きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「スモールワールズ 」一穂ミチ(講談社)
哀しくて、苦しくて、ままならなくて。
だけど、やさしい。
理不尽を飲み込んで、それでも。
今在る世界で足掻きながら、自分らしく生きていく。
そんな彼らの物語。
6編の連作。
ほんの少しずつ重なっている彼らの世界。
最後の物語を読み終えた後、ちょっと震えながら最初に戻りたくなる。
引き裂かれるような類のものではないけれども、
小さな何かが胸に刺さったような読後。
痛みと同時に静かに胸に広がるのは、あたたかな余韻。
一穂さんだなぁ、と思う。
全作通してとても良かった。
以下、一言ずつ各話に対する思いを。→
「ネオンテトラ」切り札はここぞという時に効果的に。相手の息の根を止めるくらいの気持ちで。
「魔王の帰還」善意と余計なことの違いは個人の主観。良くも悪くも魔王は豪快だった。
「ピクニック」無自覚の闇にぞっとする。
「花うた」率直に綴られた言葉がとてもとてもいとおしい。
「愛を適量」十五年ぶりの親子の再会。あの言葉は本心。言った当人も汲み取った方も素敵だと思う。
「式日」ああ、って思う。この先、幸せなれたらいいのにって。
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