きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「off you go」一穂ミチ(ルチル文庫)
現在と過去を行き来しながら綴られる彼らの過ごした人生。
何気ない仕草から、秘められた彼らの心情が伝わってくる。
所々琴線に触れるとても綺麗な描写があって、はっとする。
だから一行一行を噛みしめるように追ってしまう。
良時、密、十和子で描いてきた一見綺麗なトライアングル。
それぞれが心に蓋をした隠し事があるが故の三角にはどうしても正せない歪があって、
十和子の決意を秘めた行為によってこれまでの関係が壊れていく。
だけどそれは崩壊を意味するのではなく、新たな始まりの兆し。
良時の元へ転がり込んだ密。
それを受け入れた良時。
その時点で未来は決まっていたような気がします。
幼いころから傍にいたが故に関係を変えられなかった十久子と密。
それでも一歩先を望んだ良時と密。
そしてどうにも変えようのない良時と十和子。
形の違ったトライアングルを彼らはずっと描き続けていくんだろうなぁ、と、
想わせてくれる顚末でした。
内容(「BOOK」データベースより)
その朝、就寝したばかりの良時を突然、妹の夫・密が訪れた。海外赴任から帰国すれば自宅はなく、妻・十和子に離婚を言い渡されたという。折しも独り身の良時は密のペースに呑まれ、快適な同居生活へ。幼い頃から共に身体が弱く療養の日々を同志のように過ごしてきた密と十和子、ふたりの絆を誰より知る良時。ふしぎな均衡で繁がり合う彼らは…。
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