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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ホテルローヤル」桜木柴乃(集英社文庫)



【どんどん乾いてゆく。どんどん軽くなる。
 そして最後は何も残らない。残さない】

生活に疲れた人たちの、寂しくて優しい物語。
虚しさと、やるせなさと、あたたかさがジワリと滲む。
全七編で紡がれる物語は、少しずつリンクして時間を遡っていく。
今では朽ちたラブホテルが何を見てきたのか。
そこを訪ねた人たちが、何を感じたのか。
新しく人生をやり直した人もいれば、
暗がりにひきずりこまれた人もいる。
挫折を振りかざす身勝手な男。家の為に夫以外の男に身体を預ける女。
妻を思って萎えた男。五千円でかみしめる幸福。
行き場所をなくした二人。真っ正直に生きてきた女。
そして、ホテルを作った男と女。
読後に零れ落ちるのは、溜息か、吐息か。

一緒に年を重ねていくことを幸せ、と、こぼした「バブルバス」が好き。
近しい人に傷つけられた二人の選択に
なんとかならなかったのかと、やるせなかった「せんせぇ」。
「星をみていた」ミコには幸せになってもらたいなぁ、と思います。




内容(「BOOK」データベースより)

北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く―。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昴揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。第149回直木賞受賞作。

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