きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「アルモニカ・ディアボリカ」皆川博子(ハヤカワ文庫JA)
ああ、どうしてこんなことに?
声にならない悲鳴を呑み込んで、いったん本を閉じてしまった。
だけど、見届けなければならない。
その真相を。
彼の願った通り、彼はその場所を目指した。
見えない糸に手繰り寄せられるように。
あまりにも見事な誘導。
誰も彼もがその場所を目指した。
唯一の誤算は、彼自身がそこにいなかったこと。
それが、どうしようもなく哀しい。
綴られる彼自身の過去。
たくさんの愛情を注がれて育った彼には、決定的なものが欠けていた。
多分それが、悲劇の要因。
だけどそれは、彼自身の咎ではない。
だからこそ、余計にやるせない。
ストイック過ぎた彼が、せめて微笑む日が来ればいいと。
願わずにはいられない読後。
forget-me-not。
この言葉は、今でも私の胸に刺さる。
若くして亡くなった彼の歌声と重なるから。
あまりにもお気楽な未来を想像(妄想?)していただけに
衝撃が大きすぎて大変でした。
でも、読めて良かったと、心から思える作品です。
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