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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「戦艦武蔵」吉村昭(新潮文庫)



この本に描かれている歴史を経て今の日本がある、と思うと、
手にした本の重みがずっしりと増すような気がする。
全長260メートルもの船を秘密裏に作る方法を模索して編み出し、
係わる工員たちのほとんどにその全容を知らせず、己に振り分けられた任務に邁進させる。
そうやって作り上げられた戦艦武蔵。
艦の製作の開始から完成までの事象が克明に、そして淡々とつづられる文章には、ただ圧倒される。
多くの時間とお金、そして人の手を費やして四年という年月をかけて作った船が、
千人以上の人々の命と共に海に沈められてしまう悲痛な現実。
辛うじて生き延びた人たちに対するその後の海軍の処遇があまりにも理不尽だと思った。


内容(「BOOK」データベースより)

日本帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の戦艦「武蔵」―厖大な人命と物資をただ浪費するために、人間が狂気的なエネルギーを注いだ戦争の本質とは何か?非論理的“愚行”に驀進した“人間”の内部にひそむ奇怪さとはどういうものか?本書は戦争の神話的象徴である「武蔵」の極秘の建造から壮絶な終焉までを克明に綴り、壮大な劇の全貌を明らかにした記録文学の大作である。

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