きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「会いたかった人」小池真理子(集英社文庫)
収録作品三篇。
「会いたかった人」
度を越した執着は恐怖でしかない。
そして、あんな風に向けられた悪意は防ぎようもないことも、また恐怖。
「倒錯の庭」
美しい言葉で紡がれる、狂気を孕んだ男女の情念。
向けられた想いを、女として幸せと感じるか、
恐怖を感じるかは個々人によるのだろうが、私は彼女の幸福感に寄り添える気がする。
でも、彼の感情が逆のベクトルを向いたときは、次は我が身だという怖さは拭えない。
「災厄の犬」
自ら不幸を招き入れている話なんだけど、
読み進めていくうちに果たして本当にそうなのか?という疑念に苛まれる。
気味の悪さはこの短編が随一。
文章の美しさが不気味さをより際立たせていたように思う。
個人的には「倒錯の庭」がとても好き。最も小池さんらしい作品だと思います。
内容(「BOOK」データベースより)
25年ぶりの親友との再会。TV出演した小夜子を見て連絡をとってきた女は、まるで別人のように変貌していた。うずまく疑念、そして…。表題作「会いたかった人」。他に男と女の妖しく美しい愛の行き着く果てを描く「倒錯の庭」、犬を飼い始めてからはじまる不運にみずからとりつかれていく男の物語「災厄の犬」を収録。静かな狂気を描くサイコ・サスペンス短編集。
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