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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「キスをどうぞ」水壬楓子 (ガッシュ文庫)



仕事や人生や桐原に対する暁斗の考え方のどれもこれもが私とは相容れず、
なんだかなぁ、と思いながら読み進める。
そもそもが甘い。
だけど、ちゃんと自分を省みて、やるべきことを自覚して。
周りに対して配慮しながら懸命に努力する姿には、素直に頑張れ!と、思えた。
一方の桐原はありのままの暁斗が可愛くて仕方なくて、
ずっと独占したていたい、というのが丸わかり。
年の差があるからこそ成り立つ関係性だと思う。
その想いが高じ過ぎたのか、メインの本編より破壊力があった描き下ろし。
もはや珍種のスパダリと化した桐原が愉快。
面白すぎる。

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「遠い港」北方謙三 (角川文庫)



肌に馴染んだ北方ワールドを想定しながら読み始めると、
ん?なんか想像できなかったよ!というストーリーが展開される。
だけど、そこに広がっているのは紛れもなく北方が紡ぐ世界。
北方以外には描き得ない、男たちの世界。
少年の目線で語られる世界は、時ににほろ苦くだけどやさしく心に沁みる。
勉強、異性、家族、将来、そして、友だちや仲間のこと。
我々にも身に覚えのある悩みを抱え、それらと向きいあいながら、
彼の示したしなやかな強さと決意が頼もしい。
海の男たちを見て多感な時期を過ごした少年が成長した姿を楽しく思い描く読後。
ものすごく良かった。

ハードボイルドでも歴史小説でもない北方。
でも、違和感なく北方。
想像してなかった方向から良作を読ませてもらえたお得感。

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「お手をどうぞ」水壬楓子 (ガッシュ文庫)



絵に描いたようなシンデレラストーリー。
言ってみれば王道。こんな設定あるよねー、とまぁ、斬新さはないんだけど。
そこはさすが水壬さんらしいテイストで、よくある感を全く感じることなく楽しく読ませてくれます。
年上が年下を甘やかす話を壬南さん自身が好きで楽しく書いているのが伝わってくる。
「付き合ったばかりなのに抱いてくれない」という暁斗の独りよがりな葛藤は、
正直めんどくさいなーと思う部分もあるも、
そもそも言葉選びを失敗したのは桐原。
周囲の悪ノリもあっての仲直りセックス……からの翌朝の顛末に爆笑。
バスローブで開き直る残念なスパダリ。
最高だわ。

桐原と暁斗の出逢いが偶然ではなかったことが個人的にはポイント高い。
「偶然を信じるな」は沖津さんの名言。←『機龍警察』

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「デッドボール」木内一裕 (講談社文庫)



時間を行きつ戻りつしながらのハイスピードな展開。
脚を踏み入れた瞬間から抜け出せなくなる木内ワールド。
犯罪のプロフェッショナル。
巻き込まれた素人①。
頭のおかしい弁護士。
巻き込まれた素人②。
彼らの身に起こった悲喜劇。
え?どういうこと?と、前のめりで読ませる手法は、著者の感性なんだろうなぁ。
読後は全力疾走した後のような疲労感と満足感。
誰も彼もが収まるべきところに収まった違和感のなさ。
クレバーな佐藤がカッコイイ。
けど、その佐藤と愛海を守ろうと、必死で考えて頑張ったノボルに拍手。
この先の人生が上り調子でありますように。


グイグイ引っ張られて一気読み。
再読時はドタバタする彼らとゆっくり向き合いたいと思うものの、
きっとまた、一気に読んじゃうんだろうなぁ。

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「恋は異なもの味なもの」かわい有美子 (ビーボーイノベルズ)



ゲーム感覚で相手を落としは、綺麗に別れた!と自負するチャラ男、丹羽。
アプローチしても自分には決して靡かなかった柏葉を攻略しようと思った発端は遊び心。
だけど、柏葉の人となりを知るにつれ、自分の軽薄さを省み、
だんだんと彼に対して本気になっていく。
一方で丹羽を受け入れつつも、柏葉の彼に対するスタンスが終始変わらなくて、
そのままいくのかな?と思ったけど。
初めて身体の関係を持ち、迎えた朝の柏葉が!
思いっ切り小悪魔で個人的にどツボ。
確実に逆らえない丹羽が愉快。
いつかリバって欲しい二人。
丹羽、受け身の快楽にも弱そうなんだよね。


「彼女とハワイにいったんでしょ!」「え?誰だよその女!」
と冷やかされていた男友達が
「ちげーよ!っつか、俺いねーだろ、彼女。男と一緒だよ!」と返していましたが☆
数年後。
全く別ルートの友だち主催の飲み会に急遽引っ張られていって、
同席していた初対面の子たちの中に、
なんとその彼と一緒にハワイに行っていたという女の子がいたミラクル。
メッチャ当時の彼氏自慢してたけど、
彼は何で隠してたんだろ?と、素朴な疑問。
あーー!って言いたかったけど、
とりあえず何も知らないフリして話を聞いてた私、大人な対応(笑)

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「その犬の歩むところ」ボストン・テラン(文春文庫)



ギヴ。
彼に降りかかる運命の過酷さに息が詰まる。
アメリカを生きる犬の物語であり、
アメリカを生きる人々の物語でもあり、
激動のアメリカそのものの物語でもある。
父親が辿りついた安住の地で生まれ、
アンナの愛情を一身に浴びてのびのびと育っていたギヴの身に降りかかった災厄。
劣悪な環境に置かれようとも、彼が人間に対する信頼と愛情を失わなかったのは、
彼と係った人たちが、彼ら自身が心に大きな傷を負っていたにも関わらず、
惜しみない愛情を彼に与え続けたから。
お互いに補いう合う所もあったんだと思う。
強く生きるってそういうことだよな、と、教えられた気がする。


個人的に「アメリカを生きる」というワードで連想するのが
ちょっと時代が違うけど『怒りの葡萄』。
あれほど圧倒されたアメリカの物語は今のところないかな?




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「墨と雪」かわい有美子(リンクスロマンス)



経済的にも精神的にも余裕のあるアラフォー黒澤。
駆け引きめいた会話とつかず離れずの距離感を楽しみながら
懐かない猫のような篠口を手中に落とす話かと思いきや。
暗雲立ち込める急展開。
不測の事態に陥った時の対処方法を知っていることと、
実際にそんな事態に直面するのとでは訳が違う。
サイコパス袴田、怖いし気持ち悪い。
篠口に対する追い詰め方がリアルに迫ってきて、ぞっとする。
窮地を脱した傷だらけの篠口に対する黒澤の寄り添い方が
半端なく素敵!と思ったんだけど。どーー!
読みたいのはそこから先!先なのよ!というところでエンド。
続きいつですか!?

あとがきでかわいさんが続編はある、と断言していらっしゃるので、
期待に胸を膨らませて待つわ。
今年出してくれたらメッチャ嬉しい。

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「Zwei」かわい有美子 (リンクスロマンス)



読み応えのある警察小説。
であると同時に、とても綺麗に花開いた再会愛を描いた作品。
「好きだ」という言葉に「俺も」と返すことのできない切なさに抉られる。
お互いが想いあっていることが如実に伝わってくるだけにやるせない。
失った信頼。
取り戻すためは相手のことを信じてただひたすら待つこと。
再会した時には疲弊しきっていた二人が
逢瀬を重ねるたびに覇気を取り戻していく様は心地よかった。
全体的に派手さはないけど、そこがいい。
男たちが苦悩したり葛藤したりしながら自分の答えを見出していく様が
人間味あふれていて沁みる良作。

屈強なアラサー男、宮津と峯神のトナカイ姿。
想像するだけで楽しくなる。
そういえば、クリスマスにコスって久しくしてないなぁ。
シリーズ最初から読み返したくなるけど、そこはぐっと我慢。
次『墨と雪』へ。


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d「甘い水 2」かわい有美子 (リンクスロマンス)



ここにきて、タイトルの意味がガツンと胸に刺さる。
乗り越えたとか癒えたとか、決してそんなふうに言うことのできない傷を抱えた遠藤。
だけど、それを表に見せない、そしてそれに囚われてはいないタフさが眩しい。
そんな遠藤に対する思慕の念を全く隠さなくなった神宮寺。
デリカシーのない二人の言葉のやりとりが気の毒で愉快。
遠藤が神宮寺を選んだ理由。
その遠藤の想いに応えることの出来る神宮寺。
どちらも壮絶。
でも、根底にあるのが惜しみない愛情と信頼だから、
やるせなさを凌駕する揺るぎのない安心感。
どっしりとした読み応えとしっとりとした色気。
良作。

「おまえなんか…」に続く遠藤の言葉に悶絶。
彼にしか言えない殺し文句。
男前受を存分に楽しませてもらいました。大好き!

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「甘い水」かわい有美子 (リンクスロマンス)



後輩の神宮寺に対して一方的な苦手意識を抱いていた遠藤。
一方の神宮寺は遠藤に対する想いが空まわっていただけかと思いきや。
遠藤も気付いていなかったけれども、職場で一緒になる以前から
遠藤を知り、想い続けたという、筋金入りの遠藤フリークだった(笑)。
一見器用そうな神宮寺が遠藤に対しては上手く立ち回れていないところが、
逆に彼の本気度が知れて面白い。
漢気のある遠藤が神宮寺の気持ちに気付いてからの立ち回りも
意外性がありすぎて面白かった。
遠藤が恋愛事を避けてきた事情がとても切ない。
オトコマエすぎる誘い受け。
どツボ過ぎて最高でした。

再読のはずなんだけど。
このあとの篠口と遠藤がどんなふうになったのかが
全く思い出せないww
この病こそ「フレッシュ症候群」。
わくわくしながら次巻へ。

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