忍者ブログ

きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」門田隆将 (角川文庫)




2011年3月11日。
その日、いつもの時間に仕事に赴いた彼らは、いつもの日常の延長でその場にいたはずだった。
けれども。
14時46分。
日常が瓦解する。
その瞬間から彼らが担い続けた職務の大変さは計り知れない。
これは、知識や経験を最大限に引き出し、危険な場所から逃げることなく、
最悪の事態を阻止するために死力を尽くした人々の記録。
福島原子力発電所。
あの時あの場所でどんな決断がなされ、どんな覚悟を抱き、どんな作業が行われていたのか。
遠くない場所に住む者として、知っておかなければならない。
そして、ありがとうございます、と。
心の底から思う。

こんなにこんなに大変だったんだよ?と。
今、原発に武力を向けている人たちに伝わればいい。

拍手

PR

「欺かれた男」英田サキ (キャラ文庫)



表題+続編の2作品収録。
続編の方が俄然面白いなーと思いながら読んでいたら、
続編が書かれるまで8年。
経過した時間がそれだけあるなら、
筆力にも深みがでるなー、と思ってみました。
表題は読み始めから俯瞰して見えてる筋道通りに話が進んでいってるなーという印象。
沢渡、ちょろい。(←言い方)
槙野、ちょっとキモイ。(←……言い方!)
続編はその沢渡がとても良い感じで仕切ってくれました。
例えるなら、エリート二人を一喝と拳で黙らせる猛獣使い。(笑)
槙野もなんだかんだ頑張った。
藤本はちょっとお気の毒だけど、後出しはそうなるよね。
美味しいお酒が飲めるようになるといいね。

収集はコンプ済の英田さん。
今年はあと2冊読む本を決めていて、完全攻略は来年以降に持ち越し。
主だったシリーズ物は読了済みであとは短編のみ……
この作品を読んで、発刊順に読んでいくのがベストかな?と思ってみました。

拍手

「DASPA 吉良大介 」榎本憲男(小学館文庫)



エンタメでありつつ、それ以上の含みを持った作品。
ロシアとアメリカの在り様。
ウクライナとベラルーシの国の在り様。
作中で語られることがリアルな世界情勢とオーバーラップして
なんかもう、考えさせられる。
そしてリアル世界の実情を鑑みて唸る。
むー。
「人は信じたいものを信じる」。
うん。納得。
だから「安全神話ではない。安全願望です」という発言が出てくる。
目を背けずに最悪を想定して、それに対する対策を練る。
実はそれは日本人には不得手なこと、とは井沢さんの弁。(逆説の日本史)
自衛のために、とても大事なことだと思う。

あの人、この人、あ、それあの時のこと!と、
見知った人たちや、かつての出来事があちこちにちりばめられていてとても楽しい。
だからこそ。
この作品単体ではお勧めできない。
まずは『真行寺シリーズ』のせめて一作目を。
できれば『インフォデミック』の手前までを読んでから手に取ることをお勧めします。
出版社が違うから、ここまでリンクしてるとは思わなかったわ~。
そして真行寺シリーズの『インフォデミック』と吉良大介シリーズの『コールドウォー』は
同時進行しているらしい。楽しみ~~!

拍手

「甘い水 2」かわい有美子 (リンクスロマンス)



【再読】
ひとりで乗り越えるにはあまりにも大きな傷を抱えた遠藤。
彼自身は前向きに人生と向き合ってきているけれども。
時折吐露される小さなエピソードの数々が刺さる。
1巻よりもこちらの内容をより鮮明に覚えていたのは、
2巻目でタイトルの根幹に関わるような話をしていることと、
神宮寺と遠藤の関係がより揺るぎのないものになったから。
そのために払わなければならなかった代償が痛々しいけれども。
守り守られ、共に桜を愛で、花火を見上げ、ふたりでずっと一緒に歩んでいってほしい。
情事の最中の「お前なんか」のあとの遠藤のセリフがとても好き。


漢字が読めない神宮寺って、私のイメージとはちょっと違っていてなんだか新鮮。
漢字の書き取りをやっていた姪っ子ちゃんに
「私国語得意だったよー」と自慢してみたところ、
「本いっぱい読んだから?」と聞かれたので
「そうだよ。いっぱい読んだから」と自信満々で答えておきました。

拍手

「岳飛伝 4 日暈の章」 (集英社文庫)



壮大な物語。
半端ない読み応え。
私の方に一気に読み切る体力がなかった。なんか悔しいなぁ。
交易の道の拡充、未開の地の開墾、造船、そして従来通りの調練。
梁山泊はワールドワイドな頼もしい集団に。
自らの力を発揮できる持ち場を探し、
そこで頭角を現していく若い力の台頭が頼もしい。
と同時に、己の老いを自覚して自問する古参の背中がやるせない。
だけど、貴方たちにしかできないことがある。
憎まれ口をたたきながらも若手を指南していってほしい。
岳飛軍にも金軍にも魅力的な漢が続々と。
彼らの運命がどう交錯していくのか。
見届けなければいけない。


解説、鳴海さんだ~、と、わくわくしながら読む。
(解説をきちんと最後まで読むこと自体、私にしては珍しい)
冒頭にやられる。
「『岳飛伝』は亡霊に恋する男たちの語である」
亡霊とは誰を指すのかは一目瞭然。
成就しない恋を抱えた男たちが、それぞれの生きざまを見つける物語、
と、言い換えてもいいだろう。

拍手

「甘い水 」かわい有美子(リンクスロマンス)



【再読】
間の悪いタイミングで耳に届いてしまった言葉が発端で、
遠藤から神宮寺に向けられるようになった反発。
遠藤には全く届いていなかった、所属部署を移動してまでも
遠藤を追いかけたかった神宮寺の想い。
第三者が上手く間に入って、そうと知らずあるいは意図的に彼らの
関係の改善やそれぞれに対する想いの自覚を促していく様がとても楽しい。
遠藤に関してはカラダからの興味が勝った部分が無きにしも非ずだけど、
色気の全くないその誘い方がある意味新鮮。
オトコマエすぎる誘い受け。(笑)
発展途上の彼らの物語がまだ続くことがうれしい。


『墨と雪 2』に向けての再読なわけですが。
その主人公の一人、篠口が思っていた以上に出番があって、再読して大正解。
このシリーズ電子では読めるけど、紙本で入手しずらくなっているのが
紙派の私としては残念。

拍手

「天使のささやき」かわい有美子 (リンクスロマンス)



【再読】働き盛りの35歳。
仕事ができて人あしらいがよく、体躯の良い美丈夫。
そんな峯神に対して、かっこいいなー、ずるいなー、かっこいいなー、ずるいなーと
揺れ動く。私が。(笑)
峯神のずるさは弱さと寂しさの裏返し。
それが垣間見えたら、だめだよね。
思わず腕を伸ばしたくなってしまう。
そんな峯神に一途に「好き」を伝え続けた名田。
押し付けるわけではなく、報いを求めるでもなく、
ただ、あなたが好き、と。
思わず抱きしめたくなってしまう。
かわいさんの描く完璧ではない大人の男の色香がとても好きな私としては、
峯神はまさにそんな人で。
やーん。かっこいい!←結局…(笑

再読でもとてもとても楽しかった。
名前だけチラチラ出ている人たちも、
この先どんな感じで絡んでくるかわかっているから余計に楽しい。
最初から読み返すことにして大正解。

拍手

「岳飛伝 三 嘶鳴の章」北方謙三 (集英社文庫)



敵と味方。
もはや、そんな言葉では言い表せない関係を随所で築いていく男たち。
一つ所にとどまっていた梁山泊の、ある意味領土外進出。
彼らの出会いがこの先どう実を結んでいくのか。
あるいは、決裂するのか。
楽しみで仕方ない。
軍を抜け、南の地で開墾し、商いにつながる甘蔗の栽培に挑む秦容。
人の上に立つ資質を持つ者には、何をやっても人がついてくる。
この営みがどんな成果をもたらすのか見届けるのがやはり楽しみ。
一方、軍に留まる史進の孤独がやるせない。
だけど彼は最後まで戦場を駆け続ける宿命を背負っている気がする。

この人たちだって講和に動いているのに!
と、現実社会で起こっていることに憤る。
真逆の話をすると。
秦容の開墾場面では鉄腕DASHの畑作業のシーンがあちこち浮かんできて、
とてもとても楽しかった。





拍手

「恋ひめやも」英田サキ (キャラ文庫)



色々思うところがありながら、モヤっとしつつ読み続け……
最後まで読んで泣きたい気持ちを孕みながら、メッチャ良い話だった、
とじわじわこみ上げる想いを噛みしめました。
書き下ろし部分絶対必要!
胸の内から湧き上がる誰かを想う気持ちはコントロールできない。
想いをそのまま解放できれば良いのだろうけれども。
個々の事情がそれを許さない。
この膠着状態をどう打破するのかと思ったけど。
彼らなりの落としどころの見つけ方はとてもよかったと思う。
来ないかもしれない明日に怯えるより。
今在る今日を大切に抱きしめて生きてほしい。


「基本的に同じ本は二度読まない」という水原。
極僅かな作品を除いて私もそっちの方の人だったけど。
読メをはじめて再読率が格段にあがって、それがまた楽しくて仕方ないので
読メに感謝。
そして、二度読まないのに本棚に本を保管し続けた自分を褒めたたえます。
←自画自賛。いや、単なる収集癖のあるヲタです(笑)
断捨離を繰り返したって、手放す本より残しておく本の方が断然多いわけで、
今となってはそれらは本当に財産だなーと。

拍手

「仏像の本」仏像ガール(山と溪谷社)



何かを鑑賞する際、まずは見て感じてが基本だと思っている。
それが好きか好みじゃないか。
語りかけてくる何かがあるか。
目が離せなくなる何かがあるか。
その対象について詳しく知りたいという欲求はそのあとから湧いてくるもの。
それでいい。
湧いた興味をより深く広げるための第一歩。
専門的……となると物足りないと思うけど、
入門編あるいは初心者編としてこの本は丁度いい。
目にしているからこそ知識として頭に入ってくることもあるし、
知らなかったことの気づきがある。
次に仏像を見に行くときには、忘れずにバッグに忍ばせたい。

個々の名前や言葉を覚えたのって
CLAMPの『聖伝』の影響が一番大きいかな。
それと、途中挫折した藤川桂介の『宇宙皇子』。
10代の時のあやしい基礎知識が今でもお役立ち。(笑)
毘沙門天と言えば謙信公!と言いたくなるのはミラージュ。
震災後に中尊寺で見た仏像が素晴らしかったんだけど、
お名前を忘れてしまった……うう、残念。

拍手

  

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 5 6 7 8
11 12 13 15 16
18 19 21 23
24 25 26 27 28 29 30

フリーエリア

プロフィール

HN:
みやこ
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R

Copyright ©  -- きままに読書★ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / material by DragonArtz Desighns / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]