きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「悲しみよこんにちは」フランソワーズ・サガン(新潮文庫)
【酔っていると、人はほんとうのことを言うが、誰もそれを信じない。】
無邪気で罪深い人たちの物語。
読後、時間が経つほどに、引き攣るような想いがジワジワとこみあげてきて、
共感と反発を覚えた彼らの想いが、流れ込んでくる。
若さ故の傲慢な思い上がり。
思い込みの正しさ。
各々が抱いた自己愛と独占欲。
そんな感情に起因する行動からは、思いやりと想像力が欠落していて、
互いを傷つけずにはいられない。
起こるべくして起こった悲劇。
それでも彼らの時間は前へと進みつづける。
17歳のセシルにとってこのひと夏の出来事が、
あたかも、美しい蝶への化身を遂げるための
甘くて苦い蜜であったかのようで、ゾクリとしました。
悲しみよ、こんにちは。
少女時代の終幕。
流れるような美しい文書がとても素敵。
何度も噛みしめたくなるような言葉と情景が、そこには広がっていました。
哀しいわけじゃないけど、何故か涙が零れそうです。
内容(「BOOK」データベースより)
セシルはもうすぐ18歳。プレイボーイ肌の父レイモン、その恋人エルザと、南仏の海辺の別荘でヴァカンスを過ごすことになる。そこで大学生のシリルとの恋も芽生えるが、父のもうひとりのガールフレンドであるアンヌが合流。父が彼女との再婚に走りはじめたことを察知したセシルは、葛藤の末にある計画を思い立つ…。20世紀仏文学界が生んだ少女小説の聖典、半世紀を経て新訳成る。
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