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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「いつもの朝に 下巻」今邑彩(集英社文庫)



死者の残した言葉に振り回される子どもたち。
朽ち果てた家で相手の命を繋ぎとめようと懸命に発せられたふたりの言葉に、
ほら、あなたたちは正真正銘の兄弟なんだよ、
と、叫びたくなった。
「あなたの子供」
この言葉が、こんなにも悲しく突き立てられた作品は他にない。
沙羅の桐人に対する愛情深い言葉と態度が胸に響いた。
彼女はまぎれもなく、二人の子どもの母親なのだと、揺るがない想いに安堵する。
突き刺さったやるせなさは、最後まで抜け落ちることはなかった。
真実は、時として誰かの運命を瓦解させてしまうほど残酷だ。
だけど、家族の絆はその崩壊を食い止めることができるのもだと信じたい。


初読の時は、語れらなかった優太と桐人のその後を色々と思い描いていたせいか、
今回再読して作品の進行と自分の妄想(?)の中での出来事とが一瞬混同して混乱。
それだけ思い入れがあったんだろうなぁ。
『エデンの東』に取りかかろうとしているタイミングで読めたことに感じる巡り合わせ。
この作品は読メを始めてからずっといつか再読を!と思ってきたので、
それが叶って満足なのです。

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