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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ひと月の夏」J.L.カー (白水Uブックス―海外小説の誘惑)



仕事で訪れた田舎町で、青年が過ごしたひと月の夏。
彼の過ごした日常が淡々と描かれている中に差し込まれる数年後の彼の想いから、
この町で過ごした時期の幸いが伺える。
と同時に、町の人たちとどれほど親しくなろうとも、
この町が居心地の良い町であったとしても、
仕事を終えれば、彼は予定通りこの町を去ることも。
それがわかっていても、読後に込み上げた強烈な寂寞感。
その時を過ごした人たちとの徹底的な決別。
故に、鮮烈に胸に残る当時のままの記憶。
二度と戻れないからこそ、心に美しく刻まれた時。
ラストの息を呑むような鐘楼でのシーンは秀逸。



その読後感からなんとなく『日の名残り』を思い出しました。
そういえばあちらもイギリス文学。
読み返すたびにジワジワ胸に染み入ってきそうな作品。
映画化もされているんですね~。
視覚的に観てもとても美しいに違いない。
いつか観てみたいな。
【ガーディアン必読 93/1000】

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