きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「春の嵐」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)
哀しくも、美しい物語。
そこに苦悩と愛憎が描かれていても、ヘッセの紡ぐ物語はどこまでも透明で濁りがない。
健常な脚を対価として音楽に対して謙虚に、そして真摯に向き合うようになったクーン。
音楽を介して出逢ったムオトとゲルトルート。そして、タイザー兄妹。
彼らの歩んだ人生の物語。
孤独も喜びも哀しみも。
他者があってこそ、心に響く。
彼女の存在を愛すると同時に、彼の存在も愛した。
故に、その先に破滅が見えていたとしても、
干渉することのできなかった二人の結婚生活。
「青春は一生のもっとも困難な時代です」
そう叫んだ彼を欠いた彼らが振り返るのは、輝かしい青春の日々。
ヘッセの翻訳は高橋健二氏!というのは揺らぎませんが。
時々彼の日本語選択に引っかかるときがあるのです。
今回は「ちょうちん」
「え?そこでちょうちん??」と思った瞬間、
着物姿で提灯を持って歩いている人の姿が脳裏を過り、
物語世界から現実世界に帰ってきちゃいました(笑)
内容(「BOOK」データベースより)
少年時代の淡い恋が、そりの事故を機に過ぎ去り、身体障害者となったクーンは音楽を志した。魂の叫びを綴った彼の歌曲は、オペラの名歌手ムオトの眼にとまり、二人の間に不思議な友情が生れる。やがて彼らの前に出現した永遠の女性ゲルトルートをムオトに奪われるが、彼は静かに諦観する境地に達する…。精神的な世界を志向する詩人が、幸福の意義を求めて描いた孤独者の悲歌。
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