きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「つきのふね」森絵都(角川文庫)
【人より壊れやすい心に生まれついた人間は、
それでも生きていくだけの強さも同時に生まれもっているものなんだよ】
淋しさや後悔は大なり小なりみんな抱えていて、先の見えない未来に不安になったりもする。
たったひとりでも自分の心に寄り添ってくれる誰かが傍にいてくれれば、
それほど心強いこともない。
逆に、よりどころを見失ってしまった時の落胆と淋しさと恐怖は計り知れない。
壊れかけたみんなを繋ぐために頑張った勝田。
宇宙船を捨てて地に足をつけた智さん。
ひきこもった殻の中から出てきた梨利。
そして、皆を繋ぎ、足掻くことをあきらめなかったさくら。
それぞれの心のあり方がやさしく切なく胸に染みる、素敵な話でした。
辛い時期を乗り越えた露木からの手紙には胸を打たれる言葉がいくつもあって、
何度も繰り返しなぞってしまいました。
内容(「BOOK」データベースより)
あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。進路や万引きグループとの確執に悩む孤独な日々で、唯一の心の拠り所だった智さんも、静かに精神を病んでいき―。近所を騒がせる放火事件と級友の売春疑惑。先の見えない青春の闇の中を、一筋の光を求めて疾走する少女を描く、奇跡のような傑作長編。
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