きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ラブレス」桜木紫乃(新潮文庫)
【どこへ向かうも風のなすまま。
からりと明るく次の場所へ向かい、
あっさりと昨日を捨てる。捨てた昨日を惜しんだりしない】
人には自分ひとりだけの人生の物語がある。
何を幸せと感じ、何を不幸せと感じるのか。
それは、その人生を生ききった当人にしかわからない。
これは、三世代にわたる女たちの人生を描いた物語。
詰りあっても、嫌悪しても、時に血の繋がりが枷となっても。
「家族」という絆を断ち切ることのなかった彼女たちの物語。
喜びも裏切りも、じっと耐えてきた苦しみも大きな虚無も。
すべてを抱きしめて慈しむ、大きな愛。
そんな愛を静かに胸の内に抱いていた百合江の最期に向けた
彼の囁きに、読後しばらく涙が止まらなかった。
「生ききった」のだと思う。
彼女は彼女の人生を。
同じく「生ききった」のであろう、ハギの孤独が胸に刺ささった。
教えられた文字で書きつづった言葉がとても哀しい。
理恵と過ごせた時間が、彼女の光になってくれているといい。
内容(「BOOK」データベースより)
謎の位牌を握りしめて、百合江は死の床についていた―。彼女の生涯はまさに波乱万丈だった。道東の開拓村で極貧の家に育ち、中学卒業と同時に奉公に出されるが、やがては旅芸人一座に飛び込んだ。一方、妹の里実は地元に残り、理容師の道を歩み始める…。流転する百合江と堅実な妹の60年に及ぶ絆を軸にして、姉妹の母や娘たちを含む女三世代の凄絶な人生を描いた圧倒的長編小説。
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