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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「夜愁 下」サラ・ウォーターズ (創元推理文庫)

1947年から始まった物語は、1941年へと時を遡っていく。
描かれているのは、彼等の人生の逆再生。
過去を知るにつれ、現在の彼等の姿が際立ってくる。
あの時のあの出来事があったから、今の彼らが在るのだと。
納得できるのと同時に、歯痒い思いを抱くことにもなる。
空爆の音が絶えない戦時下でも、人にはひとりひとりの人生がある。
心は移ろい、時にすれ違う。
或いは、癒えない傷を抱えたまま、知らず、吐息がこぼれる。
夜の愁い。一貫して鈍色の空のようなイメージの本作。
その隙間から彼等の元に一筋の光が射すことをひっそりと願う。


時間軸的には1941年の彼等から追っていく読み方もあるかもしれない。
けれども。
いつか、この作品を再読するときは、同じように1947年の彼等から遡っていくのだろう。
「今」に至る彼等を形成する過去をしっかりと噛みしめながら。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
【ガーディアン必読117/1000冊】

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