きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ルパンの消息」横山秀夫(光文社文庫)
濃密な一日の物語。
その一日の中に、彼らの歩んできた人生があり、彼らの今がある。
追憶でもあり、告白でもある彼らの供述。
あまりにも鮮明に浮かび上がってくる彼らの青春時代。
確かに、共有しあっていた時間。
分かち合っていた想い。
けれども、十五年という歳月は、こんなにも人の在り方を変える。
だが、彼らの「今」は、確実にその十五年前に端を欲しているものなのだ。
次第に浮かび上がってくる事件の真相。
十重二重に畳みかけてくる結末は、息をつく暇を許さない。
重い息を吐き出す読後。
彼らと同じ一日を共有できた疲労感が心地よい。
漸く時間の動き出した彼。
優しい記憶を胸に留めていた彼女。
堅実な人生を歩んでいる彼。
被害者でしかありえなかった彼女。
昔のまま、変わらない彼。
そして、事件解決に奔走した刑事たち。
皆の緊張が解けた瞬間が一気に伝わってくるような読後感。
どうしたって一気読みになってしまう作品でした。
内容(「BOOK」データベースより)
十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人―。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか。
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