きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「図書館の神様」瀬尾まいこ(ちくま文庫)
【うまい下手にかかわらず、
知っている人の書く文章はちゃんと心に響く】
なんとなく国語教師になり、意に沿わないながらも、文芸部の顧問となった清。
新任の講師としての彼女の一年は、投げやりな感じで始まったけれども、
その一年を実のあるものとして過ごした後の彼女の成長は、
受け取った三通の手紙に集約されていると思う。
不実との決別。教師であることへの激励。そして新しい未来。
不倫相手。文芸部の部員。弟。
彼らと過ごす時間を主軸に語られる物語。
苦痛でしかなかった学校での仕事が、
教師でいたいと自発的に思えるようになっていく清の心理が
とても自然に伝わってくる。
全く興味がなかった文学に対して面白みを感じていく様子も好ましい。
きっかけって大事。
どちらが生徒でどちらが教師なのかわからなくなってしまいそうな会話もいいし、
マイペースながらも姉を気にかけてくれる弟の存在もいい。
良くも悪くも人を変える力を持っているのは人。
世界は一人では変わらない。変えられない。
人と係わりあうことで、プラスに成長していけることはある意味理想的なことだと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに“私”は文芸部の顧問になった。…「垣内君って、どうして文芸部なの?」「文学が好きだからです」「まさか」!…清く正しくまっすぐな青春を送ってきた“私”には、思いがけないことばかり。不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語。ほかに、単行本未収録の短篇「雲行き」を収録。
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