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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「李歐」高村薫 (講談社文庫)



共に過ごした時間は、ほんの僅か。
だが、その僅かな時間が、男の運命を劇的に変える。
余りにも鮮やかに男の傍に在り続けた、彼の残像。
それは幻影ではなく、確かに感じられる息吹きを伴っていた。
いつかの未来を約束しながら、相見えることなく過ごした十数年。
遥かな夢を胸に秘めながら、その十数年の間に過ごした現実の中にも、
確かに築き上げてきたものがあるのだと。
はっきりと自覚した瞬間の喪失。
胸が軋みました。
自分自身と向き合った時に拾った「恋しい」という想い。
それこそが、男が胸の内に抱き続けた彼に対する真摯な想い。
そして、掴みとった未来。
桜の季節が繰り返し巡ることを願ってやまない。


初読の時は一彰と李歐の関係に心が持っていかれてしまっていたけれども、
守山と笹倉の存在もとても大きかったのだと。
しみじみ思いました。
記憶に残っていた印象的なシーンがいくつもあって、それを時系列がバラバラな状態で
覚えていたものだから、え?あのシーンどこ行った??となることが何度か。
既読の弊害を初めて感じました。
とはいえ。
何度読んでも胸が震える物語。改めて読めて良かったです。


内容(「BOOK」データベースより)

惚れたって言えよ―。美貌の殺し屋は言った。その名は李欧。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに二十二歳。しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂をひきさいた。『わが手に拳銃を』を下敷にしてあらたに書き下ろす美しく壮大な青春の物語。

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