きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「怒りの葡萄 下」スタインベック(新潮文庫)
【あたしたちのすることは、どんなことでも
生きていくことを目指しているんだと思うだよ】
旅の途中で物語は幕を閉じる。
とてつもない虚脱感を抱えたまま、彼らの明日に想いを馳せる。
散り散りになった家族。
満たされることのない空腹。
拭い取ることのできない疲労感。
それでも、明日に命を繋ぐために彼らは進みつづける。
これは、搾取され続ける現実に翻弄されながらも、
明日を生きることを諦めなかった人々の物語。
泣き言ばかり言っていた娘の示した慈愛と、
最後まで揺らぐことのなかったジョード家の母親の強さがとても印象的でした。
優しくはない大地に立つ彼らの明日への力の源は怒り。
ならば私は、その怒りが凪ぐ日が訪れることを、願いたい。
淡々としていながらも、力強い情景描写に圧倒されました。
そして『あたしたちのすることは、どんなことでも
生きていくことを目指しているんだと思うだよ』
この母の言葉にひたすら頷くしかありませんでした。
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