きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「喪国」五條瑛 (双葉文庫)
見果てぬ夢。
多分彼は、どれだけの金を手にしても心が満たされることはないのだろう。
彼が求めるものは、もうこの世界のどこにもなく、
この先も手に入れることはできないのだから。
彼が気まぐれに手を差し伸べた者たちの歩んだ人生の明暗。
身を持ち崩した者たちの末路は壮絶だし、
うまく立ち回った者たちは時代の変化に逞しく順応する。
改憲。自衛隊。宗教。政治。
今に通じる問題が提起され、革命の火種がくすぶり続けたまま、物語は幕を閉じる。
否。
閉じてはいない。
雑多な新宿という街の中に取り残されたまま、
その後の彼らの行方に思いを馳せるのだ。
著者は日本の未来に希望を抱いていたのか、絶望していたのか。
尋ねてみたい気がする。
とてつもない問題提起と熱量を孕んだシリーズ。
没頭したまま帰ってこれなくなって、ノンストップで読み切りました。
本編の感想は単行本の方で投稿済み。
文庫の書下ろし短編のタイトルは「Blue and Red, BLOOD」。
自分の国はなくならない。と思っているけれども。
絶対に?と問われると、Yesと言い切れないと唸ってしまう世界情勢。
世界にとってサーシャという男の存在は大迷惑。
だけど。
それ故に、彼に魅了されてやまない人間は多数いるのかもしれない。
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