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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「子どもたちは夜と遊ぶ 上・下」辻村深月(講談社文庫)





【君が生きているというそれだけで、
 人生を投げずに、生きることに手を抜かずに済む人間が
 この世の中のどこかにいるんだよ】

初読の時のような緊迫感はないけれども。
やわらかな部分に尖った爪を立てられたようなキリキリとした思いに息が詰まりそうになる。
それでも、色々な過去を抱えた彼らに寄り添いたくて、頁をめくる手が止まらない。
そして、彼等の痛みを自分のことのように感じたいのか、
彼らの痛みを取り除いてあげたいのか、わからなくなる。

この物語の結末に希望や救いを見出すことは、
理不尽に命を奪われた人たちのことを思えば、間違っているのかもしれない。
けれども、世間を憎み、絶望し、自らを消してしまうことを望んだ浅葱が
生きることに向き合うことができたことに安堵する自分がいる。
「君が愛したそいつは、決して不幸じゃなかった」
とてつもない犠牲を払っての言葉ではあるけれども。
月子がいて、恭司がいて、狐塚がいて。
自分は独りきりではないのだと、浅葱が気づくことができてよかったと思ってしまう。
この愛すべき息苦しい世界の中で。
すべての子どもたちに幸あれ。





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