ってしまった。
同じ夢を見て生きた、かつての戦友と。
友の抱えた厄介事を、見て見ぬふりはできなかった。
眠った獣は既に目覚めている。
望んで修羅に飛び込みたがっている自分を、彼は知っている。
思い出されるのは、自分を導いてくれた男の背中。
滝野と高安の人生に絶大な影響を残した桜井生き様がぐっとくる。
そして彼は走る。
狭い檻から解き放たれるために。
あまりにも愚直。だからこそ、哀しくて愛おしい。
高樹と対峙した幸江が、寂しかったけど、静かに強くて、
とても印象的でした。
初読の時は覚えなかった感情。
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