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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記」小野不由美 (新潮文庫)



手が届くかと思った光。
一度抱いた希望が叩き折られた瞬間の絶望は、
苦難に耐えていた時以上に堪えることを知っている。
次々に失われていく命。
それでも。
それでも彼らは、諦めなかった。
覚悟の決意を口にする彼らの想いが刺さる。
たとえ血路であろうとも、それがどれほどの負荷になろうとも、
主につながる道を自らの手で切り開いた泰麒。
決して他者を頼ろうとしなかった彼の気持ちに感服。
阿選。
覚悟を持って事を成すってそういうことなんだよ。
誰も責めることのなかった驍宗。
満身創痍の王と麒麟の築く未来に想いを馳せての読了。→


頁を閉じても、まだその先を読みたい想いに囚われたまま、気持ちは戴を漂っている。
全四巻。これだけ読んでもまだ読みたい。
早く先が知りたいと思って読み進めたけど、
終わりが近づくにつれてまだ足りない、もっと、と。
空白の6年を丁寧に描写してくれたからこそ、李斎らと共に旅をしている気持になり、この先も国を建てなおすであろう彼らと共に歩みたいと思ってしまう。
至福の読書時間でした。

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「白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記」小野不由美 (新潮文庫)



繋がり、そして実を結んでいく点と点。
「いつか来るべき時」を諦めなかった人たちが、確かにいた。
理不尽な暴力に晒された人々を見過ごせない人たちがいた。
「やるべきこと」を為しつづけた人々が集まれば、
国を動かす力になる。
方々に散った人たちを結びつけることになった李斎の旅。
一方で独りよがりの逆恨みを抱き、或は興味本位で人々の運命を弄んだ輩に感じる憤り。
何より腹立たしいのは、その後すべてを放棄したことだ。
泰麒も目的のためにはその手で暴力をふるうことを厭わない。
そして、彼こそが諦めてはいなかった。
白雉が落ちていないこと。
それこそが天意。

軍が軍として機能するためには何が必要なのか。
北方の梁山泊で学んだことを思い出す。
感謝の意を後世まで伝え続けるその姿勢に、エルトゥールル号(『海の翼』参照)のことを思い出す。
最大の振り返りは『魔性の子』のエピソード。
あの時の出来事がここで繋がる壮大さ。
心躍らせながら最終巻へ。

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「竜頭町三丁目まだ四年目の夏祭り: 毎日晴天!外伝」菅野彰 (文芸書)



言葉を放った側は忘れてしまっても、
ぶつけられた側は刺さった言葉が忘れられないことがある。
これは忘れちゃいけないことだなぁ。
そして、誰かの気持ちを推測することはできても、
正しく理解することは絶対にできない。
だから、大切なことは言葉を尽くして話し合うことが必要で、
分かろうと思う気持ちが大事。
悩み惑うことは、成長することに必要なステップ。
そう思わせてくれる彼らの苦悩。
埋められないものを抱えた彼らが寂しくもあるけれども、
寄り添ってくれる人がいることがただ嬉しい。
理解しようとすることを諦めない彼らがとても好き。

20周年記念本。
外伝と言いつつ、15巻のつづき的なポジション。
途中に8年のブランクがあっても、書き続けてくれてありがとうございます!
と、菅野さんには伝えたい。
待ち続けると続きが読めるのだということを、ここ最近何人もの作家さんが教えてくれて感無量。
麻生と練の物語も是非。

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「白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記」小野不由美 (新潮文庫)



何故討ったのか。
何を成したいのか。
まったく見えてこないその行為に、募る焦燥と苛立ち。
荒廃した国の中でも己の役割を果たしながら生きる人々がいる一方で、
苦しみに耐えるしか術のない民が痛々しい。
信じたいものと現実が同義であるとは限らない。
だけど、信じたいものが潰えるということは、希望も潰えるということ。
そんな現実とどう折り合いをつけて生きていくのか?
自分のことだけを考えていればいいわけではない立場の
李斎の問いかけが重い。
王宮でも、少しずつ事が動き始める。
泰麒が膝を突いた理由が気になる。とても気になる。

余計な情報を拾わないように、帯を外した表紙を並べて悶々とする。
そんな暇あったら続き読みなよ!って感じだけど(笑)
待ち続けたからこそ、飛ばし読まずに大事に読みたい。

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「担当編集者は嘘をつく 毎日晴天!15」菅野彰(キャラ文庫)




ひたすら大河がめんどくさい方向に迷走していた15巻。
おかげで秀の混沌も人的被害を生み出す方向へ拡散されてしまった感が否めない。
仕事とプライベートを完全に分離出来たら多分楽だったんだろうけど、
そもそもの二人の関係の再出発は編集と作家としての関係性から。
そうやって歩んできた延長上に在る今だからこそ、分離は難しいんだろうなぁ。
だから言葉が必要なんだよ、大河。
秀の混沌は、何も望まなかった秀に欲が出てきた現れ。
まわりにとっては迷惑でも秀自身にとっては良い変化。
だから大河も惑う。
堂々巡りだな。
久賀の存在がいい意味でのカンフル剤。

個人的にはまどろっこしいのが嫌いなので
めんどくさいわー!と、切って捨てたいところだけど。
恋情の他に仕事が係ってくると、なんか色々汲んでしまって出口が見えなくなってしまう。
大河はもうちょっとブレない人かと思ってたんだけどね。
思えは、恋愛方面はホント疎い朴念仁だったわ(笑)
バース(犬)が長生きしてくれることをひたすら願う。
この作品の最終巻はバースが臨終を迎えて終わるのでは!?と本気で危惧したことのある過去の私。
それより一人二人巣立っていくと考えた方が現実的。かな?

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「白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記」小野不由美 (新潮文庫)



王の不在から6年。
荒れ果てた国でその日の命を明日に繋ぐために生きる人々がいる。
困窮に喘ぎながらも、絶望に呑み込まれなかった人々がいる。
点と点が少しずつ繋がりあっていくのは、
泰麒が行動を起こしたからこそ。
たとえ麒麟としての力を失くしたとしても。
彼でなくては成し得ないことがある。
泰麒が紡いだ虚言。
これは、彼が胎果だからこそ口にすることができた嘘。
彼の国人々は思いつきもしないだろう。
方々で口ずさまれる歌は潜伏の証。
……だと思いたい。
かつて何が起こったのか。
少しずつ語られながら進行する物語。
だけど、いまだ真相は闇の中。
彼の人は何処へ。

読み辛い漢字多くなってない!? と、
既刊再読直後なのに思ってしまった私(笑)。
気のせい?
途中でマッカーシーの『ザ・ロード』を想起させられてしまった。
だけど、これはディストピアではないはず。
そう信じて、次巻へ。

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「さあ、今から担当替えです 毎日晴天!14」菅野彰 (キャラ文庫)



会社という組織に属して働く大河には理解でき、諾としたことも
家の中で大河と原稿とだけ向き合ってきた秀には理解も納得もできない担当替え。
帯刀家で暮らす6人の中で一番世界が閉ざされているのが秀だと、
改めて突きつけられる。
自分の担当から大河が外れたことが納得できない愁。
何で?どうして?
言われた仕事をこなせば大河が戻ってくると思える心理がとても不憫。
仕事を離れたってつながっている。
そのことが呑み込めない秀がやっぱり哀しい。
大河は言葉が足りなさすぎとも思うけど、
秀のすべてを受け止める彼の懐はひろくてあたたかい。
秀はこの先、一人で歩けるようになるのかな?

「思考の一人遊び」わかるわー。
昔はよくそうやってふわふわしてたけど、
最近そうやって思考の波間を漂うことってなくなったなぁ。
インプットの期間と思って吸収し続けてるけど、
アウトプットっていつするの?と最近思ってみた。(笑)



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「ジェファーソンの密約(下)」 (シグマフォースシリーズ6)ロリンズ(竹書房)




限られた時間の中で精一杯の知恵を振り絞り、文字通り身体を張って
未曽有の危機に瀕した国家を救った彼ら。
だけど、後味がとてつもなく悪い。
他者の命を散々に奪っておきながら、幸福の中で時間を止めた彼の身勝手。
任務を忠実にこなしたが故に、愛する家族が命を狙われる理不尽。
職を辞することを選んだ男。
失意の底にいる男。
だが、彼らは再び立ちあがるだろう。
対峙しなければならない敵がいる限り。
その敵が!
ラストの一行で思わず声が出る衝撃。
このシリーズ、面白さが失速しないなぁ、と思っていたけど、
ここにきてブーストで加速した感あり。


再読な訳だけど、明確に覚えているのがラストの一文だけっていう自分に驚き。
それだけラストが衝撃的だったと言えば、聞こえがいいのかな?
おかげで(?)楽しく読めました。
このシリーズの再読はこの巻で終了。
以降は未読の世界へ突入です。
再読の巻数より未読の巻数が多いってどういうことだろう?
よく積んだなぁ、私(笑)

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『子どもたちは制服を脱いで  毎日晴天! 13』菅野彰 (キャラ文庫)



よくぞここまで書いてくれたと。
寂しさと嬉しさとを噛みしめつつ、感動と感謝しかない13巻。←20年も読み続けているともはや親目線・笑。
いつまでも彼らはそのままその場所に在るものだと、思いこみたかったけれども。
タイトル通り制服を脱いだ勇太と真弓は
大河の手を離れ、秀の手を離れ、大人へとなっていく。
当たり前に守られてきた世界から、自分の脚で立つ世界へ。
四六時中一緒だった世界から、別々の世界へ。
戸惑いと迷いを滲ませながらも、それぞれが踏み出した一歩。
そうやって人は成長していくんだなぁ、と、つくづく感じいる。
勇太がホントカッコよくって感無量。

大河と勇太が洗面所で話すシーンがとても好き。
大河は真弓を勇太に、勇太は秀を大河に。
もう預けたのだと、互いに認め合うシーン。
ちょっと息抜き……のつもりが一気読みしてしまった。
ま、再読だからいいか。←理由にならない。
初読の時は、紙本で買ったのに、限定のSS目当てで電子まで買うなんて!
と意固地になっていましたが。
迷わずポチッとしてしまった。
ええ、限定のSS目当てで(笑)

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「ヒトの世界の歩きかた」イーライ・イーストン (モノクローム・ロマンス文庫)



人間に変身出来る犬(クイック)のローマンは、
クイック歴2年のジャーマンシェパードの成犬。
そんなローマンがマット(人)と出会い、恋をする。
犬から人間になって自らの身体と心の変化に困惑するローマンの心情が
リアルに書かれていて、とても可愛い。
人としてはまだ幼く稚いローマンの気持ちはまっすぐで好意を持った相手に対する想いを
隠すことも嘘をつくこともできない。
そんなローマンの柔らかな心情と、鍛え上げられた強靭でセクシーなボディとのアンバランスさも魅力。
謎めいたローマンに惹かれていくマットの心情も丁寧に描かれていて、素直に応援したくなる二人。
ラスト、幸せを噛みしめるシーンがとても良かった。

前作でメインだったランス(クイック)とティム(人)のカップルも健在。
ランスがものっすごく小姑っぽくなってたけど、
それも身内を守るための犬の防衛本能だと思えば納得。
ローマンの電話相談に渋々応じるランスの姿が愉快。
ティムの方がよっぽど柔軟だわ。
相棒を失った軍用犬・シェパードというワードで
読友さんたちから好評価だったロバート・クレイスの『容疑者』が俄然気になってきました。
そのうち読んでみよう♪


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